内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

スマートウォッチが運動療法を後押しして糖尿病コントロールを改善

 糖尿病患者にとってスマートウォッチが、運動療法のための力強いサポートツールとなり得ることを示すデータが報告された。英ランカスター大学のCeu Mateus氏らが、診断から間もない2型糖尿病患者を対象に行ったランダム化比較試験の結果であり、詳細は「BMJ Open」に3月26日掲載された。  この研究により、スマートウォッチを介して運動を奨励したり、患者が実際に行った運動についてフィードバックしたりすることで、運動療法を開始・継続しやすくなることが明らかになった。さらに、血糖値や血圧の管理も良好になる可能性が示唆された。Mateus氏は、「糖尿病の治療にとって重要な非薬物療法を継続できていない2型糖尿病患者が少なくないが、われわれの研究結果はスマートウォッチを用いることで、そのような臨床課題を改善できる可能性を示している」と述べている。

新型コロナ後遺症としての勃起不全が調査で明らかに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した患者では、回復後も長期にわたりその後遺症に悩まされるケースがある。その後遺症の中には男性における勃起不全(ED)も含まれるが、後遺症としてのEDの有病率とそれに関連する根本的要因が示唆されたという。横浜市立大学附属病院感染制御部の加藤英明氏らが行った研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に2月21日掲載された。  COVID-19感染後のEDは、急性期における炎症性サイトカインや低酸素症による血管内皮障害が原因で進行する。また、身体的・精神的なストレスもEDに影響する。ワクチン接種や早期治療は、この感染症の後遺症の発症率を低下させる可能性はあるが、EDの発症を防ぐための予防策については不明である。加藤氏らは、COVID-19感染後のEDの有病率とその根本的な要因を明らかにするために感染患者を対象とした症例対照研究を実施した。

エサキセレノンは、高齢のコントロール不良高血圧患者にも有効(EXCITE-HTサブ解析)/日本循環器学会

 高血圧治療において、高齢者は食塩感受性の高さや低レニン活性などの特性から、一般的な降圧薬では血圧コントロールが難しいケースもある。『高血圧治療ガイドライン2019』では、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、サイアザイド系利尿薬が第一選択薬として推奨されているが、個々の患者に適した薬剤選択が重要である。このような背景のもと、自治医科大学の苅尾 七臣氏らの研究グループは、ARBまたはCa拮抗薬を投与されているコントロール不良の本態性高血圧患者を対象に、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)のエサキセレノンと、サイアザイド系利尿薬であるトリクロルメチアジドとの降圧効果および安全性を比較する「EXCITE-HT試験」を実施した。

NSAIDsの長期使用で認知症リスク12%低下

 新たな研究によると、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用は認知症リスクを12%低下させる関連性が認められたが、短期および中期使用では保護効果は認められなかったという。オランダ・エラスムスMC大学医療センターのIlse Vom Hofe氏らによる本研究の結果はJournal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2025年3月4日号に掲載された。  研究者は、前向きの地域ベース研究であるロッテルダム研究から、ベースライン時に認知症のない1万1,745例を分析対象とした。NSAIDs使用データは薬局調剤記録から抽出され、参加者は非使用、短期使用(1ヵ月未満)、中期使用(1~24ヵ月)、長期使用(24ヵ月超)の4グループに分類され、定期的に認知症のスクリーニングを受けた。年齢、性別、生活習慣要因、合併症、併用薬などを調整因子として解析した。

帯状疱疹生ワクチン、認知症を予防か/JAMA

 米国・スタンフォード大学のMichael Pomirchy氏らは、オーストラリアにおける準実験的研究の結果、帯状疱疹(HZ)ワクチンの接種が認知症のリスクを低下させる可能性があることを示した。オーストラリアでは、全国的なワクチン接種プログラムにおいて2016年11月1日から70~79歳を対象に弱毒HZ生ワクチンの無料接種を開始。同時点で1936年11月2日以降に生まれた人(2016年11月1日時点で80歳未満)が対象で、それ以前に生まれた人(80歳になっていた人)は対象外であったことから、著者らは、年齢がわずかに異なるだけで健康状態や行動は類似していると想定される集団を比較する準実験的研究の利点を活用し、HZワクチン接種の適格基準日である1936年11月2日の前後に生まれた人について解析した。結果を踏まえて著者は、「先行研究であるウェールズでの知見を裏付ける結果であり、認知症に対するHZワクチン接種の潜在的利益には因果関係がある可能性が高いエビデンスを提供するものである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年4月23日号掲載の報告。

国内DOAC研究が色濃く反映!肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症ガイドライン改訂/日本循環器学会

 『2025年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症ガイドライン』が3月28~30日に開催された第89回日本循環器学会学術集会の会期中に発刊され、本学術集会プログラム「ガイドラインに学ぶ2」において田村 雄一氏(国際医療福祉大学医学部 循環器内科学 教授/国際医療福祉大学三田病院 肺高血圧症センター)が改訂点を解説した。本稿では肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症の項について触れる。  静脈血栓塞栓症(VTE)と肺高血圧症(PH)の治療には、直接経口抗凝固薬(DOAC)の使用や急性期から慢性期疾患へ移行していくことに留意しながら患者評価を行う点が共通している。そのため、今回よりVTEの慢性期疾患への移行についての注意喚起のために、「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン」「肺高血圧症治療ガイドライン」「慢性肺動脈血栓塞栓症に対するballoon pulmonary angioplastyの適応と実施法に関するステートメント」の3つが統合された。

人工甘味料スクラロースの摂取は空腹感を高める

 スプレンダのようなカロリーなしの人工甘味料の使用により食事のカロリーが増えることはないが、体重増加につながる可能性はあるようだ。新たな研究で、砂糖の代替品は食欲と空腹感を刺激し、食べ過ぎにつながる可能性のあることが明らかになった。米南カリフォルニア大学(USC)糖尿病・肥満研究センター所長のKathleen Page氏らによるこの研究結果は、「Nature Metabolism」に3月26日掲載された。  Page氏は、「スプレンダの主成分であるスクラロースは、摂取してもその甘さから予想されるカロリーを伴わないため脳を混乱させるようだ。体が、摂取した甘さに見合うカロリーを期待しているのにそれを得られない場合、時間の経過とともに、脳がそれらの物質を求める仕組みに変化が生じる可能性がある」とUSCのニュースリリースの中で述べている。

自宅でできる嗅覚テストが認知機能低下の検出に有効か

 認知症やアルツハイマー病の初期症状の有無を、自宅で実施可能な嗅覚テストにより判定できる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。認知症やアルツハイマー病の前兆である軽度認知障害(MCI)を発症した高齢者は、認知機能が正常な人に比べてこの嗅覚テストのスコアが低いことが示されたという。米マサチューセッツ総合病院(MGH)の神経科医であるMark Albers氏らによる研究で、詳細は「Scientific Reports」に3月24日掲載された。  Albers氏は、「われわれの目標は、自宅で実施できる費用対効果の高い非侵襲的な検査を開発して検証し、アルツハイマー病の研究と治療を前進させる基盤を築くことだった」とMGHのニュースリリースで述べた。同氏は、「認知障害の早期発見は、アルツハイマー病のリスクを有する人を特定し、記憶障害の症状が始まる何年も前に介入するのに役立つ可能性がある」と付け加えている。

肥満や脂質異常症がCKDリスクを増大か/東大

 日本のメタボリックシンドロームの基準値を外れる内臓脂肪蓄積や脂質異常症、肥満は尿蛋白の発現リスクが高く、HDLコレステロール低値は腎機能低下と関連していることを、東京大学の吉田 唯氏らが明らかにした。Internal Medicine誌オンライン版2025年4月12日号掲載の報告。  高血圧や高血糖と慢性腎臓病(CKD)との関連は多く報告されているが、肥満や内臓脂肪蓄積、脂質異常症とCKDの関連に関しては見解の一致が得られていない。そこで研究グループは、大規模な職域健診データを解析し、日本のメタボリックシンドロームの基準値(ウエスト周囲径[男性≧85cm、女性≧90cm]、トリグリセライド値≧150mg/dL、HDLコレステロール値<40mg/dL)およびBMI値25以上とCKDの発症・進行との関連を調査した。

帯状疱疹ワクチンで認知症リスク20%低下/Nature

 帯状疱疹ワクチンは、痛みを伴う発疹の予防だけでなく、認知症の発症から高齢者を守る効果もあるようだ。新たな研究で、英国のウェールズで帯状疱疹ワクチンが利用可能になった際にワクチンを接種した高齢者は、接種しなかった高齢者に比べて認知症の発症リスクが20%低いことが示された。米スタンフォード大学医学部のPascal Geldsetzer氏らによるこの研究の詳細は、「Nature」に4月2日掲載された。  帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)の原因ウイルスでもある水痘・帯状疱疹ウイルスにより引き起こされる。このウイルスは、子どもの頃に水痘に罹患した人の神経細胞内に潜伏し、加齢や病気により免疫力が弱まると再び活性化する。帯状疱疹ワクチンは、高齢者の水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫反応を高め、潜伏中のウイルスが体表に現れて帯状疱疹を引き起こすのを防ぐ働きがある。しかし、最近の研究では、特定のウイルス感染が認知症リスクを高める可能性が示唆されていることから、Geldsetzer氏らは、帯状疱疹ワクチンにも脳を保護する効果があるのではないかと考えた。