日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1109

EU加盟国間にも健康格差が

欧州連合(EU)加盟25ヵ国間には50歳時の健康生存年(HLY)に実質的な格差が存在することが、イギリスLeicester大学健康科学科のCarol Jagger氏らの調査で明らかとなった。この知見は、EU全体の健康状態が大幅に改善されなければ、すべての国で高齢者の就業率を向上させるのは困難なことを示唆するという。Lancet誌2008年12月20/27日号(オンライン版2008年11月17日号)掲載の報告。

頸動脈内膜剥離術では全身麻酔と局所麻酔のいずれを選択すべきか?

アテローム動脈硬化性の頸動脈狭窄に対する頸動脈内膜剥離術施行時の麻酔法として、全身麻酔と局所麻酔では周術期の脳卒中やその他の合併症の抑制効果に差はないことが、イギリスWestern General Hospital臨床神経科学科(エディンバラ市)のSteff C Lewis氏らが行ったGALA(General anaesthesia versus local anaesthesia for carotid surgery)試験の解析結果から明らかとなった。今後、いずれの麻酔法を選ぶかは、患者の好みや他の医学的な理由に委ねられることになりそうだ。Lancet誌2008年12月20/27日合併号(オンライン版2008年11月27日号)掲載の報告。

RNA干渉とがん転帰との関連

遺伝子発現が、「RNA干渉」という細胞内機構で調節されていることが発見され、がん治療研究の最前線では、特異的な遺伝子を沈黙させるRNA干渉分子の研究が進んでいる。米テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターのWilliam M. Merritt氏らは、RNA干渉機構の酵素であるDicerとDroshaに着目し、細胞内でのこれらの発現レベルと卵巣がん転帰との関連を調べた。NEJM誌2008年12月18日号より。

2型糖尿病患者には、低グリセミック指数食療法を

 2型糖尿病患者に対し、低グリセミック指数(GI)食療法を行うことで、高シリアル線維食療法に比べ、グリコヘモグロビン(HbA1c)値は減少し、高比重リポ蛋白(HDL)値は上昇することがわかった。これは、カナダSt Michael’s Hospital(トロント)のDavid J. A. Jenkins氏らの研究で明らかになったもので、JAMA誌2008年12月17日号で発表した。

院内緊急対応チーム結成による、院内心肺停止コード発生率や死亡率に変化なし

病院内に、患者の緊急事態に備えた対応チームを結成しても、院内の患者の心肺停止を知らせるコード発生率や死亡率は減少しないようだ。米国ミズーリ大学Paul S. Chan氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2008年12月3日号で発表されている。これまでの研究では、緊急対応チームを結成することで、集中治療室(ICU)以外でのコード発生率が減ることが示されており、米国Institute for Healthcare Improvementでも、病院への同チーム設置を推奨してきた。だが、同チームの介入でより多くの患者がICUに移された可能性が大きく、ICUを含めた院内全体のコード発生率や死亡率が減少するかどうかは、明らかではなかった。

富士通、企業の新型インフル対策支援を開始

富士通は、企業の災害やセキュリティインシデントなどへの対応から、コンプライアンス強化、内部統制対応などの企業価値向上のためのガバナンスまで支援する安心安全ソリューション「SafetyValue(セーフティバリュー)」強化の一環として、新型インフルエンザ対策関連ソリューションの提供を開始すると発表した。

80歳以上男性の心血管疾患とがん発病率は?

先進国で主要な疾患および死因となっている心臓病、脳卒中、がんについて、80歳以上の高齢男性の傾向を、ブリガム&ウィメンズ病院(アメリカ)のJane A Drive氏らが、Physicians’ Health Studyに参加した米国男性医師2万2,048人を対象に調査を行った。これまでこれら疾患の80歳以降の発病率は明らかになっておらず、特に90歳代、100歳代に関する研究はほとんどなかった。BMJ誌2008年12月13日号(オンライン版2008年12月9日号)より。