内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:12

日本女性、出産意欲の向上に関連する要素は?/神奈川県立保健福祉大学

 少子化が進む日本では、合計特殊出生率が2024年に1.15と過去最低を記録し、社会保障制度や労働力維持への影響が深刻化している。女性の就労率は上昇しているものの、長時間労働や不十分な育児支援のため、キャリアと出産・育児の両立は依然として課題である。こうした中、東京・丸の内エリアの企業に勤務する女性を対象に、キャリア志向と妊娠意欲の関連を明らかにする大規模調査が行われ、その結果がBMC Women’s Health誌2025年9月2日号に掲載された。

心房細動と動脈硬化、MRIで異なる脳血管病変示す/ESC2025

 心房細動(AF)とアテローム性動脈硬化症(以下、動脈硬化)は、一般集団と比較して脳血管病変の発生率を高める。今回、AF患者は動脈硬化患者と比較して、非ラクナ型脳梗塞、多発脳梗塞、重度の脳室周囲白質病変の発生頻度が高いことが明らかになった。本研究結果はカナダ・マクマスター大学のTina Stegmann氏らが8月29日~9月1日にスペイン・マドリードで開催されたEuropean Society of Cardiology 2025(ESC2025、欧州心臓病学会)の心房細動のセッションで発表し、European Heart Journal誌オンライン版2025年8月29日号に同時掲載された。

うつ病治療において有酸素運動と組み合わせるべき最適な治療は

 非薬理学的介入としての有酸素運動は、これまでのうつ病治療における有効な補助療法であるといわれている。しかし、有酸素運動による介入に関する包括的な評価は依然として不十分である。中国・海南師範大学のLei Chen氏らは、うつ病患者における有酸素運動と併用したさまざまな治療介入の有効性をシステマティックに評価するため、ネットワークメタ解析を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2025年7月25日号の報告。  PICOSフレームワークに基づき、2024年6月までに公表されたランダム化比較試験(RCT)をPubMed、Web of Science、Cochrane Library、Embase、Scopus、CNKI、Wanfang、CBMより検索した。スクリーニングおよびデータ抽出は、独立して実施した。ネットワークメタ解析はStata 15.0およびR 4.4.1、バイアスリスクはCochrane Risk of Biasツール、エビデンスの質はCINeMAを用いて評価した。

DPP-4阻害薬でコントロール不十分な2型糖尿病にイメグリミン追加が有効~FAMILIAR試験

 食事療法・運動療法・DPP-4阻害薬投与で血糖コントロール不十分な成人2型糖尿病患者に対して、イメグリミンの追加で24週までにHbA1c値が有意に低下したことが、多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験(FAMILIAR試験)の中間解析で示された。川崎医科大学の加来 浩平氏らがDiabetes, Obesity and Metabolism誌2025年6月号で報告した。

高齢者への不適切処方で全死亡リスク1.3倍、処方漏れで1.8倍

 高齢者に対する薬剤治療においては、ポリファーマシーや処方漏れなどの問題点が指摘されている。イスラエルの研究グループによる長期前向きコホート研究によると、高齢者の80%以上が不適切な処方を受けており、不適切な薬剤を処方された群では死亡リスクが上昇した一方で、必要な薬剤の処方漏れも死亡リスクの上昇と関連していたという。本研究の結果はJournal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2025年8月11日号に掲載された。  研究者らは、イスラエルの縦断前向きコホート研究の第3回追跡調査(1999~2007年)で収集されたデータを使用し、地域に住む高齢者1,210例(平均年齢72.9歳、女性53%)を対象に、不適切処方と長期死亡率との関連性を評価した。不適切な処方には「不要あるいは有害になり得る薬剤の処方(Potentially Inappropriate Medications:PIM)」と「必要処方の省略(Prescribing Omissions:PPO)」が含まれており、それらの識別には米国の2023年版Beers基準と欧州のSTOPP/START基準(v3)が用いられた。死亡は診断コードで特定され、主要アウトカムは全死亡率と非がん死亡率だった。参加者は死亡または2022年3月まで追跡され、追跡期間の中央値は13年だった。

厳格な血圧コントロールは心臓の健康だけでなく費用対効果も改善

 厳格な血圧コントロールは心血管疾患のリスクが高い患者の健康だけでなく、医療費の費用対効果にも良い影響をもたらすことが、新たな研究で示された。収縮期血圧(SBP)の目標値を120mmHg未満に設定することは、それよりも高い目標値を設定する場合と比べて、より多くの心筋梗塞や脳卒中、心不全、そのほかの心疾患の予防につながるほか、費用対効果もより優れていることが明らかになったという。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のKaren Smith氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に8月19日掲載された。

慢性咳嗽のカギ「咳過敏症」、改訂ガイドラインで注目/杏林

 8週間以上咳嗽が持続する慢性咳嗽は、推定患者数が250〜300万例とされる。慢性咳嗽は生活へ悪影響を及ぼし、患者のQOLを低下させるが、医師への相談割合は44%にとどまっているという報告もある。そこで、杏林製薬は慢性咳嗽の啓発を目的に、2025年8月29日にプレスセミナーを開催した。松本 久子氏(近畿大学医学部 呼吸器・アレルギー内科学教室 主任教授)と丸毛 聡氏(公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院 呼吸器内科 主任部長)が登壇し、慢性咳嗽における「咳過敏症」の重要性や2025年4月に改訂された『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2025』に基づく治療方針などを解説した。

男女間におけるレビー小体とアルツハイマーにおける認知機能低下の違い

 カナダ・Sunnybrook Research InstituteのMadeline Wood Alexander氏らは、アルツハイマー型認知症(AD)とレビー小体型認知症(LBD)の神経病理および認知機能低下に対する性別や閉経年齢の影響を調査した。Annals of Neurology誌オンライン版2025年7月11日号の報告。  Rush Alzheimer's Disease Centerの3つのコホート(Religious Orders研究、Rush Memory and Aging Project、Minority Aging Research研究)およびNational Alzheimer's Coordinating Centerの神経病理データセットを用いて、分析を行った。LBD(大脳新皮質/辺縁系型vs.非大脳新皮質型)とADの神経病理学的評価には、神経斑(ジストロフィー性神経突起により囲まれているβアミロイド斑)と神経原線維変化を含めた。各データセットにおいて、LBDと性別が神経斑、神経原線維変化、認知機能低下に及ぼす相互の影響を検証した。さらに、Rushデータセットを用いて、女性の自然閉経年齢がLBDと神経斑、神経原線維変化、認知機能低下との関連を変化させるかを検証した。

全年齢で130/80mmHg未満を目標に、『高血圧管理・治療ガイドライン2025』発刊/日本高血圧学会

 日本高血圧学会は『高血圧管理・治療ガイドライン2025』(以下、JSH2025)を8月29日に発刊した。6年ぶりとなる今回の改訂にあたり、大屋 祐輔氏(琉球大学名誉教授/高血圧管理・治療ガイドライン2025作成委員長)と苅尾 七臣氏(自治医科大学循環器内科学部門 教授/日本高血圧学会 理事長)が降圧目標や治療薬の位置付けと選択方法などについて、7月25日に開催されたプレスセミナーで解説した。

心不全入院へのダパグリフロジンの効果~DAPA ACT HF-TIMI 68試験/ESC2025

 SGLT2阻害薬は、外来での心不全治療において心血管死または心不全増悪のリスク低減に寄与するが、心不全による入院での投与開始データは限定的である。今回、ダパグリフロジンによるさまざまな臨床研究を行っているTIMI Study GroupがDAPA ACT HF-TIMI 68試験を実施。その結果、ダパグリフロジンを入院中に開始してもプラセボと比較して2ヵ月にわたる心血管死または心不全悪化リスクを有意に低下させなかった。ただし、3試験のメタ解析からSGLT2阻害薬が心血管死または心不全悪化の早期リスクと全死亡リスクを有意に低下させることが明らかになった。