日本人の不眠症患者に対するデジタルCBT-I、症状はどの程度改善するか

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/09/15

 

 不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)は、不眠症状だけでなく抑うつ症状の改善にも大きな可能性を秘めている。しかし、その効果により健康者と同等レベルまで症状が改善するかは不明である。東京家政大学の岡島 義氏らは、日本人の不眠症患者に対するデジタルCBT-Iにより、不眠症状および抑うつ症状が健康者レベルまで改善するかを検証するため、本研究を実施した。BioPsychoSocial Medicine誌2025年7月21日号の報告。

 対象は、日本人労働者752例。不眠症およびうつ病尺度のカットオフスコアを用いて、不眠症群、うつ病群、不眠症/うつ病併存群、健康群の4群に分類した。すべての群に対してデジタルCBT-Iを2週間実施し、治療後、1ヵ月後、3ヵ月後の追跡調査でスコア変化を比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・治療後から3ヵ月後の追跡調査において、不眠症群および不眠症/うつ病併存群における不眠症状の有意な減少が認められた。
【不眠症群】Hedges'g:1.07〜1.52
【不眠症/うつ病併存群】Hedges'g:1.17〜1.41
・不眠症/うつ病併存群では、抑うつ症状の有意な改善も認められた(g:0.38〜0.70)。
・治療後、1ヵ月後、3ヵ月後の追跡調査において、不眠症群と健康群の間で不眠症状に有意な差が認められ、不眠症/うつ病併存群と健康群の間でも抑うつ症状に有意な差が認められた。

 著者らは「デジタルCBT-Iは、日本人労働者の不眠症状および抑うつ症状を効果的に軽減することが確認されたが、3ヵ月以内に健康者レベルまで改善することはなかった」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)