新型インフル感染642例の症例報告:CDC(2009年6月3日時点)

提供元:ケアネット

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公開日:2009/07/01

 



世界保健機関(WHO)が、新型インフルに関して人-人感染の拡がりを警告するフェーズ4を宣言したのは、2009年4月27日夜(日本時間28日朝)だった。日本政府は同発表を受け同日、公式な警戒宣言を発令した。そして6月30日18時現在、警戒水準はパンデミックを示すフェーズ6、感染者数は世界で70,893名(死亡311名)、日本でも、1,211名(死者0)となっている。新型インフルのヒトへの発現が初めて確認・報告されたのは4月23日(日本時間24日)、米国疾病対策予防センター(CDC)からだったが、本論はそのCDCによる、米国での4月15日~5月5日に新型インフル感染が確認された642例に関する報告で、NEJM誌2009年6月18日号に掲載されたものである。Fatimah S. Dawood氏らCDCのNovel Swine-Origin Influenza A(H1N1)Virus Investigation Teamによる同報告は、オンライン版で5月7日に発表されたが、本誌掲載時のデータは6月3日に更新されている。

60%が18歳以下、主症状は発熱、せき




CDCが、ブタ由来新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス[swine-origin influenza A(H1N1)virus]を同定したのは、2009年4月15日と4月17日の2つの疫学的に関連のない患者からだった。以後、同一のウイルス株は、4月15日~5月5日の間に、全米41州で642例が確認された。以下に、主な結果を示す。

・患者の年齢:3ヵ月~81歳。60%が18歳以下の患者だった。

・感染経緯:データが得られた患者18%(68/381例)が、最近メキシコに渡航していた。また16%(104/642例)は、学校での集団感染だった。

・主な症状:最も多く見られたのは「発熱」94%で、「せき」92%、「のどの痛み」66%と続く。また、「下痢」25%、「嘔吐」25%もあった。

・入院有無が確認できたのは399例。そのうち実際に入院を要したのは36例(9%)だった。

・入院時のデータが得られたのは22例である。そのうち12例は、重篤な季節性インフルエンザのリスクが増大した特徴を有していた。11例には肺炎が見られ、8例がICUにて治療を受けた。4例が呼吸不全を呈し、死亡は2例だった。

研究チームは最後に、「確定症例数よりも、実際の症例数はずっと多い可能性が高い」と述べているが、6月25日時点での米国内感染者数は27,717例(死亡127例)と発表されている。

(本稿関連・情報参照先サイト)

・厚生労働省:新型インフルエンザ対策関連情報
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html

・CDC:H1N1 Flu
http://www.cdc.gov/h1n1flu/

・読売新聞:新型インフル特集
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090425-436828/index.htm

(朝田哲明:医療ライター)