内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:14

不眠症へのベンゾジアゼピン中止のための介入策の効果は?/BMJ

 ベンゾジアゼピン系および類似の催眠鎮静薬(BSH)を中止するための介入について、有効性に関するエビデンスの確実性は低く、患者教育、薬剤の見直し、薬剤師主導の教育的介入がBSHを中止する患者の割合を増加させる可能性はあるが、現状ではエビデンスの確実性が低いため、さらなる質の高い研究が求められるという。カナダ・McMaster UniversityのDena Zeraatkar氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。多くの患者が、転倒、認知機能障害、依存などのリスクがあるにもかかわらず、不眠症の治療にBSHを使用している。しかし、BSHの代替療法に関する知識は限られており、その有害性が明確ではなく、中止を支援する最適な戦略に関するエビデンスは不十分であることが報告されていた。BMJ誌2025年6月17日号掲載の報告。

溶連菌咽頭炎への抗菌薬、10日間から短縮可能?

 本邦では、『気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言(改訂版)』において、A群溶血性レンサ球菌(GAS)が検出された急性咽頭・扁桃炎に対して、抗菌薬を投与する場合にはアモキシシリン内服10日間を検討することが推奨されている。ただし、海外では臨床的な治療成功については、短期治療(5~7日)が10日間の治療と同等であるいう報告もあり、短期治療の可能性が検討されている。  2022年にニュージーランドで実施された抗菌薬適正使用の取り組みの一環として、GAS咽頭炎に対する抗菌薬治療期間の短縮が、地域的に促進された。この介入により、抗菌薬の投与期間が10日間から5日間や7日間などへ短縮されるようになったが、治療成績に及ぼす影響は明らかになっていなかった。そこで、Max Bloomfield氏(Awanui Laboratories、Te Whatu Ora/Health New Zealand)らの研究グループは、後ろ向きコホート研究により治療期間の短縮の影響を検討した。その結果、治療期間を短縮しても治療成績に悪影響はみられなかった。本研究結果は、Open Forum Infectious Diseases誌2025年6月6日号に掲載された。

降圧薬服用は、朝でも夜でもお好きなほうに―再び(解説:桑島巖氏)

「降圧薬の服用は朝か夜か?」の問題については、2022年にLancet誌上で発表されたTIME studyのコメントで発表しているが、今回JAMA誌に発表されたGarrisonらのBedMed randomized clinical trial論文でもまったく同じコメントを出さざるを得ない。TIME studyと同様、本研究でも降圧薬の時間薬理学を理解していれば、服薬は朝(6~10時)でも夜(20~0時)でもどちらも同じ結果(心血管イベント、心血管死)をもたらすというのは当然の結論である。降圧薬の心血管予防効果は24時間にわたる降圧効果の持続と相関することはすでに知られており、現在処方されている降圧薬のほとんどは血中濃度に依存して降圧効果を発揮するが、24時間以上持続する降圧薬はアムロジピンとサイアザイド系、非サイアザイド系降圧利尿薬のみである。ACE阻害薬やARBはいずれも24時間持続性がない。

デスモプレシン、重大な副作用にアナフィラキシー追加/厚労省

 厚生労働省は2025年6月24日、男性の夜間頻尿や中枢性尿崩症治療薬として使用される脳下垂体ホルモン薬のデスモプレシン酢酸塩水和物(以下、デスモプレシン)と甲状腺・副甲状腺ホルモン薬のチアマゾールに対して、添付文書の改訂指示を発出した。副作用の項に重大な副作用を新設し、デスモプレシンの経口剤と点鼻剤の両剤形においてアナフィラキシーの追記が、チアマゾールには急性膵炎の追記がなされた。なお、デスモプレシンの点鼻剤には、合併症・既往歴等のある患者の項にもアナフィラキシーの発現について追記がなされた。  対象製品は以下のとおり。

フィネレノン、HFpEFの心血管死・心不全入院リスク減~プール解析(FINE-HEART)

 米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJohn W Ostrominski氏らが、非ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)のフィネレノン(商品名:ケレンディア)の3件の大規模試験(FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD、FINEARTS-HF)をプール解析した「FINE-HEART」から、フィネレノンは左室駆出率(LVEF)の保たれた心不全(HFpEF)の心血管死または心不全による入院を13%減少させることを示唆した。JACC:Heart Failure誌2025年6月11日号掲載の報告。

片頭痛に有効な運動介入は?

 トルコ・Ege UniversityのYunus Emre Meydanal氏らは、さまざまな種類の運動およびその組み合わせが、片頭痛発作および併存疾患に及ぼす影響を検討するため、パイロット研究を実施した。これまで、有酸素運動とレジスタンス運動との組み合わせは、片頭痛患者においてより顕著な症状改善が得られる可能性が示唆されていた。Headache誌オンライン版2025年5月20日号の報告。  本研究は、Ege University Hospitalにおいて、2022年9月〜2024年3月にかけて片頭痛患者24例を対象に、並行群間ランダム化比較試験のパイロット研究として実施した。対象患者は、有酸素運動群、複合運動群(有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせ)、対照群にランダム化した。ベースライン期間に1ヵ月間の頭痛日誌による調査を行った後、両介入群とも同じ有酸素運動を週3日、12週間行った。複合運動群には、有酸素運動に加え、首、背中上部、肩の筋肉をターゲットとした5種類のレジスタンス運動を行った。測定は、ベースライン時、3ヵ月の介入期間後、2ヵ月のフォローアップ期間後に実施した。主要アウトカムは、1ヵ月当たりの片頭痛日数とした。副次的アウトカムには、不安および抑うつレベル、有酸素能力、身体活動レベル、片頭痛関連の生活の質(QOL)とした。

社会との関わりが高齢者の寿命を延ばす?

 長生きしたいのなら、社会と関わりを持ち続けることが大切なようだ。新たな研究で、他者との交流、スポーツや趣味のグループへの参加、慈善活動などを通して社会的関わりを持っている高齢者では、孤独な高齢者に比べて死亡リスクの低いことが明らかになった。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のAshraf Abugroun氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American Geriatrics Society」に5月21日掲載された。  Abugroun氏は、「社会的関わりを持つことは単なるライフスタイルの選択ではなく、健康的な老化と長寿に密接に関連している」と同誌の発行元であるWiley社のニュースリリースの中で述べている。

RNAi治療薬ブトリシラン、ATTR-CMの適応追加/アルナイラム

 2025年6月24日、アルナイラムジャパンは核酸医薬(RNAi)のブトリシラン(商品名:アムヴトラ)について、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)治療薬として、国内における適応追加承認を取得した。  この適応追加は、多施設共同二重盲検無作為化試験の第III相HELIOS-B試験の結果に基づいたもの。本試験は、ATTR-CM(変異型および野生型)と診断された成人患者655例を対象に、主要評価項目を全死因死亡および心血管関連イベントの再発の複合とし、アムヴトラの有効性と安全性を評価。主要評価項目およびすべての副次評価項目を達成し、NEJM誌オンライン版2024年8月30日号でも報告されていた。

ビタミンD3は生物学的な老化を抑制する?

 ビタミンD3サプリメント(以下、サプリ)は、本当に「若返りの泉」となって人間の生物学的な老化を遅らせることができる可能性のあることが、新たな臨床試験で示された。ビタミンD3を毎日摂取している人は、染色体の末端にありDNAを保護する役割を果たしているテロメアの摩耗が抑えられていたことが確認されたという。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院予防医学部門長のJoAnn Manson氏らによるこの研究結果は、「American Journal of Clinical Nutrition」に5月21日掲載された。  靴ひもの先端をカバーするプラスチック製の覆いに例えられるテロメアは、加齢とともに劣化する。そのため研究者は、出生から経過した年数に基づく暦年齢ではなく、実際に体がどれだけ老化したかを表す生物学的年齢の指標としてテロメアを用いている。

高齢者の夜間頻尿、改善のカギは就寝時間か

 夜間頻尿は特に高齢者を悩ませる症状の一つであり、睡眠の妨げとなるなど生活の質(QOL)に悪影響を及ぼすことがある。今回、適切な時刻に規則正しく就寝する生活を送ることで、高齢者の夜間頻尿が改善する可能性があるとする研究結果が報告された。研究は、福井大学医学部付属病院泌尿器科の奥村悦久氏らによるもので、詳細は「International Journal of Urology」に4月26日掲載された。  夜間頻尿は、夜間に排尿のために1回以上起きなければならない症状、と定義されている。主な原因としては、夜間多尿、膀胱容量の減少、睡眠障害が知られている。疫学研究により、夜間頻尿はあらゆる年齢層における主要な睡眠障害の一因であり、加齢とともにその有病率が上昇することが示されている。加齢に伴う睡眠障害の一つの特徴として、就寝時間が早まる傾向がある。その結果、高齢者では総睡眠時間は延長するものの眠りが浅くなり、軽い尿意で覚醒するようになる。しかし、睡眠障害の治療が夜間頻尿の改善につながることを示唆する前向き臨床試験の報告は限られている。このような背景を踏まえ著者らは、就寝時刻を調整することで高齢者の夜間頻尿が改善するという仮説を立てた。