片頭痛が短期記憶とワーキングメモリに及ぼす影響は

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2026/04/17

 

 片頭痛は、世界人口の最大15%が罹患する一般的な神経疾患である。片頭痛は、頭痛、悪心、嘔吐、光や音への過敏症などの身体症状を伴う疾患である。また、視覚性前兆の有無など、特定の症状に基づいて分類されるさまざまな亜型が存在する。さらに、報告頻度の高い認知症状として「ブレインフォグ」がある。これは、主に注意力や記憶力に関連する日常生活における認知機能の低下を表す状態である。片頭痛における記憶機能に関する実証研究の結果は、一貫性が認められていない。一部の研究では、明らかな認知機能低下が報告されている。その一方で、他の研究では軽微あるいはまったく障害がないことが報告されている。さらに、これまでの研究では、特定の記憶領域の検討が限定的であり、片頭痛の特徴に対する影響が一貫して考慮されていなかった。オーストラリア・La Trobe UniversityのKenya McKay氏らは、片頭痛患者の短期記憶およびワーキングメモリのパフォーマンスを、健康対照者と比較して調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Neurology誌2026年3月17日号の報告。

 Embase、CINAHL、MEDLINE、PsycINFO、Web of Science Core Collectionよりシステマティックに検索した。片頭痛患者の短期記憶およびワーキングメモリのパフォーマンスを評価した研究を目的に関連する包含基準を用いて、2段階(タイトルや抄録および全文)でスクリーニングを行った。抽出された3,880件の研究のうち、16件が包含基準を満たした。主要アウトカムは、短期記憶およびワーキングメモリとし、片頭痛患者と健康対照者との比較を行った。副次的アウトカムとして、前兆のある片頭痛患者と前兆のない片頭痛患者における記憶パフォーマンスの調査および片頭痛が視覚記憶および言語記憶のパフォーマンスに及ぼす影響を評価した。JASPを用いてランダム効果モデルによる解析を行い、エフェクトサイズとしてHedges’gを用いた評価を行った。異質性は、Q統計量およびI2統計量を用いて評価した。出版バイアスの評価には、Eggerの回帰検定とファンネルプロットを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・短期記憶において、片頭痛患者と健康対照者との間に有意差は認められなかった。
・具体的には、前兆のある片頭痛患者と健康対照者、前兆のない片頭痛患者と健康対照者、あるいは前兆のある片頭痛患者と前兆のない片頭痛患者の間で、短期記憶に有意差は認められなかった。
・同様に、短期視覚記憶および短期言語記憶能力においても有意差は認められなかった。
・一方、ワーキングメモリにおいては有意差が認められ、片頭痛患者は健康対照者と比較し、作業記憶の低下が認められた。

 著者らは「成人片頭痛患者では、短期記憶は維持されているものの、ワーキングメモリは選択的に障害されていることが、本システマティックレビューおよびメタ解析の結果、明らかとなった。このパターンは、片頭痛が全般的な記憶障害と関連しているのではなく、むしろ能動的な操作や認知制御を必要とする高次記憶プロセスにおける脆弱性と関連していることを示唆している。これらの結果は、客観的な認知機能所見と一般的に報告されるブレインフォグの症状を整合させるのに役立っている。また、片頭痛に関連する認知機能の訴えは、発作間欠期における根本的な記憶維持障害ではなく、認知効率の低下を反映している可能性を示唆していると考えられる」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)