減量は尿失禁改善に有効

提供元:ケアネット

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公開日:2009/02/11

 



過体重・肥満女性への尿失禁治療として、減量指導が有効なことが確認された。米国カリフォルニア大学のLeslee L. Subak氏らによる、半年間にわたる対照群との比較による無作為化臨床試験の結果。NEJM誌2009年1月29日号掲載より。

強化減量プログラム群と対照群に割り付け6ヵ月間介入




これまで観察研究や小規模試験などで、肥満は尿失禁のハイリスク因子である一方、減量による減少効果も認められており、Subak氏らは、尿失禁治療目的の減量効果のエビデンス確立を目的とする無作為化臨床試験を行った。

対象は、週に10回は尿失禁がある肥満女性338例。平均年齢(±SD)は53±11歳。強化減量プログラム(食事療法、運動療法、行動変容)群(介入群:226例)と、一般的な教育プログラム群(対照群:112例)に無作為に割り付け6ヵ月間介入を行った。

基線での介入群、対照群それぞれのBMI、失禁回数/週は、ほぼ同じだった(BMIは36±6と36±5、失禁回数/週は24±18と24±16)。

減量により失禁回数/週が、介入群47%減少




介入による両群の体重の平均減量率は、介入群8.0%(7.8kg)、対照群は1.6%(1.5kg)。

6ヵ月後の失禁回数/週は、介入群は47%減少、対照群は28%減少していた(P=0.01)。対照群と比較すると介入群では、腹圧性尿失禁の頻度の減少が大きかった(P=0.02)。切迫性尿失禁についてはそれほどでもない(P=0.14)。また介入群では、全失禁(P<0.001)、腹圧性尿失禁(P=0.009)、切迫性尿失禁(P=0.04)で、臨床的に意味のある70%以上の減少が確認された。

Subak氏は本試験結果によって、中程度の減量がもたらす健康改善の新たな改善項目の一つとして、尿失禁を加えることができるだろうと結論している。

(武藤まき:医療ライター)