冬季の血圧は外気温より室温に強く関連~日本における大規模研究

提供元:ケアネット

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公開日:2014/06/26

 

 冬季における脳心血管疾患による死亡率上昇は、冬季の気候が厳しい地域より外気温の低下が少ない地域で大きいことが報告されている。このことから、冬季の死亡率上昇は外気温よりも室温による影響が考えられる。これまで、皮膚温低下による血圧上昇、外気温低下による血圧上昇は報告されているが、室温が自由行動下血圧に及ぼす影響は明らかになっていない。奈良県立医科大学の佐伯 圭吾氏らは、室温および外気温と自由行動下血圧との関連性を比較し、寒い時期において外気温より室温のほうが血圧との関連が強いことを報告した。Journal of Hypertension誌オンライン版2014年6月16日号に掲載。

 著者らは、高齢者868人において寒い時期(10月~4月)に48時間連続で自由行動下血圧や室温などを測定し、各参加者のランダム切片でのマルチレベル分析を用いて室内・屋外温度と自由行動下血圧との関連を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・外気温が高い日は室温と外気温が強く相関するが、外気温の低下に伴って相関は低下した。
・外気温と自由行動下血圧との間に有意な関連性はなかった。
・身体活動など潜在的な交絡因子の調整後、室温1℃の低下は、日中(起床~就寝)の平均収縮期血圧(SBP)0.22 mmHgの上昇、夜間血圧降下率[(日中平均SBP-夜間平均SBP)/日中平均SBP×100]の0.18%増加、起床後2時間平均血圧-夜間最低血圧の0.34 mmHg上昇と有意な関連がみられた。
・夜間の平均SBPは、室温・外気温と有意な関連はなかったが寝室温との関連がみられた。

 これらの結果から、住宅内の温熱環境改善により冬季の脳心血管疾患死亡増加を減少できるかどうかを判断するには、室温と脳心血管疾患死亡との関連を評価することが重要であることが示唆される。

(ケアネット 金沢 浩子)