日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1135

ニューロタンのヒトにおける尿酸低下作用の機序が証明される

万有製薬株式会社は9日、同社が販売している高血圧症治療薬ロサルタン(商品名:ニューロタン、アンジオテンシンII受容体拮抗薬:ARB)を用いた臨床研究で、ヒトにおけるロサルタンの尿酸低下作用の機序が初めて証明され、その結果が、米国高血圧学会の学会誌AMERICAN JOURNAL OF HYPERTENSIONに論文掲載されたことを発表した。

64列CT、冠動脈疾患の診断に有用だが従来法より優るとはまだ言えない

64列マルチスライスCTは冠動脈疾患の診断に有用だが、現段階では従来法に取って代わるほどではないことが、ジョンズホプキンス大学医学部のJulie M. Miller氏らによる国際的な多施設共同試験CORE64(Coronary Artery Evaluation Using 64-Row Multidetector Computed Tomography Angiography)の結果として報告された。これまでマルチスライスCTの診断精度については十分な検証が行われていなかった。NEJM誌2008年11月27日号掲載より。

遺伝子型スコアは2型糖尿病リスクの予測能に優れているか?

 遺伝性の2型糖尿病のリスクの予測に新時代到来か? 家族性糖尿病を有する人は有さない人に比べ2~6倍のリスク増大がある。また最新の研究で、複数の遺伝子座が2型糖尿病のリスクと関連していること(リスク対立遺伝子ごとに5~37%増大)が証明されたことを受け、マサチューセッツ総合病院遺伝子治療部門のJames B. Meigs氏らは、これら遺伝子座に関する知見を用いることで糖尿病リスクの予測は、従来の臨床的なリスクファクターのみを用いた場合の予測能よりも優れたものとなるのではとの仮説を立て検証を行った。NEJM誌2008年11月20日号より。

進行性乳がんを対象としたアバスチンの第III相臨床試験で無増悪生存期間の延長を確認

中外製薬株式会社の5日の発表によると、スイスのF.ホフマン・ラ・ロシュが、アバスチン(一般名:ベバシズマブ)のRIBBON-1試験においてアバスチンと化学療法を併用した場合、化学療法単独と比較して、主治医評価に基づいて、主要評価項目である乳がん女性患者の病勢の進行がない生存期間(いわゆる無増悪生存期間)の延長を達成したと発表したという。

Promactaが米国FDAより承認を取得

グラクソ・スミスクライン株式会社は5日、英国本社が、Promacta(一般名:エルトロンボパグ)の、コルチコステロイド、免疫グロブリンあるいは脾臓摘出術に対する反応が不十分な慢性特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic Thrombocytopenic Purpura:ITP)患者さんにおける血小板減少症治療薬として米国FDAより迅速承認を取得したと発表した。

冠動脈性心疾患、うつ症状による心血管イベントリスクの増大は運動不足などが原因

冠動脈性心疾患でうつ症状のある人は、心血管イベントのリスクが高いことは知られているが、その原因は、運動不足などのうつ症状に付随する行動的要因にあるようだ。米サンフランシスコVA Medical CenterのMary A. Whooley氏らが、安定冠動脈性心疾患の1,000人超について追跡し、明らかにしたもので、JAMA誌2008年11月26日号で発表した。これまで、うつ症状が心血管イベントリスクを増大することは明らかになっていたが、その要因については不明だった。

米オレゴン州肝移植、MELDスコア導入後に人種間格差なくなる

米国オレゴン州で、肝移植のレシピエント決定に際し、Model For End-Stage Liver Disease (MELD)スコアを導入して以後、黒人と白人の明らかな人種間格差がなくなったことが、米Duke大学のCynthia A. Moylan氏らの調べで明らかにされた。JAMA誌2008年11月26日号で掲載されている。同州では2002年2月から、肝移植の緊急性を示す指標としてMELDスコアを導入している。

最も「辞めたい」と思っている業界はどこか?

ネットマイルの調査によると、会社を辞めたいと思ったことのある割合が一番高い業界は「衣料・雑貨・日用品系」で52.1%、次いで「医療・福祉系」(49.4%)、「商社系」(49.0%)という結果だったという。一方で「辞めたいとは思わない」のは「電力・ガス・水道」が44.0%でトップで「専門コンサル系」(30.5%)、「団体・連合会・官公庁」(29.5%)と続いた。

ボーナス付きP4Pが住民健康格差を解消

イギリスでは2004年に、開業医に対して新たにQOF(quality and outcomes framework)という診療報酬支払制度(P4P:pay for performance)が導入された。プライマリ・ケアの構成、プロセス、予後を135のパフォーマンス指標(現在)で評価し、指標の目標値達成の場合ボーナスが支給されるというもので、契約開業医の年収は30%強増したと言われている。指標の大半は健康保持・増進、疾病予防に関するもので、慢性疾患を有する45歳以上の全患者については血圧モニタリングが毎年義務づけられている。この制度導入には、生活レベルの異なる地域住民間の健康格差解消も期待されていた。ロンドン大学医療・社会・ケア調査部門/一般診療・プライマリ・ケア部門のMark Ashworth氏らが、導入後3ヵ年(2005~2007年)の推移について調査をしたところ、ねらいどおりの変化が起きていることが報告された。BMJ誌2008年11月22日号(オンライン版2008年10月17日号)掲載より。

アメリカ医療研究品質機構のノウハウを活用して患者安全指標はつくれそうだ

患者安全は国際的な問題だが、その指標づくりは容易ではない。アメリカには、医療研究品質機構(AHRQ:Agency for Healthcare Research and Quality:http://www.ahrq.gov/)が病院診療データを基に開発した患者安全の指標があり、数ヵ国がその指標を自国の患者安全指標づくりに活用しているがイギリスでも活用できないか。Healthcare Commission(ロンドン)のVeena S Raleigh氏らが、29あるAHRQの指標のうち9つについて症例対照試験を行い有用性を検証した。BMJ誌2008年11月22日号(オンライン版2008年10月17日号)掲載より。

ゲフィチニブは進行非小細胞肺癌の2nd-line治療として妥当:INTEREST試験

再発進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対するゲフィチニブ(商品名:イレッサ)療法の有用性は標準治療であるドセタキセル療法に劣らないため、進行NSCLCの2nd-line治療として妥当であることが、国際的な第III相試験INTEREST試験で明らかとなった。米テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのEdward S Kim氏が、Lancet誌2008年11月22号で報告した。