日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1138

乳幼児期のタバコの副流煙は喘息の早期発症を増大

大規模な家族ベースの遺伝子解析データをもとに、遺伝子変異と喘息との関連、さらにタバコの副流煙曝露との関連について検証していた、フランス国立医学衛生研究所Emmanuelle Bouzigon氏らのグループは、変異遺伝子の喘息発症リスクは早期発症に限定されること、またその場合、乳幼児期の喫煙曝露がリスクを増大することを明らかにした。NEJM誌2008年11月6日号(オンライン版2008年10月15日号)より。

アリスキレンが65歳以上の患者においてラミプリルよりも強い降圧効果を示す

ノバルティス ファーマ株式会社は17日、スイス本社から11日に発表された新しい臨床データによると、新しいクラスの直接的レニン阻害剤(Direct Renin Inhibitor:DRI)アリスキレン(製品名:米国ではTekturna、その他の国ではRasilez)が65歳以上の高血圧症の患者さんにおいて、アンジオテンシン変換酵素(ACE: angiotensin-converting enzyme)阻害剤のラミプリル(国内未発売)に比べ、有意な降圧効果を示すことが証明されたと発表した。

オピオイド依存症の治療には、ブプレノルフィンとナロキソンの長期投与が短期より有効

オピオイド依存症の治療には、ブプレノルフィンとナロキソンの12週にわたる長期投与のほうが、短期投与よりも効果的のようだ。米Pennsylvania大学のGeorge E. Woody氏らが、15~21歳のオピオイド依存症の152人について調べ、明らかにしたもので、JAMA誌2008年11月5日号で公表された。

心筋梗塞発症後の冠動脈疾患による突然死、過去30年で大幅に減少

心筋梗塞発症後の、冠動脈疾患による突然死は、過去30年間で大幅に減少しているようだ。米Veterans Affairs Medical Center(ミネソタ州ミネアポリス)のA. Selcuk Adabag氏らが、約3,000人の心筋梗塞を発症した患者を調べ、明らかにしたもので、JAMA誌2008年11月5日号で発表された。また、同突然死のリスクは、心筋梗塞発症後30日間に最も大きく、さらに心不全が突然死のリスクを増加することもわかった。

あなたは鼻呼吸族?それとも口呼吸族? GSK社の鼻呼吸に関する意識調査より

グラクソ・スミスクライン株式会社は13日、10月に「鼻呼吸族(普段鼻呼吸をしている人)」と「口呼吸族(普段口呼吸をしている人)」双方の呼吸法の違いによる、日常の行動特性や、呼吸に対する意識のギャップを浮き彫りとすることを目的に、「『鼻呼吸』に関する意識調査」を実施し、調査結果の要点を発表した。

ヒュミラがクローン病患者の瘻孔治癒効果を3年間維持

アボット ジャパン株式会社は11月12日、10月にウィーンで開催された欧州消化器疾患週間(UnitedEuropean Gastroenterology Week, UEGW)の会議において、中等度~重度のクローン病患者におけるヒュミラ(一般名:アダリムマブ)の治療効果に関する新たなデータが発表され、同剤の3年にわたる瘻孔(ろうこう)治癒効果が示されたと伝えた。

電子カルテ共有システム、次なる段階への教え:英国

1998年にブレア首相が表明したビジョンを受けて、英国ではNHS(National Health Service)スタッフから患者までが共有可能な、国家規模の電子カルテ共有システムの構築が進んでいる。このシステムのポイントの1つに、SCR(summary care record)と呼ばれる開業医からの診療記録の抽出・電子化サマリーのデータベース化がある。SCRは患者の同意を得てアップロードされることになっており、2007年春から本格的にその作業が開始された。ロンドン大学Trisha Greenhalgh氏らは、このシステム稼働導入期(2007年5月~2008年4月)の実態を調査することで、今後のシステム展開への教えを見いだす事例評価研究を行った。BMJ誌2008年11月1日号(オンライン版2008年10月23日号)より。

ビタミンEには心血管イベントの予防効果はない

 アスピリン、抗酸化サプリメントを、単独もしくは組み合わせて服用しても、心血管イベントの減少には結びつかないことが報告された。スコットランドの16病院・188開業医グループが参加して行われたPOPADAD試験(prevention of progression of arterial disease and diabetes trial)からの報告。BMJ誌2008年11月1日号(オンライン版2008年10月16日号)にて掲載された。

WHO予算配分は感染症に偏りすぎ:バマコ2008会議に向けて

WHOの予算配分は感染症に極端に偏っており、世界的な疾病負担にも不均衡が見られるため、その是正に向けた検討が必要であることが、WHOの一般公開データの解析で明らかとなった。2008年11月、各国の保健相、支援機関、慈善活動家、国際機関らがマリ共和国の首都バマコに参集し、以前の協議で設定されたWHOの通常予算あるいは特別予算の医療優先事項の再評価を行うという。そこで、イギリス・Oxford大学社会学科のDavid Stuckler氏らは、WHOの予算枠内で以前の決定事項の優先順位をどのように改善できるかを検討した。Lancet誌2008年11月1日号掲載の報告。

マラリアの疾病負担が大幅に軽減、西アフリカ・ガンビアの場合

西アフリカのガンビアでは、近年の国際的な取り組みによりマラリアの疾病負担が大幅に軽減されていることが、同国医療研究評議会研究所のSerign J Ceesay氏らが行った調査で確認された。マラリアはアフリカにおける主要疾患であり最大の死因でもある。同国では、マラリア管理の国際的な取り組みや財政支援が強化され、2003年以降、妊婦や5歳以下の子どもに対する介入が増加しているという。Lancet誌2008年11月1日号掲載の報告。