日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1106

ファモチジンが、低用量アスピリン潰瘍の新たな予防治療に

低用量アスピリン使用中の患者にみられる消化管潰瘍の予防に、ファモチジン(商品名:ガスター、など)が高い効果を示すことが、イギリスGlasgow大学Crosshouse病院のAli S Taha氏らが行った第III相試験(FAMOUS試験)で明らかとなった。低用量アスピリンは世界的に最も広範に使用されている薬剤のひとつであり、心血管疾患、脳血管疾患、糖尿病に対する抗血栓療法のOTC薬および処方箋薬として使用量が増大しているという。一方、消化性潰瘍による出血、穿孔などの上部消化管合併症やときに死亡例もみられるなどの問題をかかえており、有効な予防治療の確立が切望されている。Lancet誌2009年7月11日号(オンライン版2009年7月6日号)掲載の報告。

HIV インテグレース阻害薬「S/GSK1349572」の前期第2相臨床試験を公表

塩野義製薬株式会社は21日、Shionogi-GlaxoSmithKline Pharmaceuticals, LLC(本社:米国デラウェア州)を通じて開発中の次世代インテグレース阻害薬S/GSK1349572(塩野義製薬 開発番号:S-349572)について、南アフリカ共和国(ケープタウン)で開催されている国際エイズ学会(IAS)第5回年次総会において前期第2相臨床試験結果を公表したと発表した。

【医師限定記事】6割の医師が糖尿病の診断基準は「HbA1cと血糖値との併用が良い」と回答

 糖尿病の診断についてHbA1c値の検査を主に用いるべきであるとの勧告が、米ニューオーリーンズで開催された米国糖尿病協会(ADA)年次集会で国際専門委員会により発表されたことを受けて、医師限定コミュニティ「Dr'sVoice」でアンケートを行ったところ、6割の医師が「HbA1cと血糖値との併用が良い」と回答した。

神経管欠損症と葉酸受容体自己抗体との関連は既報されている通りか?

これまでの報告で、神経管欠損症を伴う妊娠歴がある女性のうち75%に、葉酸受容体自己抗体が存在することが、一方対照群では10%であったことが報告されている。Trinity College Dublin(アイルランド)生化学/免疫学部門のAnne M. Molloy氏らは、伝統的に神経管欠損症の有病率が高いアイルランド人集団で、この所見の確認を行った。NEJM誌2009年7月9日号掲載より。

薬剤中絶後の抗菌薬投与義務化で重篤な感染症は減ったか?

全米880のヘルスセンターを統括するPPFA(Planned Parenthood Federation of America)によると、人工中絶は同連盟のおよそ300のセンターで行われており、2001年~2006年3月まではもっぱら、mifepristone経口投与後24~48時間にミソプロストール(商品名:サイトテック)を膣内投与する方法が行われていた。しかし、同療法による重篤な感染症への懸念から、PPFAは2006年初旬に、ミソプロストールの投与ルートを膣内ではなく経口とすること、さらにルーチンの抗菌薬投与か、普遍的なクラミジアのスクリーニングおよび治療のいずれかを行うことを義務付けた。2007年7月からは、すべての薬剤中絶でルーチンな抗菌薬投与を義務付けている。本報告は、PPFAのMary Fjerstad氏らによる一連の対策前後の感染症発生の変化を報告したもので、NEJM誌2009年7月9日号で掲載された。

Tarcevaの1次化学療法後の早期使用が、進行性非小細胞肺がん患者の全生存期間を延長する

主要な第III相臨床試験であるSATURN試験において、1次化学療法後に速やかにTarceva(一般名:erlotinib)を投与された進行性非小細胞肺がん(NSCLC)の患者において、重要な副次的評価項目である全生存期間が延長したことを発表した。中外製薬株式会社を通じて、スイス・ロシュ社が報告した。

ランタスに関する専門家の見解 最終的な結論導き出せず

仏サノフィ・アベンティス社は15日(現地)、多岐の分野にわたる国際的に著名な専門家から構成される委員会による「専門家の見解」を発表した。この見解は、ダイアベトロジア誌に最近公表されたランタス(インスリン グラルギン〔遺伝子組換え〕)に関する疫学研究調査分析について、詳細な評価を受けて出されたもの。内分泌学・腫瘍学・疫学の国際的な専門家で構成される同委員会は、4つの掲載論文の全てにおいて方法論上の重大な限界と欠陥があり、インスリングラルギンの使用と癌リスク増加の関連の可能性については、一貫性がなく最終結論を導き出せないと結論付けた。

乳児へのPCV7接種、低減効果は2歳時点で2、3回接種ともに同等

乳児への肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7:7-valent pneumococcal conjugate vaccine )接種は、2回接種と3回接種があるが、2歳時点の鼻咽頭への保菌率低減効果については同等であるようだ。これまでの研究から、乳児へのPCV7接種によって、年齢を問わず肺炎球菌感染症の発症率が減少していることが明らかになっている。その要因として、乳児の肺炎球菌保菌率の減少によるものだと推測されていたが、具体的な研究結果はほとんど示されていなかった。オランダWilhelmina小児病院のElske J. M. van Gils氏らが、1,000人超の新生児を対象に行った、無作為化試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年7月8日号で発表した。

腰椎ヘルニアによる坐骨神経痛の治療は、従来法が優れる

腰椎ヘルニアによる坐骨神経痛の治療として、新しい筒型開創器利用椎間板切除術は、従来の顕微鏡下ヘルニア摘出術と比べた試験の結果、そのアウトカムについて優位性がないと報告された。筒型開創器利用椎間板切除術は、新しい技術として導入されてきているものの、その効果を示すエビデンスは乏しかった。オランダLeiden大学のMark P. Arts氏らが、300人超を対象に行った二重盲無作為化試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年7月8日号で発表している。

血友病A治療におけるコージネイトFSの大規模市販後調査結果について

米国マサチューセッツ州ボストンで開かれた第22回国際血栓止血学会(ISTH: International Society on Thrombosis and Haemostasis)において、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤コージネイトFSの大規模市販後調査結果が、東京医科大学臨床検査医学講座・福武勝幸氏より発表された。その内容は、日本、台湾、ドイツ、欧州諸国の4箇所で実施された合計967名の血友病A患者に対する日常的なコージネイトFS治療の市販後調査結果を集計し、解析したもので、コージネイトFSが軽症から重症型の幅広い患者に対して、出血時または手術時の止血管理に有効であり、有害事象の発生率も低かったというデータが示されたとのこと。また、治療歴のある患者と治療歴のない患者の両方で、インヒビター(中和抗体)の発生率が比較的低かったことも確認されたという。バイエル薬品株式会社からの報告。

急性腹痛を主訴とする救急患者への画像診断はどう行うべきか

アムステルダム大学メディカルセンター(オランダ)のWytze Lameris氏らは、急性腹痛を訴える救急患者への画像診断について、最も正確に診断するための戦略を検討した。その結果、画像診断感度が最も高いのはCTだが、まずは超音波で診断し、陰性もしくは確定できない場合のみCTを行うのが、最も診断精度が高く、患者にとって被曝も少なくて済むメリットがあると報告した。BMJ誌2009年7月4日号(オンライン版2009年6月26日号)より。