日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1103

引用は、情報カスケードを喚起するために使われる可能性がある

論文引用には、学究的な活用とは別に、説得のためのツールという側面がある。いわゆる引用バイアス(引用によって説得力が生じる)は、臨床治験報告で見られ、治療の有効性を間違った確信に誘導する可能性があると指摘される。米国ブリガム&ウィメンズ病院神経学部門/子供病院情報科学プログラムのSteven A Greenberg氏は、論文間での引用パターンを調べ、どのように論説が権威付けされるのかを考察した。BMJ誌2009年7月25日号(オンライン版2009年7月21日号)より。

若い年代・貧困層では、虚血性心疾患死亡率の低下がフラットに

英国リバプール大学公衆衛生部門のMartin O’Flaherty氏らは、スコットランドにおける年齢特異的な虚血性心疾患死亡率の、最近の傾向および社会格差との関連を調査した。スコットランドではここ20年で、虚血性心疾患死亡率が半減したが、近年は肥満および若年成人の糖尿病が増大しており、今後の虚血性心疾患死亡率の増加が危惧される。O’Flaherty氏らは、心血管リスク因子は社会経済的に虐げられていることと密接な関連が見られることから、仮に若い年代の死亡率が悪化している場合は、貧困層にその傾向が認められるだろうと仮定し本研究を行った。BMJ誌2009年7月25日号(オンライン版2009年7月14日号)より。

ケタミンは、迅速気管挿管時の鎮静においてetomidateと代替可能

フェンサイクリジン系麻酔薬であるケタミン(商品名:ケタラール)は、重症患者に対する迅速気管挿管時の鎮静薬として安全に使用でき、etomidateの代替薬となりうることが、フランスParis 第13大学のPatricia Jabre氏らが実施した無作為化試験で明らかにされた。重症患者は緊急の挿管を要することが多いが、鎮静薬として頻用されるetomidateは用量依存的な11βヒドロキシラーゼ阻害により可逆的な副腎の機能不全を引き起こす可能性があり、院内合併症罹患率の上昇を招くおそれがあるという。Lancet誌2009年7月25日号(オンライン版2009年7月1日号)掲載の報告。

経済危機による失業で、殺人が増え交通事故死が減る:欧州の場合

失業率の上昇により、殺人(意図的な暴力による早死)が短期的に有意に増加し、交通事故死が有意に低下することが、イギリスOxford大学社会学科のDavid Stuckler氏らが実施したヨーロッパ諸国の実証的な調査結果から判明した。現今の経済危機、特に失業が公衆衛生に及ぼす有害な影響については、広範な関心の高まりが見られるという。世界保健機構(WHO)は、「ストレス、自殺、精神疾患の持続的な増加を目の当たりにしても驚くべきでない」「貧困層および社会的弱者が最初に影響を受けるであろう」「保健予算の確保はますます難しくなるであろう」と警告している。Lancet誌2009年7月25日号(オンライン版2009年7月8日号)掲載の報告。

アステラスとアストラゼネカが吸入喘息治療薬「ブデソニド・ホルモテロール配合剤」のコ・プロモーション契約締結

アストラゼネカ株式会社とアステラス製薬株式会社は4日、吸入喘息治療薬「ブデソニド・ホルモテロール配合剤(一般名)」の日本国内におけるコ・プロモーションについて、アストラゼネカ株式会社の関連会社であるスウェーデンのアストラゼネカABとアステラス製薬が契約書を締結したと発表した。

ピタバスタチンカルシウム、米国においてFDAより販売許可取得

興和株式会社は4日、2008年10月に100%子会社である米国Kowa Research Institute, Inc.を通じて米国食品医薬品局(FDA)に申請していた、原発性高コレステロール血症および混合型脂質異常症治療剤として「ピタバスタチンカルシウム(米国登録商標名:LIVALO)の新薬販売許可を、2009年8月3日(現地時間)付で取得したと発表した。

経口バソプレシンV2受容体拮抗剤SAMSCA SIADHによる低ナトリウム血症の治療薬としてECより承認取得

大塚製薬株式会社は4日、欧州統括会社である英国大塚ファーマシューティカルヨーロッパLtd.が、経口選択的バソプレシンV2受容体拮抗剤「SAMSCA」(日本語表記:サムスカ、一般名/一般名英語表記:トルバプタン/tolvaptan)について、成人の抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)による低ナトリウム血症の適応症で、2009年8月3日に欧州委員会(European Commission:EC)から販売承認を取得したと発表した。

味の素、P&Gから骨粗鬆症治療剤リセドロネート事業に関する特許・商標など取得

味の素株式会社(以下味の素(株))は、7月31日、The The Procter & Gamble社およびProcter &Gamble Pharmaceuticals社(本社:アメリカ、以下あわせてP&G社)より、日本における骨粗鬆症治療剤リセドロネート(一般名:リセドロン酸ナトリウム水和物)事業に関する特許、商標等の資産を、総額210百万USドル(消費税込み:約210億円)で譲り受ける契約を締結したと発表した。

ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ」の申請をFDAが受理

 中外製薬株式会社およびF.ホフマン・ラ・ロシュ(以下、ロシュ社)は7月31日、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラの米国食品医薬品局(FDA)への生物学的製剤承認申請書(Biologics License Application:BLA)に関して、FDAから2008年9月に通達されたComplete Response Letterへの回答をロシュ社が提出し、FDAが受理したことを発表した。

ペグインターフェロン、α-2aとα-2b間および用量の違いでの奏効率に有意差なし

C型慢性肝炎患者には、治療ガイドラインで、ペグインターフェロンα-2a(商品名:ペガシス)もしくはα-2b(商品名:ペグイントロン)を、リバビリン(商品名:コペガス、レベトール)との併用で用いることが推奨されている。しかし、両剤には構造上および投与用量(体重補正 vs. 固定)の違いから、臨床転帰に重大な違いがもたらされると言われ、いくつかのエビデンスも報告されている。そうした中で、米国デューク大学医療センターのJohn G. McHutchison氏らIDEAL研究グループは、「HCVジェノタイプⅠ型患者で、製剤間・用量間による有意差はなかった」とする報告を発表した。NEJM誌2009年8月6日号(オンライン版2009年7月22日号)掲載より。