急性腹痛を主訴とする救急患者への画像診断はどう行うべきか

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2009/07/17

 



アムステルダム大学メディカルセンター(オランダ)のWytze Lameris氏らは、急性腹痛を訴える救急患者への画像診断について、最も正確に診断するための戦略を検討した。その結果、画像診断感度が最も高いのはCTだが、まずは超音波で診断し、陰性もしくは確定できない場合のみCTを行うのが、最も診断精度が高く、患者にとって被曝も少なくて済むメリットがあると報告した。BMJ誌2009年7月4日号(オンライン版2009年6月26日号)より。

オランダで患者1,021例参加のもと検討




本診断精度研究は、オランダの2つの大学病院と、4つの規模の大きな教育研究病院の救急治療部を対象に、2時間超~5日未満の非外傷性腹痛を訴える患者1,021例が参加し行われた。処置を担当した医師によって画像診断不要と判断されたケース、妊婦、出血性ショックで救急治療部から退出したケースは除外された。

対象となった患者は全員、臨床診断と臨床検査後に、単純X線(正面胸部、背面腹部)、超音波、CTが行われた。

試験介入から6ヵ月後、臨床経験豊富な医師からなる委員会が、最終診断と緊急症例だったか否かの同定を行った。

主要評価項目は、緊急症例と診断できた感度および特異度、見逃し・偽陽性症例の割合、画像診断単回、条件付き画像診断(超音波後にCT)、BMI・年齢・痛みの部位の判断だけによる画像診断実行における被曝の違い、とされた。

超音波後CTでは、見逃し症例6%




緊急症例だったと同定されたのは、661例(65%)だった。

最初の臨床診断では大半が、偽陽性緊急と診断していたが、超音波またはCTの後でかなり減っていた。

CTは超音波よりも、多くの緊急症例を検出することができた。感度は、CTは89%(95%信頼区間:87%~92%)、超音波は70%(67%~74%)(P<0.001)。

条件付き画像診断戦略(超音波後、陰性か確定できない場合のみCT)が、最も感度が高く、見逃し症例は6%だった。なおこの戦略におけるCT受診患者は49%だった。

BMI・年齢・痛みの部位の判断だけによる画像診断実行はすべて感度低下に至った。

(朝田哲明:医療ライター)