日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1093

前兆を伴う偏頭痛を経験した中年女性、小脳梗塞様病変の発生が約2倍

中年期に前兆を伴う偏頭痛を毎月経験した女性は、頭痛経験がなかった人に比べ、後年期に、小脳梗塞様病変が発生する割合が約2倍増加することがわかった。なお、前兆のない偏頭痛や、男性の前兆を伴う偏頭痛については、同関連は見られなかったという。米国Uniformed Services大学のAnn I. Scher氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年6月24日号で発表した。

FDAがMultaqを承認 2009年夏に米国で発売予定

フランスのサノフィ・アベンティス社は2日(現地時間)、米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)からMultaq(一般名:dronedarone)400mg錠が承認されたことを発表した。心房細動または心房粗動の患者は、現在の疾病管理を改善する新たな治療選択肢をまもなく得ることができるようになるという。Multaqは、心房細動または心房粗動の患者における心血管系の理由による入院を減少させるという臨床ベネフィットを持つ、米国で承認された初の医薬品。

がん治療薬「ECI301」(蛋白製剤) 米国国立加齢研究所のIRBが臨床開始を承認

株式会社ECIは3日、同社が開発を進めているがん治療薬ECI301(蛋白製剤)に関し、7月2日(US-EDT:米国東部夏時間)、新薬治験開始届(IND:Investigational New Drug)正式承認後行われる米国国立加齢研究所(NIA:National Institute on Aging)の治験審査委員会(IRB :Institutional Review Board)から、臨床試験開始の承認を取得したと発表した。

スタチン使用と地域在住高齢者の肺炎のリスク減少とは関連がない

本当にスタチンは、院外感染性肺炎のリスクを減少させる可能性があるのか? 米国ワシントン大学疫学部門Sascha Dublin氏ら研究グループが行った、住民ベースの症例対照研究の結果、「従前研究の所見は、“healthy user”のバイアスが反映されているのではないか」とする報告が寄せられた。BMJ誌2009年6月20日号(オンライン版2009年6月16日号)掲載より。

開業助産師と契約した出産のほうが転帰が優れている:イギリス

イギリスで行われた調査の結果、開業助産師との契約下で行われた出産のほうが、NHSとの契約下の場合より、概してよい臨床転帰であることが報告された。ダンディー大学看護・助産学のAndrew Symon氏らが、英国開業助産師協会(IMA)からの出産データと、スコットランドNHSからの出産データを照合比較した結果によるもので、BMJ誌2009年6月20日号(オンライン版2009年6月11日号)で発表された。英国には現在、IMA所属の開業助産師が118人、一方NHS雇用の助産師は31,064人おり、自宅出産(ただしほとんどがNHS職員立ち会い)が約2.5%行われているという。日本の現状についてはこちら(助産師 http://www.nurse.or.jp/toukei/pdf/toukei03.pdf、出産場所 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001032156 表4-8 市部-郡部・出生場所別にみた年次別出生数百分率)を参照。

FDAに「FLOMAX」の小児試験データを提出 アステラス製薬が発表

アステラス製薬株式会社は1日、そのライセンシーであるドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社の米国子会社ベーリンガーインゲルハイムファーマシューティカルズ社(以下、BIPI社)が前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤「FLOMAX」(一般名:タムスロシン塩酸塩、日本での製品名:ハルナール)について小児の神経因性排尿障害に関するデータを2009年6月25日(現地時間)に米国食品医薬品局(FDA)に提出したと発表した。

エパデールが冠動脈イベントの再発を抑制する ―JELIS試験の解析結果より

持田製薬株式会社は6月30日、高脂血症、閉塞性動脈硬化症治療剤である「エパデール」(一般名:イコサペント酸エチル、EPA)の高脂血症患者を対象とした大規模臨床試験「JELIS」において、登録時点で心筋梗塞等の冠動脈疾患の既往のある症例(二次予防症例)を対象としたサブ解析で、エパデールが冠動脈イベントの再発を有意に抑制するとの結果が得られたと発表した。

アブレーション治療用カテーテル「ナビスター サーモクール」新発売

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社は1日、本邦初となるイリゲーションカテーテル「NAVISTAR THERMOCOOL」(販売名:ナビスター サーモクール)を発売した。ナビスター サーモクールは、頻脈性不整脈の根治治療の一つであるアブレーション治療用のカテーテル。この製品は2008年12月に厚生労働省より承認を取得している。

rosiglitazone追加は心血管リスクへの影響はないが、心不全が有意に増加

2型糖尿病に対する標準的な血糖降下薬治療にrosiglitazoneを追加する方法は、全体として心血管リスクを増大させないものの、心不全および女性の骨折のリスクを有意に増大させることが、イギリスNewcastle糖尿病センターのPhilip D Home氏らが実施した無作為化試験(RECORD)で明らかとなった。2型糖尿病の治療における経口血糖降下薬の効果には限界があるため、一般に併用療法が行われる。インスリン抵抗性改善薬であるrosiglitazone は、ヨーロッパでは2000年に同じチアゾリジンジオン系薬剤であるピオグリタゾン(商品名:アクトス)とともにメトホルミンやスルホニル尿素薬との併用投与が承認されている。Lancet誌2009年6月20日号(オンライン版2009年6月5日号)掲載の報告。

低~中所得国への世界的基金やNGOによる健康支援が大幅に増大

近年、低~中所得国への健康関連リソースの流入は実質的に増大しており、国連機関などを通じた援助が減る一方で、公的、私的な世界的基金や非政府組織(NGO)による支援が大幅に増えていることが、アメリカWashington大学健康指標評価研究所(IHME)のNirmala Ravishankar氏らの調査で明らかとなった。低~中所得国への世界的健康リソースに関する時宜を得た信頼性の高い情報提供の必要性は広く認知されるところだが、その現状はよくわかっていないという。Lancet誌6月20日号掲載の報告。

痛風・高尿酸血症治療剤「TMX-67」韓国で販売承認取得

帝人ファーマ株式会社は30日、新規痛風・高尿酸血症治療剤「TMX-67」(一般名:フェブキソスタット)について、韓国の導出先であるエスケーケミカルズ株式会社が、6月25日に韓国食品医薬品局(KFDA:Korea Food and Drug Administration)より痛風発作を伴う高尿酸血症治療剤として販売承認を取得したことを発表した。

1日1回投与型プラミペキソール徐放性製剤にCHMPから承認勧告

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社は26日、同社が開発中の1日1回投与型プラミペキソール徐放性製剤が、欧州医薬品庁(EMEA)の諮問機関である医薬品委員会(CHMP)により、EU各国、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインにわたる諸国での承認勧告を受けたと発表した。適応として、早期から進行期に及ぶあらゆる病期のパーキンソン病の兆候・症状の治療に、単剤もしくはレボドパとの併用で用いる、と記載されている。

「エポジン注」が化学療法に伴う貧血を対象とする第III相臨床試験で主要評価項目を達成

中外製薬株式会社は30日、がん化学療法施行に伴う貧血を予定適応症として開発中の遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤「エポジン注」(一般名:エポエチン ベータ〔遺伝子組換え〕)の第III相臨床試験において、主要評価項目である理論輸血率が有意に低下する結果が得られたことを発表した。

5年前の出生前B群溶連菌スクリーニング、10年前に比べ実施率1.8倍に

米国で、2003~2004年の出生前B群溶連菌スクリーニングの実施率が、1998~1999年に比べ、およそ1.8倍に増えてきていることがわかった。これは、2002年に米国の診療ガイドラインで、同スクリーニングの実施が勧告されたことによると考えられる。これに伴い、分娩時の抗生物質投与実施率も約5ポイント増加していた。米国疾病対策予防センター(CDC)のMelissa K. Van Dyke氏らの調べで明らかになったもので、NEJM誌2009年6月18日号で発表した。

新型インフル流行前、2005年末から散見されていたトリプル再集合体ウイルス:CDC

すでに各メディアで報じられているので耳にしたことがあると思われるが、本論は、米国疾病管理予防センター(CDC)Vivek Shinde氏らがNEJM誌2009年5月7日号で発表した、新型ウイルスパンデミック前夜に散見されていた、トリ・ヒト・ブタのインフルエンザウイルスの遺伝子を有する「トリプル再集合体ブタインフルエンザA(H1)ウイルス」の感染症例に関する報告である。本誌では2009年6月18日号で収載された(データは、5月22日にアップデートされたものが掲載されている)。

新型インフル感染642例の症例報告:CDC(2009年6月3日時点)

世界保健機関(WHO)が、新型インフルに関して人-人感染の拡がりを警告するフェーズ4を宣言したのは、2009年4月27日夜(日本時間28日朝)だった。日本政府は同発表を受け同日、公式な警戒宣言を発令した。そして6月30日18時現在、警戒水準はパンデミックを示すフェーズ6、感染者数は世界で70,893名(死亡311名)、日本でも、1,211名(死者0)となっている。新型インフルのヒトへの発現が初めて確認・報告されたのは4月23日(日本時間24日)、米国疾病対策予防センター(CDC)からだったが、本論はそのCDCによる、米国での4月15日~5月5日に新型インフル感染が確認された642例に関する報告で、NEJM誌2009年6月18日号に掲載されたものである。Fatimah S. Dawood氏らCDCのNovel Swine-Origin Influenza A(H1N1)Virus Investigation Teamによる同報告は、オンライン版で5月7日に発表されたが、本誌掲載時のデータは6月3日に更新されている。