日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1093

QAB149がCOPD患者の呼吸機能を改善する

ノバルティス ファーマ株式会社は26日、3つの重要な第III相臨床試験の結果によると、スイス本社が開発中の気管支拡張薬であるQAB149(一般名:indacaterol)は慢性閉塞性肺疾患(COPD: Chronic Obstructive Pulmonary Disease)の患者において、臨床的に意味のある呼吸機能の改善が投与5分以内に認められ、しかも24時間持続することが明らかになったと発表した。

乳児の細気管支炎、エピネフリン+デキサメタゾン併用療法で入院が減る可能性

 乳児に最もよく見られる急性感染症の細気管支炎(大半はRSウイルスが原因)には、エピネフリン+デキサメタゾン併用療法を行うことで、入院を有意に減らす可能性があるとの報告が、カナダから寄せられた。オタワ大学小児科のAmy C. Plint氏らPERC(Pediatric Emergency Research Canada)の調査による。北米での細気管支炎による入院は、ここ10~15年でほぼ倍増しており、入院医療費は1998年時点で約4億~7億ドルに上ると試算されている。一方で、細気管支炎への治療についてはなお論争の的となっており、気管支拡張薬とコルチコステロイド療法は広く行われているが、推奨はされていない。研究グループは、それら懸念や論争に一石を投じるべく、救急部門で行われている治療(エピネフリン吸入療法、短期のデキサメタゾン経口投与、もしくは両治療の併用)によって入院が減っているかどうかを調べた。NEJM誌2009年5月14日号より。

心房細動患者へのアスピリン+クロピドグレル併用療法

心房細動患者に対し、ビタミンK拮抗剤投与によって脳卒中リスクを減らせるが(64%、抗血小板剤は22%)、アスピリンと比べると頭蓋内・外出血リスクが高い(50~70%増)。一方、急性冠動脈症候群患者を対象とした試験で、アスピリン+クロピドグレル併用療法がアスピリン単独と比べて、血管イベント発症に関してベネフィットをもたらすことが証明されていることを受け、ACTIVE研究グループは、心房細動患者に対する同併用療法の有効性を検討した。NEJM誌2009年5月14日号(オンライン版2009年3月31日号)掲載より。

関節リウマチ患者の関節破壊の予防と身体機能の改善にアクテムラが有効

 中外製薬株式会社は25日、スイス・ロシュ社が行ったLITHE試験の新しい2年間のデータからACTEMRA(トシリズマブ、欧州販売名:RoACTEMRA)が、関節の構造的損傷の抑制と高い寛解率の維持に引き続き有効であると発表した。関節リウマチ(RA)患者の関節の構造的損傷の予防は、RA治療の有効性を図る重要な指標となる。

米国で初めての経口選択的バソプレシンV2受容体拮抗剤SAMSCA FDAより承認取得

大塚製薬株式会社は22日、米国で初めての経口選択的バソプレシンV2受容体拮抗剤「SAMSCA」(日本語表記:サムスカ、一般名/一般名英語表記:トルバプタン/tolvaptan)について、低ナトリウム血症(心不全、肝硬変、および抗利尿ホルモン不適合分泌症候群:SIADH)の適応症で、FDA(米国食品医薬品局) より5月19日(米国東部時間)に承認を取得したと発表した。

心臓死後の臓器提供、米国小児病院の約7割で独自方針あるが内容にばらつき

心臓死後の臓器提供に関して、調査を行った米国小児病院のおよそ7割で、独自の方針が整備されているものの、その内容にはかなりのばらつきがあることがわかった。また2割の病院では、調査時点で同方針を整備中だった。米国Utah大学小児科学部のArmand H. Matheny Antommaria氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年5月13日号で発表した。

高齢で肥満のがん患者、電話による食事や運動指導で身体機能スコア低下を緩和

高齢で肥満のがん患者に対し、電話や郵送による食事・運動指導を行ったところ、1年後の身体機能スコアの低下が緩和できたという。QOL(生活の質)も向上し、体重も減少していた。これは、米国Duke大学高齢者センターのMiriam C. Morey氏らの調査で明らかになったもので、JAMA誌2009年5月13日号で発表した。

バリキサに臓器移植と悪性腫瘍におけるサイトメガロウイルス感染症への効能・効果追加承認

田辺三菱製薬株式会社は21日、抗サイトメガロウイルス化学療法剤「バリキサ錠450mg(一般名:バルガンシクロビル塩酸塩)」について、5月20日付で効能・効果の追加に係る承認事項一部変更承認を取得し、これまでの「後天性免疫不全症候群(エイズ)患者におけるサイトメガロウイルス網膜炎の治療」から、「後天性免疫不全症候群、臓器移植(造血幹細胞移植も含む)、および悪性腫瘍におけるサイトメガロウイルス感染症」の効能・効果となったと発表した。

下気道感染症への不必要な抗生物質処方が低減、その対策とは?

一般医(GP)がC反応性蛋白(CRP)検査を行い、コミュニケーション技能を鍛錬すれば、下気道感染症への抗生物質の処方が低減することが、オランダMaastricht大学医療センター一般医療科のJochenWL Cals氏らが実施した無作為化試験で明らかにされた。下気道感染症による咳嗽は抗生物質処方の最も一般的な理由の一つだが、プライマリ・ケアではその多くが患者にベネフィットをもたらしていない。不必要な抗生物質処方の最大の要因は、診断の不確実性や患者の期待だという。BMJ誌2009年5月9日号(オンライン版2009年5月5日号)掲載の報告。

「高齢」を理由に、脳卒中の2次予防を避けてはならない

高齢の脳卒中患者に対するプライマリ・ケアにおけるルーチンの治療では、年齢による効果の変動に関するエビデンスはないため、「高齢」を理由とする過少治療(under-treatment)は正当化されないことが、イギリスで行われたコホート研究で明らかとなった。公衆衛生学における薬物療法の役割に関する最近の研究は、冠動脈心疾患による死亡率の低減に焦点が当てられ、脳卒中などの定量的な検討はほとんど行われていないのが現状だという。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ疫学・公衆衛生学のRosalind Raine氏らが、BMJ誌2009年5月9日号(オンライン版2009年4月16日号)で報告した。

ホクナリンテープにスピリーバへの追加効果が実証される

マルホ株式会社とアボット ジャパン株式会社は20日、ホクナリンテープ(一般名:ツロブテロール)が慢性閉塞性肺疾患の臨床診断基準を満たす安定期の慢性気管支炎や肺気腫に伴う閉塞性気道障害(以下COPD と略)を対象とした臨床研究で「スピリーバ吸入用カプセル18μg」(一般名:チオトロピウム)への追加効果を持つことが示されたと発表した。

ネクサバールに切除不能な肝細胞がんへの適応追加 日本でも承認

バイエル薬品株式会社は20日、根治切除不能又は転移性の腎細胞がん治療を目的として国内で販売中の「ネクサバール錠200mg」(一般名:ソラフェニブトシル酸塩)について、厚生労働省より、新たに切除不能な肝細胞がんの効能・効果で承認を取得したと発表した。ネクサバールは、腫瘍細胞増殖抑制と血管新生阻害の2つの作用により、がんの成長を抑制する経口の分子標的薬。

【お知らせ】全国医師連盟 第2回総会・集会の開催

全国医師連盟が6月7日に第2回総会・集会を開催する。今回はコラムニストの勝谷誠彦氏を迎え、政治や行政、一般の国民、皆が共同して問題を解決する場面で、全医連はどう関わることが望ましいのか、会場の皆さんとも意見交換し、考えたいという。また、医師の職域ユニオンである全国医師ユニオンについての報告も行うとのこと。

家庭での子どもの抗マラリア薬治療は過剰治療となり、効果も低い

マラリアの治療法として、発熱の見られる子どもに家庭でアルテメテル-ルメファントリン(artemether-lumefantrine)を投薬する方法は、治療の迅速化をうながすものの臨床効果はほとんどないことが、ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院(LSHTM)のSarah G Staedke氏らがウガンダの都市部で実施した無作為化試験で判明した。マラリアの迅速で効果的な治療法を確立するために、発熱がある子どもに対する家庭での抗マラリア薬による推定治療が提唱されている。Lancet誌2009年5月9日号(オンライン版2009年4月14日号)掲載の報告。

蘇生処置を受けた新生児はIQ低下のリスクが増大

蘇生処置を受けた新生児は、その後の小児期を健康に過ごした場合でも、知能指数(IQ)低下のリスクが増大していることが、イギリスBristol大学のDavid E Odd氏らが実施したコホート研究で明らかとなった。低酸素状態など出生時の軽度の脳損傷によって、小児が成長してからようやく検出し得るような、わずかな認知機能障害の可能性が高まるという。Lancet誌2009年5月9日号(オンライン版2009年4月21日号)掲載の報告。