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バーンアウトについて学んでみる【非専門医のための緩和ケアTips】第120回

バーンアウトについて学んでみる緩和ケアに限らず、医療者として働き続けるうえで非常に重要な「バーンアウト(燃え尽き症候群)」に関する質問をいただきました。今回はバーンアウト全般について考えてみます。今日の質問緩和ケアやお看取りのケアはやりがいを感じる反面、精神的負担を感じるときがあります。知り合いの緩和ケア認定看護師が、うつ病で休職したという経験もあります。緩和ケアはバーンアウトしやすいのでしょうか?私も緩和ケアの仕事を始めた頃に、家族や知人に「亡くなる人ばかりを診ていると、うつ病になるのではないか」と心配されたことがありました。私自身は緩和ケアにやりがいを感じ、キャリアの中で関わることができたことは本当に良かったと思います。ただ確かに、周囲にはうつ病と診断されるかどうかはともかく、メンタル不調で休職が必要になったり、緩和ケアの仕事を続けられなくなったりする方もいました。私は精神科医ではなく、バーンアウトについて専門的に学んだ経験もありませんが、部門の管理者としてスタッフの健康管理をするうえでバーンアウトについて知っておくことは重要だと考えています。では、具体的にバーンアウトのどんな点を知っておく必要があるのでしょうか? 緩和ケア領域は、共感性の高いスタッフが集まりやすい分野だと感じます。緩和ケアを実践するスタッフは、患者はもちろん、家族や介護スタッフ、同僚に対しても思いやりをもつ方が多いと感じます。一方、懸命に取り組むスタッフであればあるほど、仕事において感情的な負担や葛藤を抱えることは多いとも感じます。懸命に取り組むだけに、患者さんの苦痛を緩和できなかったり、家族とのやり取りで負担を感じたりといった場面が続くと、より負担を感じやすくなります。そんな状況で、私たちにとって大切なことは、自分自身の状況に敏感であることです。バーンアウトの分野には「情緒的消耗感」や「脱人格化」という用語があります。「情緒的消耗感」は単なる疲弊だけでなく、情緒的な資源の枯渇を伴う状態です。そして「脱人格化」は他者への対応が思いやりのないものになったり、個別のケアに配慮できなかったりする状態を意味します。まずは自分自身のコンディションに意識を向け、こうした状態の兆候がないか、気を払うことが大切です。管理者目線では、スタッフがこうした状態に陥っていないかを注意する必要があります。また、自分自身に注意を払えるよう、バーンアウトをテーマとした研修を行うことも一手でしょう。いかがでしょうか? バーンアウトについて、皆さんの職場で、それぞれの立場で、考えるきっかけになれば幸いです。今日のTips今日のTipsバーンアウトについて理解すること、自身のコンディションに敏感になることが大切。

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脳インプラントがパーキンソン病の歩行をリアルタイムで把握

 新たな脳インプラントにより、キッチンまで歩く、公園を散歩するなど、日常生活の中で何らかの動作をしているパーキンソン病患者から歩行に関連する脳信号をリアルタイムで記録し、その場で歩行中か否かを判定できることを示した研究結果が報告された。この完全埋め込み型のインプラントを使用することで、医師はパーキンソン病患者の運動機能をより効果的に改善できる可能性がある。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のDoris Wang氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に2月13日掲載された。 Wang氏は、「完全埋め込み型の脳インプラントを用いて、実世界で活動している間の特定の動作状態を検出できたのは、今回が初めてだ。われわれが得た結果は、実験室の外でも意味のある神経信号を特定できることを示している。これは、より個別化され、応答性の高いニューロモジュレーション(神経調節)療法への重要な一歩だ」と述べている。 パーキンソン病では、歩幅の狭いすり足のような歩行、硬直、バランス機能の低下、震え、不随意運動などの運動障害が主要な症状として現れる。今回の研究では、脳深部刺激療法(DBS)のためのインプラントを受ける予定だった4人のパーキンソン病患者を対象に、日常生活における歩行状態を脳信号から推定できるかを検証した。対象者の脳の運動野と淡蒼球内節に埋め込まれたインプラントは、電気刺激を送るだけでなく、脳活動を記録し、リアルタイムで解析する機能も備えていた。このインプラントを通じて、日常生活での自然な行動が合計80時間以上記録された。この間、患者の足首には歩行センサーも装着され、歩行データも測定された。 その結果、患者が歩行中か歩行していない状態かを脳波だけで区別できることが明らかになった。また、その脳波パターンは、患者ごとに異なっていることも判明した。研究グループは、こうした患者ごとの脳波フィードバックを基に、患者が「歩いているのか」「座っているのか」「その他の動作をしているのか」に合わせてDBSの刺激を調整できる可能性があるとしている。 Wang氏は、「われわれは、歩行に関連する個別の神経バイオマーカーを特定し、埋め込み型デバイスという制約下においても、それらの信号からリアルタイムで歩行状態を分類できることを示した。これは、患者の活動状態に応じて刺激を調整できる将来の適応型DBSシステムの基盤となる」と述べている。 ただし、脳波を活用し、インプラントを動作に応じて適応させる方法を確立するには、さらなる研究が必要である。Wang氏は、「自然な行動中の脳活動を研究できるようになれば、ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)や適応型ニューロモジュレーションの適用範囲が、実験室の枠を越えて日常生活へと広がっていくだろう」と述べている。

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生涯学習は認知症リスクの低下と関連

 米国の実業家であるヘンリー・フォード(Henry Ford)氏はかつて、「20歳であろうと80歳であろうと、学ぶことをやめた人は老いている。学び続ける人はいつまでも若い」と述べているが、この言葉には確かな根拠があるようだ。生涯にわたり学習を続ける人は、アルツハイマー病(AD)のリスクが低く、脳の老化も緩やかになることが、新たな研究で明らかにされた。米ラッシュ大学医療センター精神科・行動科学分野のAndrea Zammit氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に2月11日掲載された。 Zammit氏は、「われわれの研究では、幼少期から高齢期までの間の知的好奇心をかき立てる活動や環境に着目した。今回の結果は、高齢期の認知機能が、生涯を通じて知的に刺激的な環境に触れてきたかどうかに大きく影響されることを示唆している」と話している。 この研究では、認知症のない平均79.6歳の1,939人(75%女性)を7.6年にわたり追跡し、生涯を通じた認知エンリッチメントと、ADおよび関連認知症(ADRD)の病理指標、および認知的レジリエンスとの関連を検討した。エンリッチメントとは、何かをより良く、より豊かにすることを意味する。試験参加者は、人生のさまざまな段階でどれほど知的な活動に触れてきたかに関するアンケートに回答した。認知エンリッチメントの具体的な指標は、人生の早期段階(18歳まで)では、読み聞かせや読書、家庭に新聞や地図帳があるか、5年以上の外国語学習など、中年期(40歳頃)では、40歳時点の収入、雑誌の購読や図書館カードなどの家庭の文化的資源、図書館や博物館を訪れる頻度、高齢期(平均80歳〜)では、読書、文章を書くこと、ゲーム、退職後の収入などであった。 追跡期間中に551人がADを発症した。解析の結果、生涯の認知エンリッチメントが1単位高いことは、ADリスクの38%の低下と関連していた(ハザード比0.62)。また、認知エンリッチメントの高さが上位10%の人は、下位10%の人と比べて、ADの発症が平均5年遅れることも示された。さらに、生涯の認知エンリッチメントが高い人ほど、研究参加時の認知機能スコアが有意に高く、認知機能の低下速度も緩やかだった。 死亡した948人の脳を用いた解析からは、生涯の認知エンリッチメントと神経病理学的指標との間に意味のある関連は認められなかった。しかし、生涯の認知エンリッチメントが高い人では、死亡前の認知機能が有意に高く、神経病理学的変化の影響を統計学的に補正した後でも、認知機能の低下速度が緩やかだった。 Zammit氏は、「生涯を通じて多様な知的活動に継続的に取り組むことが、認知機能の維持に影響を与える可能性があることを示したこれらの結果には励まされる。公的投資により図書館や幼児教育プログラムなどの学ぶ楽しさを育む環境へのアクセスを拡大することは、認知症の発症を減らす一助になるだろう」と述べている。(HealthDay News 2026年2月18日)

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1日1回経口投与の片頭痛発作の発症抑制薬「アクイプタ錠60mg/30mg/10mg」【最新!DI情報】第59回

1日1回経口投与の片頭痛発作の発症抑制薬「アクイプタ錠60mg/30mg/10mg」今回は、経口CGRP受容体拮抗薬「アトゲパント水和物(商品名:アクイプタ錠60mg/30mg/10mg、製造販売元:アッヴィ)」を紹介します。本剤は、1日1回経口投与の片頭痛の予防治療薬です。片頭痛発作の発症を抑制することで、患者さんの健康や生活の質の向上、社会における生産性の向上が期待されています。<効能・効果>片頭痛発作の発症抑制の適応で、2026年2月19日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはアトゲパントとして60mgを1日1回経口投与します。なお、本剤投与開始後3ヵ月を目安に治療上の有益性を評価して症状の改善が認められない場合には、本剤の投与中止を考慮します。3ヵ月以降も本剤投与を継続する場合には、定期的に投与継続の要否を検討し、頭痛発作発現の消失・軽減などにより日常生活に支障を来さなくなった場合には、本剤の投与中止を考慮します。<安全性>重大な副作用として、過敏症反応(頻度不明)があります。その他の副作用として、悪心、便秘、食欲減退、傾眠、体重減少、ALT/AST増加(いずれも1%以上)、疲労、そう痒症(いずれも0.1~1%未満)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、経口CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)受容体拮抗薬で、片頭痛発作の発症抑制に用いられます。片頭痛発作時の治療だけでは日常生活に支障を来している人に使用されます。2.CGRPがCGRP受容体へ結合することを阻害し、片頭痛に関与するシグナルの伝達を阻害することで、片頭痛発作の発症を抑制します。3.この薬は起こってしまった頭痛発作を和らげる薬ではないので、この薬を服用中に頭痛発作が起こった場合には、必要に応じて頭痛発作治療薬を頓用で使用してください。<ここがポイント!>片頭痛は慢性の神経疾患であり、わが国における15歳以上の有病率は8.4%と報告されています。片頭痛が日常生活に及ぼす影響は、「いつも寝込む」が4%、「ときどき寝込む」が30%、「寝込まないが支障あり」が40%であり、全体の74%が何らかの形で日常生活に支障を来しています。このように日常生活への影響が認められる場合は、積極的な治療介入が必要です。片頭痛の治療は、発作に対する急性期治療および予防療法に大別されます。急性期治療薬としては、アセトアミノフェンやNSAIDs、トリプタン系薬剤、ラスミジタン、リメゲパント、エルゴタミン、制吐薬などが用いられます。予防療法は、片頭痛発作が月に2回以上、あるいは生活に支障を来す頭痛が月に3日以上認められる患者において、積極的に実施を検討する必要があります。CGRPは、片頭痛の病態において重要な役割を果たす神経ペプチドです。三叉神経終末から放出されたCGRPがCGRP受容体に結合することで、硬膜血管周囲の血管拡張や神経原性炎症を引き起こし、片頭痛発作につながります。アトゲパント水和物は選択的経口CGRP受容体拮抗薬であり、CGRPの作用を阻害することで血管拡張や炎症を抑制し、片頭痛発作を予防します。本剤は経口CGRP受容体拮抗薬としてはリメゲパントに次ぐ2番目の薬剤ですが、今回承認された適応症は「片頭痛発作の発症抑制」のみであり、急性期治療に使用できない点に注意が必要です。なお、2025年12月に片頭痛発作の急性期治療に関する製造販売承認申請が行われており、近いうちに急性期治療にも使用できる可能性があります。本剤を調剤する際は、常に最新の情報を確認し、適応症を把握したうえで処方監査を行うことが重要です。慢性片頭痛患者を対象とした国際共同第III相試験(PROGRESS:3101-303-002試験)において、主要評価項目である投与開始12週間における平均月間片頭痛日数(MMD)のベースラインからの変化量は、本剤60mg群で-6.88日(95%信頼区間[CI]:-7.67~-6.08)、プラセボ群との差は-1.82日(95%CI:-2.89~-0.75)であり、プラセボ群に対する優越性が検証されました(p<0.001)。また、日本人反復性片頭痛患者を対象とした国内第II/III相試験(RELEASE:M22-056試験)においても、投与開始12週間における平均MMDのベースラインからの変化量は、本剤60mg群で-3.34日(95%CI:-3.83~-2.85)、プラセボ群との差は-2.10日(95%CI:-2.78~-1.43)であり、プラセボ群に対する優越性が検証されました(p<0.001)。

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日本の実臨床における片頭痛予防薬CGRP関連抗体の治療継続率は

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連抗体は、片頭痛治療に有効な注射剤である。名古屋大学の種井 隆文氏らは、日本の実臨床におけるCGRP関連抗体治療の継続率、再開率、中止率を評価するため本研究を実施した。Neurology International誌2025年12月24日号の報告。 対象は、CGRP関連抗体治療を開始後3ヵ月以上のフォローアップ調査を受けた未治療の片頭痛患者。CGRP関連抗体治療の継続、中止、再開の決定は、患者の自由意思に基づいて行われた。頭痛影響テスト-6(HIT-6)および片頭痛特異的QOL質問票(MSQ)は、治療開始前および各CGRP関連抗体の使用から1ヵ月後に実施された。評価項目は、治療開始後の治療継続率、再開率、中止率、HIT-6スコアおよびMSQスコアの変化、再開群と中止群における背景因子の違いとした。 主な結果は以下のとおり。・片頭痛患者1,162例のうち146例が解析対象となった。・CGRP関連抗体治療後の3、6、9、12、18、24ヵ月の時点での継続率は、それぞれ93.2%、80.2%、68.9%、58.8%、55.4%、51.7%であった。・CGRP関連抗体治療を中断した患者における再開率は76.8%、中止率は20.7%であった。・HIT-6スコアおよびMSQスコアは、CGRP関連抗体治療前と比較して、すべての評価時点で有意な低下が認められた。・再開群と中止群の間で統計学的に有意な背景因子の違いは認められなかった。 著者らは「患者が自由に治療を選択できる実臨床の状況においては、CGRP関連抗体治療開始後12ヵ月時点での継続率は58.8%であり、24ヵ月後も半数以上の患者が治療を継続していた。また、再開率は76.8%、中止率は20.7%であった」と報告している。

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小児のドラベ症候群、zorevunersenが有望/NEJM

 ドラベ(Dravet)症候群は、主にSCN1A遺伝子のハプロ不全によって引き起こされる重篤な発育性てんかん性脳症であり、てんかんを有する一般集団と比較して、てんかんによる予期せぬ突然死および認知機能障害のリスクが高いとされる。米国・Northwestern University Feinberg School of MedicineのLinda Laux氏らは、2つの臨床試験(MONARCH試験およびADMIRAL試験)と、その延長試験(SWALLOWTAIL試験およびLONGWING試験)において、zorevunersenの投与により、痙攣発作の頻度が大幅に低下し、有害事象の多くは軽度または中等度であったことを示した。zorevunersenは、ドラベ症候群の基盤となるチャネル病(channelopathy)を標的とし、NaV 1.1ナトリウムチャネルの発現を亢進するようデザインされたアンチセンスオリゴヌクレオチドである。研究の成果は、NEJM誌2026年3月5日号に掲載された。米国と英国の非盲検第I/IIa相試験+延長試験 MONARCH試験およびADMIRAL試験は、それぞれ米国および英国で実施した多施設共同非盲検第I/IIa相試験(Stoke Therapeuticsの助成を受けた)。MONARCH試験は2~18歳、ADMIRAL試験は2~<18歳のドラベ症候群で、標準的な抗痙攣薬による治療を受けている患者を対象とした。 MONARCH試験は、単回投与の用量漸増コホート(5つの用量[10、20、30、45、70 mg]のzorevunersenを1日目に髄腔内投与)および複数回投与の用量漸増コホート(3つの用量[20、30、45mg]のzorevunersenを1、29、57日目に髄腔内投与)から成る。ADMIRAL試験は、複数回投与の用量漸増コホート(3つの用量[30、45、70mg]のzorevunersenを1、57、85日目に髄腔内投与)を擁する。 これらの試験を完了し、適格基準を満たした患者を、それぞれの非盲検延長試験であるSWALLOWTAIL試験およびLONGWING試験に登録し、4ヵ月ごとにzorevunersen(≦45mg)の投与を継続した。 主解析では、zorevunersenの安全性と薬物動態を評価し、臨床効果の評価も行った。腰椎穿刺後症候群が25%に発現 2つの第I/IIa相試験に合計81例(平均年齢9.9[±5.1]歳、女児40例[49%])を登録し、2025年5月30日現在、延長試験に合計75例(10.4[±5.0]歳、37例[49%])を登録した。第I/IIa相試験のベースラインにおいて、患者の81%が3種以上の抗痙攣薬の投与を受けていた。 第I/IIa相試験の78例(96%)および延長試験の75例(100%)に有害事象が発現したが、ほとんどが軽度または中等度であった。第I/IIa相試験で最も頻度の高かった有害事象は腰椎穿刺後症候群(25%)であり、延長試験では脳脊髄液(CSF)中タンパク質濃度上昇(45%)の頻度が最も高かった。 予期せぬ重篤な有害反応が疑われる患者が1例、試験中止に至った有害事象が1例、てんかんによる予期せぬ突然死が2例、栄養失調による死亡が1例に認められた。 複数回投与の用量漸増コホートでは、最終投与後3ヵ月時のCSF中zorevunersen濃度が、初回または2回目投与後1ヵ月時よりも高値を示した。この所見は、月1回または2ヵ月ごとの投与で、CSF中へのzorevunersenの蓄積が生じることを示唆する。延長試験で、臨床状態、生活の質、適応行動も改善 第I/IIa相試験でzorevunersen 70mgを投与され、その後延長試験で最大45mgの投与を受けた患者では、延長試験開始後20ヵ月間における、1ヵ月ごとの痙攣発作の頻度のベースラインからの変化量中央値は、-58.82%から-90.91%の範囲にあり、どの時点でも大幅に低下していた。 延長試験における最長36ヵ月間の継続治療では、全般的な臨床状態、生活の質、適応行動の改善が、データによって裏付けられた。 著者は、「患児の介護者は、新しい治療法では発作以外の症状の緩和が重要と指摘しており、zorevunersenによる全般的な臨床状態や適応行動の変化について、さらなる検討を進める必要がある」「本研究の良好な安全性プロファイルと初期の臨床的改善は、ドラベ症候群に対する疾患修飾治療薬として、zorevunersenの開発を続けることを支持するものである」としている。 現在、zorevunersenの初回投与量70mg、継続投与量45mgによる第III相試験が進行中だという。

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アルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの最適な投与量は

 アジテーションは、アルツハイマー病による認知症患者にとって最も苦痛な神経精神症状の1つであり、患者のQOLに重大な影響を及ぼし、介護者の負担を増大させる。ドーパミン受容体パーシャルアゴニストであるブレクスピプラゾールは、アジテーションのマネジメントに有望な薬剤である。パキスタン・King Edward Medical UniversityのHammad Javaid氏らは、アルツハイマー病に伴うアジテーションのマネジメントに対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neurological Sciences誌2026年1月29日号の報告。 2025年1月までに公表された研究をPubMed、Cochrane、Scopus、Embase、ClinicalTrials.govより包括的に検索した。ランダム効果モデルを用いて、二値アウトカムをリスク比(RR)、連続アウトカムを平均差(MD)として、95%信頼区間(CI)とともに統合した。異質性の評価には、I2統計量およびカイ二乗検定を用いた。p値0.05未満を統計的に有意と判定した。すべての計算はRevMan 5.4を用いて実施した。 主な結果は以下のとおり。・アルツハイマー病に伴うアジテーションを呈する認知症患者1,440例(944例vs.496例)を対象とした4つの研究をメタ解析に含めた。・ブレクスピプラゾールは、CMAI(MD:-3.94[-6.21~-1.67]、p<0.001)およびNPI-NH(MD:-0.67[-1.08~-0.26]、p=0.002)において、2~3mg/日で最適な効果を示し、アジテーションの有意な軽減を示した。・SASスコアには、わずかな悪化が認められたが(MD:0.38[0.18~0.58]、p=0.0002)、MMSE(p=0.06)およびCGI-S(p=0.06)は安定していた。・重篤な有害事象、死亡率、めまい、錐体外路症状については統計学的に有意な差が認められなかった(各々、p>0.05)。 著者らは「ブレクスピプラゾールは、軽度の運動機能への影響が認められたものの、安全性に関する重大な懸念はなく、アルツハイマー病に伴うアジテーションを効果的に軽減した。本研究の限界としては、中程度の異質性と試験期間の短さが挙げられる。今後の研究において、長期的なアウトカムおよび患者の層別化について検討する必要がある」としている。

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約5人に1人が耳鳴りが原因で労働時間を減らしている

 耳鳴りは、簡単にやり過ごせるもののように思われがちだ。しかし、最新の研究によると、耳鳴りは人のキャリアに大きな影響を及ぼす可能性があるようだ。約5人に1人の成人が、耳鳴りが原因で労働時間を減らしたり、仕事を辞めたことがあると回答したことが明らかになった。英アングリア・ラスキン大学のEldre Beukes氏らによるこの研究結果は、「Brain Sciences」に1月29日掲載された。Beukes氏は、「一部の人にとって、耳鳴りは単なる持続的な音以上のものだ。安定した雇用や職場でのウェルビーイングの妨げとなり、難聴や不安、睡眠トラブルを引き起こすことも珍しくない」と述べている。 耳鳴りとは、外部に音源がないのにベルなどが鳴り響く音や、蚊などがブンブンいう音、シューという空気が漏れるような音などが聞こえる現象であり、人口の約15%が耳鳴りを有しているとされている。 今回の研究では、耳鳴りを有する449人の成人(平均年齢54.4歳)に対して、症状が仕事の生産性にどのような影響を与えているのかが評価された。 その結果、7%が耳鳴りが原因で仕事を辞めたと回答し、11%が労働時間を減らしたと回答した。また、1%は障害手当を受給していた。質問に回答した310人の試験参加者の72%(223人)が、「耳鳴りによって仕事に支障をきたしている」と回答した。具体的な影響としては、耳鳴りによって「集中しにくい」「生産性が落ちる」「コミュニケーションが難しくなる」などの問題が生じ、「疲れやすくなった」「仕事が遅くなった」「ミスが増えた」と回答した人も多かった。 一方で、この研究では、耳鳴りによる影響を軽減する方法があることも示唆された。参加者のうち200人が、耳鳴りへの対処法を学ぶオンライン認知行動療法(ICBT)プログラムを受講した。その結果、受講後には、「労働時間を減らす必要がある」と回答した参加者が大幅に減り、耳鳴りによるストレス、不安、抑うつ、不眠も改善した。 Beukes氏は、「職場は、耳鳴りが生産性に影響を及ぼす可能性がある状態であり、合理的な配慮が必要となる場合があることを認識すべきだ。柔軟な働き方、聴覚関連テクノロジーへのアクセス、管理者の理解促進などの措置は、耳鳴りを有する人が就労を継続する助けとなるだろう」と述べている。 研究グループは、「この結果は予備的であり、今後、対照群を含めた検証が必要だ」としながらも、適切なサポートがあれば耳鳴りを有する人も仕事を続けやすくなる可能性があることを指摘している。Beukes氏は、「早期の支援は、個人の負担を軽減するだけでなく、労働能力低下による経済的損失の軽減にもつながる」と話している。

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脳外傷後の迅速な神経リハがアルツハイマー病のリスクを抑制する

 外傷性脳損傷(TBI)がアルツハイマー病(AD)や認知症のリスク上昇と関連していることが疫学研究から示されている。一方、TBI後の神経リハビリテーション(神経リハ)がそのリスクを抑制し得ることを示唆する、複数の研究結果が報告されている。ただし、神経リハ開始のタイミングによってAD等のリスクが異なるのかは明らかでない。米ケース・ウェスタン・リザーブ大学のAustin A. Kennemer氏らはこの点について、リアルワールドの医療情報データベースであるTriNetXを用いて、米国内の大規模医療機関69施設の患者データを解析し検証した。結果の詳細は「Journal of Alzheimer's Disease」に10月9日掲載された。 2000~2019年に中等度または重度のTBIと診断され6カ月以内に神経リハを受けていた50~90歳の患者から、TBI前にAD、認知症、軽度認知障害(MCI)の診断またはAD関連薬剤の処方記録がある患者を除外した3万7,081人を抽出。このうち2万8,157人は神経リハがTBI後1週間以内に開始され、8,924人は1週間以上経過してから開始されていた。 人口統計学的因子(年齢、性別、人種/民族)、社会経済的因子(教育歴、雇用状況、居住環境など)、およびTBIや認知症のリスクに影響を及ぼし得る疾患等の既往歴(糖尿病、肥満、心血管疾患、COPD、薬物乱用など)について傾向スコアマッチングを行い、各群8,818人からなるコホートを作成。3年後および5年後の追跡調査時点のAD発症を主要アウトカム、MCI、認知症、およびAD関連薬剤の処方を副次的アウトカムとしてリスクを比較した。なお、神経リハ早期開始群は平均年齢64.0±9.09歳、女性41.1%、後期開始群は同順に63.9±9.05歳、40.9%だった。 Cox比例ハザードモデルでの検討の結果、神経リハ早期開始群の後期開始群に対するADリスクは、3年後(ハザード比〔HR〕0.59〔95%信頼区間0.41~0.86〕)および5年後(HR0.70〔同0.52~0.94〕)ともに有意に低いことが示された。同様に、認知症(3年後がHR0.77〔0.68~0.88〕、5年後が0.88〔0.79~0.98〕)、MCI(同順に0.71〔0.60~0.84〕、0.72〔0.62~0.84〕)、AD関連薬剤の処方(0.69〔0.56~0.84〕、0.79〔0.66~0.93〕)のいずれも、早期開始群の方が有意に低リスクだった。 Kennemer氏は、「われわれの研究結果は、TBI後の迅速な神経リハ開始が、長期予後にとり重要であることを示している」と述べている。

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片頭痛に対するCGRP関連抗体薬、2年間の長期治療継続の有用性評価

 スペイン・バルセロナ自治大学のEdoardo Caronna氏らは、片頭痛におけるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連抗体の長期的有効性と治療持続性および2年間の治療継続に関連するベースライン特性を明らかにするため、プロスペクティブコホート観察多施設レジストリ研究を実施した。Neurology誌2026年2月24日号の報告。 治療期間が24ヵ月に到達した群(ON群)における1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)の変化をベースラインと比較した。6、12、18、24ヵ月の4つの時点における治療反応パターンを解析した。持続的効果の定義は、4つの時点のうち3つ以上でMHDが50%以上減少した場合とした。ON群と、効果不十分のため中止した群(OFF群)のベースライン特性を比較した。 主な結果は以下のとおり。・ON群の患者は1,340例(年齢中央値:48.0歳[範囲:41.0〜55.0歳]、女性:81.7%)。・ベースラインにおけるMHD中央値は20.0(13.0〜28.0)日であった。・24ヵ月到達時点でMHDが50%以上減少した患者の割合は60.4%(1,340例中809例)。・24ヵ月到達時点で持続的効果が認められた患者の割合は53.8%(264例中142例)。・ON群(1,340例)と比較しOFF群(1,057例)は、ベースラインのMHD(20.0[13.0〜28.0]vs.25.0[16.0〜28.0])が統計学的に有意に高く、片頭痛の前兆(16.2%vs.22.9%)、うつ病(22.8%vs.37.9%)、肥満(7.2%vs.19.1%)を有する患者の割合が高かった(各々、p<0.001)。 著者らは「CGRP関連抗体によるMHDは、2年間で持続的に減少した。治療開始の遅延、片頭痛の前兆、うつ病、肥満は、治療継続に悪影響を及ぼす可能性がある」とまとめている。

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高次脳機能障害者支援法成立で期待される当事者へのメリット/サンバイオ

 2026年2月に行われたサンバイオのメディアラウンドテーブルにて、日本高次脳機能障害友の会理事長の片岡 保憲氏とサンバイオ代表取締役の森 敬太氏が、高次脳機能障害者が置かれた現状と、昨年(2025年)に成立した同支援法に対する期待について発表した。高次脳機能障害を取り巻く課題 高次脳機能障害として国内で診断を受けている当事者数は約23万例だが、未診断者を合わせると30万〜50万例に達する可能性もあるとされる。原因の8割は脳卒中などの脳血管疾患である。 高次脳機能障害では、主に注意障害(1つのことが続けられないなど)、記憶障害(新しい記憶が覚えられないなど)、遂行機能障害(計画が立てられないなど)、社会行動障害(些細なことでイライラしたり興奮するなど)などが現れる。 これらの障害は、社会から理解を得られず、「反省しない人」「仕事ができない人」といった人格的な言葉に変換されてしまう。 高次脳機能障害に対する社会的課題として、疾患啓発の不足、医療機関と地域・福祉の連携不足、診断できる医師の不足といったものが挙げられる。新法成立が当事者にもたらす期待 そのような中、高次脳機能障害者支援法が2025年12月に成立、2026年4月からの施行予定である。 同支援法は、国と地方公共団体に、体系的かつ計画的な支援計画の策定と、その実行状況の随時公表を義務付ける特徴的な法律であり、地域格差是正の礎となることが期待される。 従来の支援は、食事や排泄といった「やらなければ命に関わること」に偏りがちである。しかし、当事者・家族会の活動を通じて重要だと考えられるのは、旅行、趣味、スポーツ観戦といった「やらなくても命に関わらないこと」と片岡氏。同氏はまた「同支援法によって、障害があっても当事者が1人の人として人権が尊重され、暮らしたい場所で社会と繋がっていくこと、地域格差なく、障害当事者を支える仕組みが充実していくことを期待している」と訴える。高次脳機能障害も含めた周辺情報の提供 森氏は、外傷性脳損傷に関連して条件及び期限付承認されている、ヒト(他家)骨髄由来加工間葉系幹細胞治療薬の開発試験では、脳機能障害に対する多くの問い合わせを受けていると述べる。その多くは疾患理解の不足からくるものだという。 外傷性脳損傷も高次脳機能障害の原因の1つであることから、同社が運営する外傷性脳損傷の情報サイト「TBIナビ」を通して、周辺情報を提供していきたいとしている。

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薬剤性パーキンソニズムリスク、8つの抗精神病薬比較

 薬剤性パーキンソニズムは、主に抗精神病薬によるドパミンD2受容体阻害により引き起こされる。しかし、in vitro試験では、実臨床における臨床転帰の変動性を十分に反映できないケースが多くみられる。韓国・Gachon UniversityのWoo-Taek Lim氏らは、in vitroの薬理学的指標が抗精神病薬使用に伴う薬剤性パーキンソニズムの実臨床リスクと一致するかどうかを評価するため、本研究を実施した。JMIR Public Health and Surveillance誌2026年1月28日号の報告。 一般的に使用される8種類の抗精神病薬について、D2受容体およびセロトニン2A受容体の阻害定数(Ki)、D2受容体の解離速度(Kr)、血液脳関門(BBB)通過速度など、主要なin vitroパラメーターを集計し、6つの複合薬剤性パーキンソニズムリスク指標を構築した。Seoul National University Hospital共通データモデル(2002~21年)を用いて、実臨床における薬剤性パーキンソニズムリスクを評価した。抗精神病薬使用者と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)使用者は、傾向スコアマッチングを用いて1:1でマッチングし、Cox比例ハザード回帰分析を用いて薬剤性パーキンソニズムリスクのハザード比(HR)を推定した。各in vitro指標と実臨床における薬剤性パーキンソニズムリスクとの相関は、対数回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・8つのマッチングコホートから4万4,664例の患者を抽出した。・薬剤性パーキンソニズムリスクが最も高かった薬剤はハロペリドール(HR:4.56、95%信頼区間[CI]:2.29~9.07)、最も低かった薬剤はアリピプラゾール(HR:2.11、95%CI:1.56~2.86)であった。・実臨床における薬剤性パーキンソニズムリスクと最も強い相関を示した指標はpKr×BBB透過率であった(R2=0.95)。・この相関は、D2受容体パーシャルアゴニストであるアリピプラゾールを解析に含めると低下が認められた(R2=0.58)。 著者らは「受容体結合動態とBBB透過を統合することで、D2受容体阻害作用を有する抗精神病薬の実臨床における薬剤性パーキンソニズムリスクの変動を反映するin vitroフレームワークを構築できる可能性が示唆された。これらの知見は、早期安全性評価において薬物動態パラメーターと中枢神経系曝露パラメーターを組み合わせることの重要性を裏付けている」と結論付けている。

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未破裂脳動脈瘤のある健康な人、全死亡リスクが5倍に

 MRIの普及に伴い、症状のない未破裂脳動脈瘤(UIA)が偶然発見される機会が増加している。しかし、偶然発見されたUIAを持つ人の長期的な死亡率や死因については、これまで十分に解明されていなかった。佐賀大学の緒方 敦之氏らが実施した、脳ドック受診者を対象とした前向きコホート研究「The Kashima Scan Study」の結果、偶然UIAが発見された健康な人は、UIAがない人と比較して全死亡リスクが約5倍高く、その主な死因は動脈瘤の破裂ではなく悪性腫瘍であることが判明した。Stroke and Vascular Neurology誌オンライン版2026年2月24日号に掲載。 本研究では、2005年12月~2011年11月に脳ドックを自費で受診した神経学的に健康な成人1,670例(平均年齢57.7歳[範囲23~84]、男性47.5%)を対象とした。平均追跡期間8.7年(SD 2.3)において、MRIおよびMRAで診断されたUIAの有無と死亡率の関連性を、年齢、性別、高血圧、糖尿病、喫煙習慣などの要因を調整したCox比例ハザードモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・全対象者1,670例のうち90例にUIAが認められた。UIA群90例(5.4%)、非UIA群1,580例(94.6%)。・追跡期間中に36例が死亡した。全死因死亡は、UIA群で7例(死亡率:7.8%)、非UIA群で29例(同:1.8%)であり、UIA群で死亡率が有意に高かった(p=0.002)。・多変量解析の結果、UIAの存在は死亡リスクの有意な上昇と独立して関連していた(調整ハザード比[HR]:4.95、95%信頼区間[CI]:2.14~11.4)。・全死因のうち、最も多かったのは悪性腫瘍(15例)であった。悪性腫瘍による死亡は、UIA群の死亡例の57%(4/7例)、非UIA群の38%(11/29例)を占めた。・UIA群の死亡例(7例)のうち、動脈瘤破裂による死亡は1例のみであった。 本研究の結果、偶然見つかったUIAを持つ神経学的に健康な人は死亡リスクが著しく高いことが示された。著者らはこの原因として、動脈瘤形成に関与する「全身性の炎症状態」が、心血管疾患やがんの発症・進行という共通の病理学的経路を介している可能性を指摘している。UIAが発見された人に対しては、従来の動脈瘤の経過観察だけでなく、より集中的な健康モニタリングや総合的なリスク因子管理が有益である可能性を示唆している。

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慢性片頭痛に対する抗CGRP抗体とCGRP受容体拮抗薬併用療法の有用性は?

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)をターゲットとした単独療法を受けている患者は、片頭痛症状への治療反応が遅延する場合がある。また、このような治療を受けている患者は、妥当な期間内に片頭痛症状の軽減がみられないこともある。一部の臨床医は、相乗効果を高めることを目的として、CGRP分子および受容体を標的とする低分子拮抗薬(SMA)とリガンドモノクローナル抗体(L-mAb)の併用療法を選択している。米国・ハワイ大学のHo Hyun Lee氏らは、相乗効果のあるSMAとL-mAbの併用療法を受けている患者におけるCGRP併用療法の安全性と有効性を、CGRP単独療法と比較するため、実臨床におけるレトロスペクティブレビューを実施した。Pain Physician誌2026年1月号の報告。 本研究は、米国の神経内科ケアセンター1施設におけるレトロスペクティブマッチングコホート研究として実施した。2018年5月〜2024年2月にCGRP阻害薬(L-mAb[フレマネズマブ、ガルカネズマブ、eptinezumab]、SMA[ubrogepant、リメゲパント、アトゲパント]、またはL-mAbとSMAの併用)による治療を受けた18歳以上の慢性片頭痛患者90例を対象に分析を行った。本研究では、L-mAbとSMAの併用療法を受けた27例の患者と、L-mAb単独療法またはSMA単独療法を受けた63例の患者を、年齢と性別でマッチングさせ、比較した。変数は、現在の年齢、診断時年齢、性別、ボツリヌス毒素Aの使用、頭痛の頻度、持続時間、重症度、治療前および治療後3ヵ月の関連症状とした。両治療群において有害事象が記録された。すべての仮説検定は両側検定で実施し、p値<0.05で有意と判断した。 主な結果は以下のとおり。・CGRP単独療法では頭痛の重症度が10%減少したのに対し、CGRP併用療法では20%減少した(p=0.039)。・CGRP併用療法を受けた患者では、頭痛日数が平均4日の減少(最大14日減少)が認められた。一方、CGRP単独療法を受けた患者では、頭痛日数の変化が認められなかったが、この結果に統計的に有意な差は認められなかった(p=0.112)。・その他の片頭痛関連症状については、両群間で有意な差は認められなかった。・CGRP単独療法群およびCGRP併用療法群における有害事象は軽度であり、重篤な有害事象や治療中止は報告されなかった。 著者らは、本研究の限界として、サンプルサイズが比較的小さいこと、研究デザインがレトロスペクティブであること、新規CGRP薬が使用されていないこと、交絡因子をコントロールできないこと、患者間で少数のCGRP阻害薬が主に使用されていることなどが挙げられるとしながらも「CGRP併用療法は、有意な有害事象を引き起こすことなく、頭痛の重症度を軽減することで、片頭痛の症状コントロールを強化する可能性がある」としている。しかし「これらの知見は、より大規模なサンプルサイズを用いたランダム化プラセボ対照臨床試験によって確認する必要がある」としている。

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怒鳴ってしまって大失敗!【Dr. 中島の 新・徒然草】(621)

六百二十一の段 怒鳴ってしまって大失敗!ようやく確定申告が終わったと思ったら花粉の季節。ティッシュの箱をキーボードの横に置き、鼻をかみながら外来をしています。さて、今回のお話は60代の男性患者さんについてです。10年ほど前に交通事故で頭部を打撲しながらも職場復帰し、見事に定年まで勤め上げました。定年後は障害者雇用で働いています。が、頭部外傷のせいで高次脳機能障害が残っており、時々ボロが出てしまうのが困ったところ。今回の外来では冒頭からその話でした。 患者 「先生、大変なことが起こったんですよ」 椅子に座る間もなく話が始まります。 患者 「今は役所で働いているんですけどね、主任さんと大喧嘩してしまったんです」 いつも早い目に出勤して段取りをするのだけど、その日は何かパソコンを打っていても違和感があったそうです。で、「おかしいな」と思って主任さん(女性)のところに行くと、彼女から「急ぐ書類があったので、私が先にやらせてもらいました」と。ついカッとなって「なんでひとこと言ってくれへんかったのですか!」と怒鳴ってしまったそうです。すると主任さんも反論して大きな声で言い合いになったのだとか。 患者 「後で課長さんに呼ばれてですね、『市民の前で何をやっているんですか』と注意されてしまって」 中島 「ちょっとまずかったですね、それは」 患者 「年度末に契約更改があるんですけど、『これはちょっと考えないといけませんね』と言われたんですよ」 中島 「こちらが先に怒鳴ってしまったんですよね」 患者 「でも、私は障害者雇用ですよ。そのくらい理解してくれてもいいじゃないですか」 中島 「それ、ちょっと難しいでしょう」 障害者雇用だからといって、何でも許されるわけではありません。仕事が遅いことに対しては周囲の理解を期待できるかもしれませんが、いきなり怒鳴ったりしたら相手もびっくり仰天です。 患者 「今年が2回目の契約更改だったんですけど、駄目かもしれないと思って先にハロワに行ってきました」 ハロワでは何と別の役所関係の書類選考が通って、面接試験にまで漕ぎつけたとのこと。 患者 「かなりたくさん採用するみたいなんで、受かるかもしれない、と期待しているんです」 中島 「うまく就職できたらですね、とにかく感情的にならないようにしてください」 患者 「そいつが難しいんですよ。これまで何とか自分を抑えてきたんやけどな」 中島 「まさかライオンに向かって怒鳴ったりしないでしょ」 患者 「そんなん怖いですやん」 中島 「お孫さんに向かって怒鳴ったりしないですよね」 患者 「嫌われたら困りますがな」 中島 「それなら少しは理性が残っているんだから、怒らないように頑張りましょうよ」 患者 「わかりました」 この人、毎回、同じパターンで失敗しています。 中島 「主任さんには謝ったんですか?」 患者 「あれ以来、話をしてくれないんです」 中島 「そりゃそうでしょうね。だったら手紙を書いたらどうですか?」 患者 「手紙ですか」 中島 「きっと手紙だったら読んでくれるでしょう。契約更改してもらおうとか、許してもらおうとか、そういう邪念は無しですよ」 患者 「人として謝るってことですね。わかりました、そうします」 ということでこの患者さん。診察に来たときには暗い顔でしたが、最後は明るい表情で帰って行きました。後でChatGPTに聞いてみると、頭部外傷による高次脳機能障害の人は感情を抑えるブレーキが完全に壊れているわけではない、とのことです。確かに感情のブレーキが壊れていたら、ライオンに対しても怒鳴ってしまうでしょうけど、そこまで極端なことはありません。単に感情を抑えるブレーキの発動が遅くて利きが悪いというだけなのだそうです。しかもこのブレーキ、疲れたりするとますます利かなくなるのだとか。まずは何事も余裕を持って取り組むのが大切なのですが、それに加えて感情のブレーキが利くようになるための薬をいくつか提案されました。場合によってはこういった薬を試してみるのも良いかもしれません。うまくいったら、改めて本欄で報告させていただきたいと思います。最後に1句 花粉舞い 鼻水たらせ 怒鳴るより

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第51回 帯状疱疹ワクチンが認知症を防ぐ? 最新の大規模研究が明かす驚きの研究結果

高齢化が進む現在、認知症は誰にとっても無関係ではない重大な健康課題となっています。2050年までに世界の認知症患者数は1億5,000万人を超えると予測されていますが、いまだに根本的な治療法は確立されていません。そのような中、Nature Communications誌に掲載された最新の研究論文が、大きな注目を集めています1)。研究チームは、米国の医療システム「カイザーパーマネンテ・サザンカリフォルニア」の利用者約6万5,800人を対象に、現在主流となっている「組換え帯状疱疹ワクチン(商品名:シングリックス)」の接種状況と、その後の認知症発症率を詳しく追跡調査しました。その結果、2回のワクチン接種を完了した人は、未接種の人と比較して、その後の認知症発症リスクが51%も低いことが明らかになったのです。認知症の予防において、日々の生活習慣の改善に加えて、特定のワクチンがこれほど劇的なリスク低下をもたらすのであれば、画期的と言えるでしょう。なぜ帯状疱疹の予防が「脳」に関係するのか?しかし、そもそもなぜ皮膚の病気が主体となる帯状疱疹のワクチンが、脳の病気である認知症に影響を与えうるのでしょうか。この背景には、帯状疱疹の原因となる「水痘・帯状疱疹ウイルス」の特殊な性質が関係していると考えられています。このウイルスは、私たちが子供の頃に「水ぼうそう」として発症した後、体内の神経細胞の中に一生涯潜伏し続けます。そして、加齢や疲労、ストレスなどをきっかけに再び暴れ出し、神経を伝って帯状疱疹を引き起こします。このウイルスが再活性化するプロセスが、実は脳内での微細な炎症や神経細胞のダメージを誘発し、認知症の発症を早める一因になっているのではないかと推測されています。そして今回の研究データも、この仮説を支持するような興味深い傾向を示しています。たとえば認知症リスクの低下はアルツハイマー型認知症だけでなく脳血管性認知症にも共通して見られ、さらには認知症の前段階となる軽度認知障害(MCI)のリスク低下も示唆されています。つまり、ワクチンが特定の認知症に限らず、脳の機能低下全般に対して何らかの保護的な役割を果たしている可能性があるのです。この研究の「追加の価値」これまでにもワクチン接種と認知症リスクの低下を関連づける報告はありましたが、専門家の間では常に一つの大きな疑問が付きまとっていました。それは「自発的にワクチンを打つような人は健康意識が高く、食事や運動にも気を配っているため、もともと認知症になりにくいだけではないか」というバイアスに対する疑問符です。今回の研究が、大きな「追加の価値」を生み出している理由は、このバイアスを慎重な手法で排除した点にあります。研究チームは、帯状疱疹ワクチンを打った人と全く打っていない人を比較するだけでなく、別のワクチン(百日咳や破傷風などを予防するTdapワクチン)を接種したグループとの比較も行いました。分析の結果、帯状疱疹ワクチンの接種者は、別のワクチンを接種した健康意識の高い人たちと比べても、認知症のリスクがさらに27%低いことが判明しました。これにより、個人の健康意識の高さだけでは説明できない、帯状疱疹ワクチン固有の認知症予防効果の可能性がより強固に裏付けられたのです。現状の限界点と私たちが知っておくべきことこのように非常に希望の持てるデータが示されましたが、正しく解釈するためには、研究の「限界点」も知っておく必要があります。まず、これは過去の医療データを振り返って分析した観察研究であり、ワクチンが直接的に認知症を食い止めるメカニズムや因果関係を完全に証明したものではありません。また、認知症は通常、数十年という長い時間をかけて静かに進行する病気ですが、本研究の追跡期間は平均して約3.4年と比較的短いものです。このため、10年後、20年後といった長期的な予防効果が見られるのかについては、さらなる研究が必要です。加えて、医療機関の受診記録に基づいているため、病院を訪れない潜在的な認知症患者のデータが反映されていない点も考慮すべきでしょう。こうした限界はあるものの、今回の研究結果は私たちに前向きなメッセージを届けてくれました。帯状疱疹は50歳を過ぎると発症率が急増し、治癒後も長期間にわたって激しい痛みが続く病気です。この厄介な病気そのものを高率に防ぐというワクチンの本来の目的に揺るぎはありません。それに加えて「将来の脳の健康も守るかもしれない」という副次的メリットがあるのであれば、ワクチン接種を検討するうえでさらに前向きな材料となるのではないでしょうか。参考文献・参考サイト1)Rayens E, et al. Recombinant zoster vaccine is associated with a reduced risk of dementia. Nat Commun. 2026;17:2056.

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神経血管老化の予防戦略、農業や園芸が有効な可能性は

 農業または園芸活動は、健康維持や生活習慣病の予防に効果的である可能性のあるシンプルな戦略である。しかし、脳卒中や認知症などの神経血管老化に関連する疾患の発症に対する予防効果は、依然としてよくわかっていなかった。久留米大学の菊池 清志氏らは、定期的な農業または園芸における身体活動(AGPA)の神経血管老化に対する予防効果とその根底にあるメカニズムについて、2つのアプローチを用いて包括的に調査した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2025年12月2日号の報告。 男子学生12人(平均年齢:22±1歳)を対象に、管理された条件下で実施した40分間の介入(安静、サイクリング、模擬AGPA)の前後における動脈硬化度、認知機能(フランカーテストおよびストループテスト)、循環血中バイオマーカー(例:プラスミン・α2プラスミンインヒビター複合体、一酸化窒素、脳由来神経栄養因子)を評価する実験研究を行った。また、横断研究を実施し、入院中の高齢者161例(平均年齢:78±5歳、AGPA群:79例、対照群:82例)を登録し、脳卒中の既往、認知機能、MRI所見を評価した。 主な結果は以下のとおり。・実験研究において、模擬AGPAは動脈硬化を減少させ、実行機能を改善し、循環血中のプラスミン・α2プラスミンインヒビター複合体、一酸化窒素、脳由来神経栄養因子を増加させることが明らかとなった。・脳組織への血流減少および脳卒中の有病率に起因する脳MRIによる大脳白質高信号域は、AGPA群で対照群よりも低く、改訂長谷川式認知症スケールによる認知スコアも高値であった。 著者らは「高齢者における定期的なAGPAは、神経血管老化の遅延マーカーと関連していることが示唆された。AGPAは、一般的な身体活動に関連する効果とAGPAに特異的な効果の両方をもたらす可能性がある。さらに、身体活動単独と同等、あるいはそれ以上の効果が期待できる。したがって、習慣的なAGPAは、神経血管老化の効果的な予防戦略となる可能性がある」と結論付けている。

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アルツハイマー病「p-tau217血液検査」が高精度に病理検出、日本人で確認

 アルツハイマー病(AD)の確定診断には、これまで高額なPET検査や身体的負担の大きい脳脊髄液検査が必要であり、より簡便な血液バイオマーカーの活用が期待されている。新潟大学の春日 健作氏らの研究グループは、日本人を対象とした多施設共同研究「J-ADNI」の臨床検体の解析により、血漿中のリン酸化タウ217(p-tau217)が、アミロイド病理の検出および将来のAD発症予測において、きわめて高い精度を持つことを明らかにした。The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease誌オンライン版2026年2月6日号に掲載。 本研究では、認知機能正常者、軽度認知障害(MCI)、軽度ADからなるJ-ADNI参加者172人の血漿および髄液検体を用いた。血漿中のp-tau217をルミパルス法とSimoa HD-Xで測定し、アミロイド病理の有無を定義する基準として髄液中のAβ42/Aβ40比を用いて、血漿バイオマーカーの診断精度を曲線下面積(AUC)で評価した。また、最長36ヵ月の追跡調査を行い、MCIから認知症への転換予測能を検討した。 主な結果は以下のとおり。・血漿p-tau217およびp-tau217/Aβ42比は、いずれもAβ42/Aβ40比やGFAPよりも有意に高いAUCを示した(DeLong検定、p<0.05)。・アミロイド病理予測の診断精度(AUC)は、Simoa p-tau217では0.978(95%信頼区間[CI]:0.959~0.998)、ルミパルスp-tau217では0.981(95%CI:0.961~1.000)、ルミパルスp-tau217/Aβ42では0.983(95%CI:0.965~1.000)であり、いずれもきわめて高い精度を示した。・Youden指数に基づく単一のカットオフ値により、p-tau217とp-tau217/Aβ42は90%以上の感度と特異度を同時に達成した。また、米国食品医薬品局(FDA)が承認したp-tau217/Aβ42の2つのカットオフ値を用いるモデルも、日本人集団に適用可能であることが確認された。・血漿p-tau217が高値の群は、低値の群と比較して、3年間での認知症への進行リスクが有意に高く(p<0.001)、ルミパルスp-tau217測定では約5倍(調整ハザード比[HR]:4.717)の転換リスクを示した。・血漿p-tau217レベルは、BMI、腎機能(eGFR)、HDL-Cの影響を受けることが判明した。 著者らは、血漿p-tau217が日本の臨床においても、ADの正確な診断や予後予測、さらには抗アミロイドβ抗体療法の適応判断を支援する優れたバイオマーカーになりうると結論付けている。一方で、BMIや腎機能、HDL-Cなどの要因が測定値に影響を与える可能性があるため、実臨床での解釈にはこれらの背景因子を考慮する必要があると指摘している。

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