腰椎ヘルニアによる坐骨神経痛の治療は、従来法が優れる

提供元:ケアネット

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公開日:2009/07/21

 



腰椎ヘルニアによる坐骨神経痛の治療として、新しい筒型開創器利用椎間板切除術は、従来の顕微鏡下ヘルニア摘出術と比べた試験の結果、そのアウトカムについて優位性がないと報告された。筒型開創器利用椎間板切除術は、新しい技術として導入されてきているものの、その効果を示すエビデンスは乏しかった。オランダLeiden大学のMark P. Arts氏らが、300人超を対象に行った二重盲無作為化試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年7月8日号で発表している。

1年後RDQスコアは従来法群が良好




研究グループは、2005~2006年にかけて、腰椎ヘルニアによる足の痛みを8週間超にわたる328人について、試験を行った。被験者の年齢は、18~70歳だった。研究グループは被験者を2群に分け、一方には筒型開創器利用椎間板切除術(切除術群:167人)を、もう一方には従来型の顕微鏡下ヘルニア摘出術(摘出術群:161人)を行った。試験開始後8週間と1年後に、それぞれローランド・モリス活動障害問診表(RDQ)スコアなどを調べた。

その結果、術後1年後のRDQスコア平均値は、切除術群が4.7(標準偏差:0.5)に対し、摘出術群は3.4(同:0.5)と、従来法の摘出術群のほうが有意に良好だった(グループ間平均スコア格差:1.3、95%信頼区間:0.03~2.6)。なお術後8週間のRDQスコア平均値は、切除術が5.8(標準偏差:0.4)、摘出術群は4.9(同:0.5)と、両群で有意差はなかった。

1年後視覚的アナログスケールでも従来法群が良好




術後1年後の、痛みに関する視覚的アナログスケール(VAS)についても、摘出術群が切除術群より有意に良好で、足の痛みの両群格差平均は4.2mm(95%信頼区間:0.9~7.5)、腰痛の両群格差平均は3.5mm(同:0.1~6.9)だった。

また、術後1年後に、回復が良好であると報告した患者に関しても、摘出術群の79%に対し、切除術群は69%と、従来法の摘出術群のほうが優れていた(オッズ比:0.59、95%信頼区間:0.35~0.99、p=0.05)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)