内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:10

デジタルゲームは高齢者に健康と幸せをもたらすのか

 ネット・ゲーム依存は身体活動の低下といった健康問題につながるが、高齢者の場合では、デジタルゲームにより身体活動が低下する可能性は低いということが明らかになった。千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門の中込敦士氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Medical Internet Research」に1月27日掲載された。  デジタルゲームは高齢者の間でも人気が高まっており、認知的、社会的、身体的なメリットをもたらす可能性がある。しかしながら、高齢者において、デジタルゲームが健康と幸福にどのような影響を及ぼすかは依然として不明だ。中込氏らは、全国で実施された日本老年学的評価研究(JAGES)のデータを使用して、デジタルゲームが高齢者の健康と幸福に与える多面的な影響を評価した。

2050年、世界の成人の半分が過体重と肥満に/Lancet

 1990~2021年にかけて世界のあらゆる地域と国で成人の過体重と肥満が増加しており、この傾向が続くと2050年までに世界の推定成人人口の半数超を過体重と肥満が占めると予測されることが、米国・ワシントン大学のSimon I. Hay氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2021 Adult BMI Collaboratorsの解析で示された。成人の過体重および肥満の増加率を抑制できた国は現在までのところない。著者は、「即時かつ効果的な介入が行われなければ、過体重と肥満は世界中で増加し続け、とくにアジアとアフリカでは人口増加により過体重と肥満が大幅に増加すると予測された。肥満は、現在および将来にわたって最も回避可能な健康リスクの1つであり、地域、国、および世界レベルで疾患の早期発症や死亡の脅威をもたらす。この危機に対処するには、より強力な対策が必要である」とまとめている。Lancet誌2025年3月8日号掲載の報告。

緑茶の認知機能予防効果、アジアと欧州で違いあり

 世界中で広く消費されているお茶に関する複数の研究において、緑茶には認知機能低下に対する潜在的な保護効果があることが示唆されている。この効果は、緑茶に含まれるポリフェノールと神経保護特性に起因すると考えられている。Shiyao Zhou氏らは、緑茶の摂取と認知機能低下リスクとの関連に関する最近の観察研究をシステマティックにレビューし、メタ解析を行った。Neuroepidemiology誌オンライン版2025年2月13日号の報告。  2004年9月〜2024年9月に公表された観察研究を、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Libraryよりシステマティックに検索した。緑茶の摂取と認知機能低下との関連について、オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。さらに、サブグループ解析、異質性評価、出版バイアス評価、感度分析を行った。

お酒をやめるとLDL-Cが上昇?~日本人6万人のデータ

 飲酒による健康への悪影響が広く報告されているが、飲酒を始めたときや禁酒したときにコレステロール値がどう変化するかはわかっていない。今回、聖路加国際病院の鈴木 隆宏氏らが日本人約6万人のコホート研究で評価した結果、飲酒者が禁酒するとLDLコレステロール(LDL-C)値が上昇し、HDL-コレステロール(HDL-C)値が低下することが明らかになった。逆に、非飲酒者が飲酒を開始したときはLDL-C 値の低下と HDL-C 値の上昇がみられた。これらの変化はどちらも飲酒量が多いほど顕著だったという。JAMA Network Open誌2025年3月12日号に掲載。

医学生/初期研修医時代に戻れるなら「直美」に進みたい?/医師1,000人アンケート

 初期研修を終えてすぐ、保険診療を経験せずに自由診療である美容医療業界に直接進む「直美(ちょくび)」の医師が増えている。診療科の医師偏在や医局の人材獲得が課題となっているなか、保険診療の医師は「直美」をどのように考えているのかを調査するため、CareNet.comでは会員医師1,024人を対象に「直美」に関するアンケートを行った(実施:2025年2月12日)。  Q1では、「直美」の増加を日本の医療における問題と考えているかどうかを聞いた(単一回答)。全体では、「非常に問題と考えている」が35.4%、「どちらかというと問題と考えている」が43.2%、「どちらかというと問題とは考えていない」が13.9%、「まったく問題とは考えていない」が7.5%であり、大多数の医師は問題と捉えていた。

幼少期の好奇心が成人期のうつ病と強く関連

 うつ病は世界的な公衆衛生上の大きな問題であるが、これまでの研究で、幼少期の性格が成人期のうつ病に及ぼす影響については、ほとんど調査されていない。中国・吉林大学のChengbin Zheng氏らは、成人による自己評価の観点から、幼少期の好奇心が成人期のうつ病に及ぼす影響およびそのメカニズムの性差について調査した。Journal of Psychiatric Research誌2025年3月号の報告。  2020年の中国家庭追跡調査(China Family Panel Study)より抽出した成人1万7,162人のデータを用い、幼少期の好奇心、将来に対する自信、主観的な社会的地位、成人期のうつ病を評価した。PROCESS 4.1ソフトウエアプログラムを用いて、調整済み仲介モデルを分析した。

ランダム化試験より個別最適化医療の論理が必要?(解説:後藤信哉氏)

心房細動の脳梗塞予防には抗凝固薬が広く使用されるようになった。しかし、脳内出血の既往のある症例に抗凝固薬を使用するのは躊躇する。本研究は過去に頭蓋内出血の既往のある症例を対象として、心房細動症例における抗凝固薬介入の有効性と安全性の検証を目指した。319例をDOAC群と抗凝固薬なし群に割り付けて中央値1.4年観察したところ、DOAC群の虚血性脳卒中は0.83(95%信頼区間[CI]:0.14~2.57)/100人年、抗凝固薬なし群では8.60(同:5.43~12.80)/100人年と差がついた。しかし、頭蓋内出血イベントはDOAC群が5.00(95%CI:2.68~8.39)/人年、抗凝固薬なし群では0.82(同:0.14~2.53)/人年であった。

厳格な血圧管理が高齢者にもたらすベネフィットはリスクを上回る

 地域在住の高齢者では、厳格な血圧管理による健康上の利点は潜在的なリスクを上回る可能性の高いことが、最新の大規模臨床試験により明らかにされた。試験では、収縮期血圧120mmHg未満を目標とする治療を受けた高齢者の約85%で、腎障害などの潜在的なリスクと比較して、得られるベネフィット(ネットベネフィット)の方が大きいことが示されたという。米カリフォルニア大学デービス校のSimon Ascher氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American Geriatrics Society」に2月18日掲載された。

慢性不眠症に対する睡眠薬の切り替え/中止に関する臨床実践ガイドライン

 現在のガイドラインでは、慢性不眠症の第1選択治療として、不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)が推奨されている。欧州ガイドラインにおける薬理学的治療の推奨事項には、短時間または中間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬・Z薬(エスゾピクロン、zaleplon、ゾルピデム、ゾピクロン)、デュアルオレキシン受容体拮抗薬(DORA:ダリドレキサント)、メラトニン受容体拮抗薬(徐放性メラトニン2mg)などの薬剤が含まれている。不眠症は慢性的な疾患であり、一部の治療に反応しない患者も少なくないため、さまざまな治療アプローチや治療薬の切り替えが必要とされる。しかし、現在の欧州では、これらの治療薬切り替えを安全かつ効果的に実践するためのプロトコールに関して、明確な指標が示されているわけではない。イタリア・ピサ大学のLaura Palagini氏らは、このギャップを埋めるために、不眠症に使用される薬剤を切り替える手順と妥当性を評価し、実臨床現場で使用可能な不眠症治療薬の減量アルゴリズムを提案した。Sleep Medicine誌2025年4月号の報告。

患者のAI信頼度は約半数、救急の重症度判断における注意点/日本救急医学会

 日本救急医学会の救急医療における先端テクノロジー活用特別委員会は、大規模言語モデル(LLM)が回答した救急外来受診の要否判断の正確性、回答内容に対する利用者(非医療者の一般人)の理解度について検証を行った。その結果、医学知識を持つ専門家側はLLMが救急外来受診の判断を高精度でアドバイスしていると評価した一方で、一般人側は同じ回答を見ても専門家と異なる解釈をする傾向があることが明らかになった。これにより、AIが生成する医療アドバイスに関する理解や解釈において、専門家と一般人の間に大きな隔たりがあることが示唆された。Acute Medicine & Surgery誌2025年3月12日号掲載の報告。