腰痛などに関与する傍脊柱筋変性を、日常的にCTで評価するための指標

提供元:ケアネット

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公開日:2013/04/26

 

 最近の研究で腰痛、椎間関節の変形性関節症、脊椎すべり症、椎間板変性疾患に傍脊柱筋変性が関与していることが示唆されているが、これまで簡単かつ信頼性の高いCTによる傍脊柱筋変性の指標はなかった。イスラエル・ベン=グリオン大学のLeonid Kalichman氏らはCTによる傍脊柱筋変性の評価について遂行可能性確認試験を行い、2つの指標(脂肪浸潤スコア、放射線学的密度比)が椎間関節の変形性関節症と有意に関連し、信頼性も高いことを明らかにした。Journal of Spinal Disorders & Techniques誌オンライン版2013年4月3日の掲載報告。

傍脊柱筋の脂肪浸潤スコアと椎間関節の変形性関節症は有意に関連

 本研究の目的は、傍脊柱筋における脂肪浸潤をスコア化し信頼性ならびに筋密度との関連を評価するとともに、椎間関節の変形性関節症と傍脊柱筋変性の指標との関連を評価することであった。

 連続150例(腰部75例、腹部75例)のCT画像を評価し、L4-5レベルにおける多裂筋および脊柱起立筋の筋密度(放射線学的平均密度;ハンスフィールド単位)および標準偏差を求め、放射線学的密度比(RDR=筋密度/標準偏差)を算出するとともに、傍脊柱筋における脂肪浸潤を3段階で評価した。

 椎間関節の変形性関節症と傍脊柱筋変性の指標との主な評価は以下のとおり。

・傍脊柱筋の脂肪浸潤スコアの信頼性(Kappa係数)は、評価者内信頼性が0.87~0.92、評価者間信頼性0.70~0.81であった。
・傍脊柱筋の筋密度の信頼性(級内相関係数)は、評価者内が0.96~0.99、評価者間が0.95~0.99、標準偏差についてはそれぞれ0.82~0.91および0.80~0.89であった。
・RDRは、椎間関節の変形性関節症ならびに傍脊柱筋の脂肪浸潤スコアと有意に関連した(p<0.01)。

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(ケアネット)