アルツハイマー病へのDBS、臨床応用への可能性は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/03/23 米国・ペンシルベニア大学のKeyvan Mirsaeedi-Farahani氏らは、アルツハイマー病(AD)に対する脳深部刺激療法(DBS)の費用対効果、臨床効果を標準治療との比較で検討した。その結果、軽度AD患者でDBSの成功率が20%以上であれば費用対効果は高いこと、80%を超えれば臨床効果、費用対効果ともに標準治療より高くなることを報告した。ADは記憶機能の障害を特徴とし、本症状はADの標準治療によりわずかな改善を認める。しかし最近の報告により、DBSが記憶機能を改善する可能性が示唆されていた。Journal of Neurology誌オンライン版2015年3月6日号の掲載報告。 研究グループは本検討に当たり、莫大な機器費用とDBS手術に伴う身体的負担を考慮したうえで、DBSがADの標準治療と同等な効果を示すための臨床的、経済的閾値を設定した。そのうえで、文献レビューによりAD進行の可能性、健康関連QOL、ADの各ステージのコストに関する情報を取得し、5年間の決定分析モデルを用いて検討を行った。質調整生存年(QALY)における累積QOLと標準治療のコストを、既知の合併症発生率およびQOLデータを用い、理論的DBSによるさまざまな成功率と比較した。モデルの基本症例は軽度AD患者とした。DBSによる成功は、「1年目にADが最低ステージへ後退あるいは維持(軽度認知症と非認知症の間)、残りの4年間は自然経過をたどった場合」と定義した。 主な結果は以下のとおり。 ・標準治療単独群と比べ、軽度AD患者に対するDBSでは、周術期合併症がQOLに与える影響を打ち消すために求められる成功率は3%であった。 ・軽度AD患者に対して、DBSが20%($200 K/QALY)あるいは74%($50 K/QALY)以上の成功率で実施されるなら、DBSは費用対効果が高いと考えられた。 ・もしDBSの成功率が80%を超えれば、臨床効果、費用対効果とも標準治療より高くなる。 ・本研究から、ADに対し費用対効果が高いとされるDBSの臨床的経済的閾値は相対的に低いことが示された。 関連医療ニュース 認知症によいサプリメント、その効果は 新たなアルツハイマー病薬へ、天然アルカロイドに脚光 これからのアルツハイマー病治療薬はこう変わる 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Mirsaeedi-Farahani K, et al. J Neurol. 2015 Mar 6. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] VTE後の抗凝固療法、90日以上継続で再発リスク大幅低下/BMJ(2025/12/10) 未治療および再発・難治性CLL/SLLへのピルトブルチニブ、イブルチニブと直接比較(BRUIN-CLL-314)/JCO(2025/12/10) 成人の肺炎球菌感染症予防の新時代、21価肺炎球菌結合型ワクチン「キャップバックス」の臨床的意義/MSD(2025/12/10) 日本におけるアルツハイマー病診断の時間短縮フロー〜東京大学(2025/12/10) アトピー性皮膚炎へのウパダシチニブ、増量および減量の有効性と安全性/BJD(2025/12/10) ヌシネルセンの高用量処方はSMA患者のQOLをさらに改善する/バイオジェン(2025/12/10) 飲酒が加齢性難聴リスクに影響~日本人1万4千人のデータ(2025/12/10) [ あわせて読みたい ] ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(2)(2015/03/02) 診療よろず相談TV シーズンII(2014/07/03) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)