日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1093

サノフィ・アベンティスと米国Merrimack社、MM-121に関してグローバル提携およびライセンス契約を締結

フランスのサノフィ・アベンティス社とMerrimackPharmaceuticals社は7日、固形悪性腫瘍の治療を目的として、ErbB3(HER3)受容体のシグナル伝達を阻害するように設計されたファースト・イン・クラスの完全ヒトモノクローナル抗体MM-121に関して、グローバル提携およびライセンス契約を締結したことを発表した。MM-121は現在臨床試験の第I相段階にあるという。

身体測定と大腿周囲測定で、患者の心疾患リスク、早死にリスクが把握できる?

BMI値低値と除脂肪体重低値が早死にと関連していること、また、BMI値、腹囲、腹囲臀部周囲比率の各値が高値で、臀部周囲が低値であることも同じく早死にと関連していることは知られている。さらに最近の研究では、大腿周囲が低値ほど心血管疾患と全死因死亡リスクが大きくなるとの指摘があり、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のBerit L Heitmann氏らは、検証のため、前向き観察によるコホート研究を行った。BMJ誌2009年9月26号(オンライン版2009年9月3日号)より。

社会的貧困と死亡率との関連は100年経っても変わっていない

英国ランカスター大学人文社会科学学部のIan N Gregory氏は、イギリスおよびウェールズの中で、社会的に貧困状態にある人々に焦点をあてた死亡率の、20世紀初頭と21世紀初頭における変化を調査した。イギリスおよびウェールズは、20世紀において死亡率パターンに劇的な改善が見られた。乳幼児死亡率が激減し、男女とも寿命は30歳以上延び、死因についてもかつては約2割を感染症や寄生虫症が占めていたが、現在は替わって、がん・虚血性心疾患・脳卒中が主因を占める。一方でこの1世紀の間に、貧困は一部地域(行政区)に住まう人々だけのものとなった。そうした人々に焦点をあてた死亡率の変化を見たような国家的研究はほとんどないという。BMJ誌2009年9月19日号(オンライン版2009年9月10日号)より。

手根管症候群に対する手術と非手術的治療、どちらが有効?

手根管症候群の治療では、手術、非手術的治療のいずれもが症状の改善効果を示すが、機能の改善効果は手術が優れ、全体としてより良好な転帰をもたらすことが、アメリカWashington大学医学部放射線科のJeffrey G Jarvik氏らが行った無作為化試験で明らかとなった。手根管症候群は最もよくみられる絞扼性末梢神経障害であり、労働不能の主要原因だという。4つの試験の系統的レビューでは、手術のほうが固定法よりも症状の改善効果が高いことが示されているが、特に軽症例においてさらなる検討が望まれていた。Lancet誌2009年9月26日号掲載の報告。

慢性硬膜下血腫に対する穿頭血腫除去術後のドレナージの有効性を確認

イギリスCambridge大学Addenbrooke’s病院脳神経外科のThomas Santarius氏らは、慢性硬膜下血腫に対する穿頭血腫除去術(burr-hole evacuation)の施行後にドレナージを併用すると、併用しない場合に比べ再発率および死亡率が有意に低減するとの試験結果を、2009年9月26日発行のLancet誌上で報告した。慢性硬膜下血腫は高齢者に多く、今後、世界的な増加が予測されている。重篤な疾患および死亡の原因となり、外科的な血腫除去術のみを施行した場合の再発率は5~30%とされる。血腫除去術後のドレナージは再発を抑制する可能性があるが、一般にイギリスではルーチンには行われていないという。

『Noisy Roommate(厄介な同居人) 過敏性腸症候群(IBS)』に関する2万人の実態調査

 2009年10月6日、過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)に関して行われた2万人の実態調査の結果を受けて、下痢型IBS治療薬ラモセトロン(商品名:イリボー)の販売会社であるアステラス製薬によるプレスセミナーが、島根大学医学部内科学第二 木下 芳一氏(写真)を迎えて開催された。

医療用ICタグを用いた手術器械管理システム 外科手術の臨床試験実施へ

NEC、東京医療保健大学、ICタグ専門メーカのKRDコーポレーションは5日、メス、鉗子などの鋼製小物の手術器械に、洗浄後の再使用の際に必要となる工程である高圧蒸気滅菌などに耐えうる特殊なセラミック型ICタグを取り付け、体内への手術器械の置忘れを防ぐための手術中所在・定数管理や、手術器械の製造・使用・滅菌履歴等を管理するシステムを共同で開発し、埼玉県済生会栗橋病院と東京大学の協力を得て、本システムの外科手術における臨床試験を本年9月から約6ヵ月間行うと発表した。

ランタス、デテミルと比較して投与量当たりの有効性において優位性を示す

サノフィ・アベンティス社(フランス、パリ)は9月30日(現地時間)、1 日1回投与で24 時間作用が持続する基礎インスリンであるランタス(一般名:インスリン グラルギン〔遺伝子組換え〕)とインスリン デテミルとの直接比較試験の結果を発表した。同試験結果は、ウィーンで開催された第45 回欧州糖尿病学会(EASD:European Association for theStudy of Diabetes)で発表された。

NPHインスリンと比較して、ランタス1日1回投与の有効性と低血糖リスクの低減効果を確認

サノフィ・アベンティス社(フランス、パリ)は9月30日(現地時間)、ランタス(一般名:インスリン グラルギン〔遺伝子組換え〕)を使用すると、NPH インスリンと比較して夜間低血糖のリスクが有意に低下することを示す新たな解析結果を発表した。別の事後サブ解析の結果では、ランタスを使用している65歳以上の患者において、HbA1c および空腹時血糖値(FBG)がNPH インスリンと比較して大幅に低下することも明らかになったという。これらの解析結果は、ウィーンで開催された第45 回欧州糖尿病学会(EASD:European Association for the Study ofDiabetes)で発表された。

エキセナチドからリラグルチドへの切り替えにより、2型糖尿病患者の血糖コントロールが向上

ノボ ノルディスク社は、第45回欧州糖尿病学会(略称:EASD、オーストリア・ウィーン)において9月30日、2型糖尿病患者が、エキセナチド1日2回投与(10μg)から新規糖尿病薬のリラグルチド1日1回投与(1.8mg)に切り替えることで治療結果がさらに向上したというLEADTM 6延長試験の結果を発表した。

インフルエンザ予防、不活化ワクチン vs. 弱毒性ワクチン、どっちが有効?

季節性インフルエンザワクチンの効力は、種々の因子(接種される人の年齢や健康状態、同型であってもワクチン株のタイプと実際に流行したタイプの抗原性の違いなど)によって異なるのではと言われている。また、認可されているワクチンには不活化ワクチンと弱毒性ワクチンがあり、その違いによる効力の違いも言われている。そこで米国ミシガン大学公衆衛生校疫学部門のArnold S. Monto氏らは、不活化ワクチンと弱毒性ワクチンの効力の違いに関する調査を、2004~2005年インフルエンザシーズンより開始した。18~48歳の健康な男女を対象とする無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、本論は、調査4シーズン目で、インフルエンザA型(H3N2)ウイルスが流行した、2007~2008年期からの報告。NEJM誌2009年9月24日号掲載より。

心房細動患者へのdabigatran vs.ワルファリン:RE-LY試験

脳卒中および死亡リスクを増大する心房細動に対し、ワルファリン(商品名:ワーファリンなど)は、脳卒中リスクを低下する効果がある。しかし出血リスクを増すため、実際に使用されるケースは少なく、中断例も多い。そこで、心房細動患者を対象とした試験で静脈血栓塞栓症予防効果の評価が得られている、新規経口直接トロンビン阻害薬dabigatranと、ワルファリンとを比較する第3相臨床試験(RE-LY試験)が、カナダ・マクマスター大学のStuart J. Connolly氏らによって行われた。試験は2種の用量(110mgまたは150mgを1日2回)について検討され、結果はNEJM誌2009年9月17日号(オンライン版2009年8月30日号)に掲載された。

米国での成人を対象としたインフルエンザA 型(H1N1)ワクチン単回接種後の臨床試験結果を発表

仏サノフィ・アベンティス社は1日(現地時間)、サノフィ・アベンティスグループ(EURONEXT:SANおよびNYSE:SNY)のワクチン事業部門であるサノフィパスツールが同日、18歳から64歳、また65歳以上の成人を対象として、米国ですでに承認されている2009年新型インフルエンザA型(H1N1)単価ワクチンの臨床試験データの中間報告を発表したと公表した。

新型インフルエンザワクチン「CELVAPAN」に、EMEAが承認勧告

米バクスターインターナショナルインクは、ヴェロ細胞培養由来の新型インフルエンザワクチン「CELVAPAN(H1N1株)」について、欧州医薬品庁(EMEA)医薬品委員会(CHMP)による承認勧告を得たことを2日(現地時間)に発表した。EMEAによる承認勧告は、製造販売の承認を示唆するものである。

HIV感染症治療薬「アイセントレス錠400mg」未治療の成人HIV患者の使用が可能に

 万有製薬株式会社は5日、HIV感染症治療薬「アイセントレス錠400mg」(一般名:ラルテグラビルカリウム)の添付文書改訂を受け、未治療の成人HIV患者に対する同剤の使用制限が解除されたことを発表した。これにより、アイセントレス錠400mgは従来の治療経験のある成人HIV患者に加え、未治療の成人HIV患者さんの治療にも使用できるようになった。

うつ状態のレジデントは、医療ミス発生リスクが2.56倍に

米国内科レジデント医を対象に行った調査で、疲労とストレスが増すにつれて、医療ミス増加につながることが明らかにされた。これまでの研究結果では、疲労とストレスを別々に分析した場合で、それぞれが医療ミス増加の原因になっていることは明らかになっていたが、両者を併せて分析した場合については明らかになっていなかった。調査を行ったのは、米国メイヨークリニックのColin P. West氏らで、JAMA誌2009年9月23/30日号で発表した。

限局性前立腺がん保存治療の10年死亡リスク、中等度分化型腫瘍は6~7割減少

限局性前立腺がんで中等度分化型腫瘍の人に対し保存治療を行った場合、10年以内に前立腺がんが原因で死亡するリスクは、1992年以降のデータでは6%と、それ以前の15~23%に比べ6~7割減少したことが明らかになった。近年、前立腺がんのスクリーニングには、前立腺特異抗原(PSA)が使われているが、PSA検査が普及して以降の限局性前立腺がんの保存的治療のアウトカムに関する研究はほとんど行われていなかった。米国Cancer Institute of New JerseyのGrace L. Lu-Yao氏らが、約9万人の前立腺がん患者について行った、コホート試験の結果で、JAMA誌2009年9月16日号で発表している。