日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1096

米国における移民・難民の結核疫学調査

結核は、感染症死亡世界第2位で、発病率は1990年から2003年の間に世界的に増加した。WHOによれば、2005年の新規患者は世界で約880万人、うち84.1%がアジアおよびサハラ以南のアフリカからの報告だったという。一方、先進国の発病率も、こうした国からの移民・難民の影響を受けていると言われ、米国では、1年間の結核の新規患者の約6割が、外国生まれの人であり、その大半は、移民や難民と推定されるという(2007年調べ)。こうした外国生まれの人に対する結核予防対策を講じるため、米国疾病管理予防センター(CDC)のYecai Liu氏らは、詳細な疫学調査を実施した。NEJM誌2009年6月4日号より。

新しい抗結核薬TMC207、多剤耐性肺結核の治療薬として有効:第II相第1段階試験

新たな抗結核薬として開発が進められているdiarylquinoline(TMC207)の第II相試験第1段階の結果、多剤耐性肺結核の治療薬として有効であることが確認された。南アフリカUniversity of Stellenboschヘルスサイエンス学部のAndreas H. Diacon氏らによる報告で、NEJM誌2009年6月4日号で発表された。TMC207は、結核菌のATP合成酵素を阻害するというこれまでにない作用機序を有する。in vitroで、薬剤感受性・薬剤耐性結核菌を強力に阻害すること、薬剤感受性の肺結核患者で殺菌作用を示すことが明らかになっていた。

大腸がん治療における国際標準と日本の現状・・・日本における術後補助化学療法のcontroversy

 2009年6月11日、コンラッド東京にて「大腸がん治療における国際標準と日本の現状」と題して開催された株式会社ヤクルト本社によるプレスセミナーについて、2回に分けてお届けする。  国立がんセンター東病院臨床開発センターの大津敦氏(写真)は、StageIII大腸がんに対するFOLFOXによる術後補助化学療法(わが国では申請中)について、主に内科医と外科医の間で議論のあるところと述べる一方、自施設ではStageIIIbとStageIV(肝または肺切除後)については、ほとんどの症例でFOLFOXによる術後補助化学療法を実施していることを紹介した。

生後3ヵ月の過度な体重増、早期成人期の心血管疾患や2型糖尿病リスク因子と関連

生後3ヵ月に急激な体重増が見られた人は、早期成人期に、インスリン感受性の低下など心血管疾患や2型糖尿病のリスク因子の発症率が増加することがわかった。新生児期の成長速度と、心血管疾患や2型糖尿病リスクとの関連についての研究結果は少ないという。オランダErasmus Medical CenterのRalph W. J. Leunissen氏らが、200人超の早期成人について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2009年6月3日号で発表した。

うつ病歴のある親を持つ子どもへの認知行動療法

うつ病歴のある親を持ち、同じくうつ病歴、または軽度うつ症状のある子どもに対し、8週間の認知行動療法を行うことで、うつ症状の改善に効果があることがわかった。ただし、親が現在うつ病である場合には、この改善効果は見られなかったという。米国Vanderbilt大学のJudy Garber氏らが明らかにしたもので、JAMA誌2009年6月3日号で発表した。これまでの研究結果から、親がうつ病歴のある子どもは、少年・少女期にうつ症状を発症するリスクが大きいことがわかっている。

新型インフルエンザの状況をどうみるか? ―第49回日本呼吸器学会学術講演会 緊急報告

第49回日本呼吸器学会学術講演会では6月13日、世界保健機関(WHO)で感染症対策を担当した押谷 仁氏(東北大学大学院医学系研究科微生物学分野 教授)により、「インフルエンザA(H1N1)による新型インフルエンザの各国の状況と日本の課題」と題した新型インフルエンザに関する緊急報告が行われた。

次世代フレックスペンの注入抵抗軽減に関する新しいデータを発表

 ノボ ノルディスク社は12日、同社のプレフィルドインスリンペン型注入器、次世代フレックスペンが、SoloStar(商品名:ソロスター)およびKwikPen(同:ミリオペン)よりもインスリン注入時の抵抗が大幅に軽減されたことを示す新しい研究結果が5月発行の「Expert Opinion on Pharmacotherapy」誌に掲載されたと発表した。過去の研究から糖尿病患者は注入抵抗が小さい方を好むという結果が示されているという。

世界の非処方箋薬の使用動向 日本の消費者の4割が価格重視の傾向に

情報・メディア企業:ニールセン・カンパニー合同会社が11日に発表した「非処方箋薬の使用に関するグローバルオンライン消費者調査」によれば、世界の消費者の半数近くが、景気低迷の影響で非処方箋薬の使用を変更し、日本は消費者の40%が価格重視の傾向にあるという結果が報告された。この調査は、世界50市場(欧州、アジア太平洋域、南北アメリカ、中東)の25,000 人を超えるインターネットユーザーを対象に、2009年3月に実施されたもの。

中外製薬 患者向けウェブサイト「がん情報ガイド」オープン

中外製薬株式会社は11日、「患者が希望をもって前向きに立ち向かえるがん医療の実現」の推進を目的に、新規ウェブサイト『がん情報ガイド』(http://gan-guide.jp/index.html)を開設したと発表した。本ウェブサイトでは、業界初の「ナビゲーション」手法を用いて、患者の状態に合ったがん治療や心のケアについての情報をステップごとに専門家が解説している。

入院からPCI施行までの時間は短いほどよい

ACC/AHAガイドラインでは、ST上昇型急性心筋梗塞患者に対する経皮的冠動脈形成術(PCI)は、入院後90分以内を推奨しているが、米国エール大学のSaif S Rathore氏らが行った調査で、入院からPCI施行までの時間は短いほど死亡リスクが低下することが明らかになった。「90分以内で行っている施設も、できるだけ短縮すべきである」としている。BMJ誌2009年5月30日号(オンライン版2009年5月19日号)より。

変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の異常プリオン罹患率、100万人中289人

 英国では、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の病原と考えられる異常プリオンタンパクの罹患率は、多くとも100万人中289人であることが明らかになった。これまでの調査結果では、同罹患率の95%信頼区間が100万人中60~853人だった。今回の結果は前回の結果と整合性はあるものの、より少ない予測数が算出された。報告は、英国Health Protection AgencyのJonathan P Clewley氏らが、6万人超について行った調査によるもので、BMJ誌2009年5月30日号(オンライン版2009年5月21日号)で発表した。

血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者にはリナグリプチンの追加投与が有効

独ベーリンガーインゲルハイム社は、メトホルミン治療で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者にリナグリプチンが有用であると、DPP-4(ジペプチジルペプチターゼ4)阻害薬のリナグリプチンを追加投与した際の同薬の有用性を検討する第2相臨床試験の成績が、米国糖尿病学会(ADA)年次総会で発表した。メトホルミン治療にリナグリプチンを追加投与した際の有用性を検証する臨床試験結果の発表は初めてのこと。

リラグルチドの血糖降下作用・体重減少、その持続性も明らかに

ノボ ノルディスク社は10日、第69回米国糖尿病協会年次学術集会(略称:ADA、米国・ニューオリンズ)において、新規糖尿病治療薬リラグルチド1日1回単独投与による2年間の治療は、グリメピリド(SU薬)と比較して有意に血糖コントロールを改善し、体重を減少させ、またその効果も有意に長く持続することが示されたと発表した。

関節リウマチに対するアクテムラの長期的な有効性

 中外製薬株式会社は10日、ACTEMRA(トシリズマブ、欧州販売名:RoACTEMRA)で2年以上治療した関節リウマチ(RA)の患者の56%が治療歴や罹病期間に関わらず寛解に至ることが、スイス・ロシュ社が欧州リウマチ学会(EULAR)総会で発表した新しいデータにより明らかになったと報告した。寛解はDAS28<2.6と定義され、寛解によりRA症状が有意に解消され、患者が通常の日常生活を継続したり再開したりできることで実生活にベネフィットがもたらされる。