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北米で抗菌薬シプロフロキサシンの耐性菌が広がっている?

グラム陽性菌はもとよりグラム陰性菌に対しても強い抗菌力を発揮し頻繁に用いられるフルオロキノロン系抗菌薬シプロフロキサシンの耐性菌が、北米で初めて出現したことが報告された。NEJM誌2009年2月26日号でEpidemic Intelligence Service Programに参画するHenry M. Wu氏らの疫学調査の短報が掲載されている。より広範な調査が求められる耐性菌が確認された症例はノースダコタから1例、ミネソタから2例の計3例で、いずれも同じB群株に由来する耐性菌だった。報告されたのは2007年1月~2008年1月の間で、同期間中に報告された髄膜炎死亡症例(33例)の9%を占める。ノースダコタの症例は2006年8月、同州東部にある保育所職員が髄膜炎菌性疾患と見込まれる症状で死亡したもの。髄液培養検査結果は無菌だったが、耐性髄膜炎菌はPCR陽性だった。シプロフロキサシンが同患者および同僚に投与され、子どもたちにはリファンピシンが投与された。二次症例は起きなかったが、患者1例が2007年1月に確認され、入院後セフトリアキソン治療で回復している。2008年1月にさらに2例が確認された。ミネソタの症例は、同州西部の成人死亡例と、セフトリアキソン治療で回復した同じく西部居住の大学生の例。3例には疫学的な関連はなく、またいずれも海外旅行の経験はなかった。一方、耐性菌の保因を調べるため、咽頭保因サーベイを行い、1例の無症候性保菌者からの耐性菌株を分離。耐性菌が遺伝子の突然変異によって起きたことが確認された。また同様の耐性菌は、2007年1月~2008年1月の間に報告された症例のうちカリフォルニアの症例で同定されている。Wu氏は、「耐性髄膜炎菌の感受性試験は、米国ではルーチンに行われていないが、今回のこの報告がより広範にわたるものなのかどうかわからず、まずはより広範な調査を行う必要がある」と提言している。(武藤まき:医療ライター)

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ACC/AHA臨床ガイドライン、エビデンスの裏付けは貧弱

米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)の臨床ガイドラインは、その裏付けとなるエビデンスに乏しい、との調査結果が、米国Duke大学のPierluigi Tricoci氏らによって報告された。複数の無作為化試験など信頼できるエビデンスで裏付けのある勧告は、全体のおよそ1割程度という。JAMA誌2009年2月25日号より。勧告の半数近くが専門家の意見や症例研究などが裏付けTricoci氏らは、ACCとAHA の臨床ガイドラインで、1984~2008年に公表された22の主題に関する53ガイドライン(勧告数は7,196)について、調査した。そのうち、勧告の裏付けとなるエビデンスの程度を明記した、16ガイドラインについて、エビデンスの程度と勧告の種類などを調べた。その結果、複数の無作為化試験またはメタ解析の裏付けがある「エビデンスレベルA」の勧告は、全体の勧告2,711中314(ガイドラインの分野により割合は異なるが、中央値は11%)に留まった。一方、専門医の意見や症例研究、標準的に行われている治療などといった「エビデンスレベルC」の裏付けに基づく勧告数は、1,246(同中央値48%)にも上った。また、ACCとAHA の臨床ガイドラインでは、それぞれの勧告の対象となる処置や治療の有効性などについて、クラスI~IIIに分類している。例えば治療法や処置が効果的であるとして、エビデンスや意見の一致が見られている勧告は、「クラスI」に分類される。エビデンスレベルAの割合が最も多かったのは、「クラスI」にあてはまる勧告だった。それでもクラスIの勧告全体の1,305中245(同中央値19%)に留まっている。ガイドライン改定で勧告数は増加、有効性について意見の分かれる勧告が最も増加また、2008年9月までに改定のあったガイドラインについて見たところ、全体の勧告数は初版の1,330から1,973へと、48%も増加していた。特に、治療法や処置の有効性について意見が分かれている「クラスII」の勧告が、最も増加率が大きかった。同研究グループは、臨床ガイドラインの作成過程について改善が必要だ、としている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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妊娠前・妊娠中の糖尿病は周産期や産後のうつ病リスクを増大

妊娠前や妊娠中に糖尿病だった人は、周産期や産後にうつ病を発症するリスクが、そうでない人に比べて2倍近くに増大するようだ。これは、米国Harvard Medical SchoolのKaty Backes Kozhimannil氏らが、米国の低所得層の母親を対象にした調査で明らかにしたもので、JAMA誌2009年2月25日号で発表した。妊娠前・妊娠中に糖尿病だった人のうつ病を発症するオッズ比は1.85Kozhimannil氏らは、ニュージャージー州の低所得者向け公的医療保険メディケイド加入者で、2004~2006年に出産した1万1,024人について、後ろ向き調査を行った。妊娠前や妊娠中に糖尿病ではなかった人で、周産期や産後にうつ病を発症したのは、8.5%(886人)だった。一方、妊娠前や妊娠中に糖尿病だった人のうち、周産期や産後にうつ病を発症していたのは、15.2%(100人)と、大幅に高かった。年齢や人種、出産時の在胎齢などを補正後、妊娠前や妊娠中に糖尿病だった人が周産期や産後にうつ病を発症するオッズ比は、そうでない人に比べ、1.85倍(95%信頼区間:1.45~2.36)だった。周産期うつ病がなくても、糖尿病で産後うつ病リスクが約1.7倍にまた、周産期にうつ病のなかった人について、産後にうつ病の診断を受けたり、抗うつ薬を服用した人の割合は、妊娠前や妊娠中に糖尿病があったグループでは9.6%(62人)と、同時期に糖尿病のなかったグループ(5.9%、604人)に比べ、有意に高かった(オッズ比:1.69、95%信頼区間:1.27~2.23)。同研究グループは、妊娠前や妊娠中の糖尿病は、試験対象の低所得者層の母親にとって、周産期や産後うつ病の独立したリスク因子のようだ、としている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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初の皮内インフルエンザワクチンIntanza/IDfluがEUで承認

仏サノフィ・アベンティス社のワクチン部門であるサノフィパスツール社は、欧州委員会から初の皮内(ID)マイクロインジェクションによるインフルエンザワクチンを承認されたと発表した。今回の承認は、7,000人以上の成人(18歳以上)および高齢者(60歳以上)を対象にした臨床試験をもとに、2008年12月に欧州医薬品庁(EMEA:European Medicines Agency)から肯定的な見解が示されたことによるもの。これらの臨床試験では、安全性と免疫応答性が評価され、EMEAが定めた基準をすべて満たしたという。この新ワクチンは、IntanzaまたはIDfluという名前で販売される予定で、今後、EU諸国で季節性インフルエンザ予防ワクチンとして成人および高齢者に接種される。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/EFEF9769-DCD9-4AE6-A718-A1EC1CD220FA.pdf

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中高年のうつ

55歳以上の中高年でのうつ病の重大性が認識されているにもかかわらず、また予後に関する試験結果も示されているが、プライマリ・ケアにおける予後を想定した診断モデルがないことを受け、オランダVU University Medical Centreの一般診療・ヘルスケアリサーチ部門のE Licht-Strunk氏らは、3年間追跡調査を行い、そのモデル化(うつ病相期間、回復の可能性、予後予測因子)に取り組んだ。BMJ誌2009年2月21日号(オンライン版2009年2月2日号)より。55歳以上のうつ患者234人を3年間追跡追跡調査の対象は、オランダ、西フリースランドの32ヵ所の診療所に通院する、一般的な抑うつ障害を有する55歳以上の患者234人。ベースライン時および6ヵ月ごとに、精神疾患診断統計マニュアル(DSM)第4版に即した診断インタビューと、モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)を用いた重症度評価を行った。主要評価項目は、回復までの時間と回復の可能性とした。転帰不良はベースライン時の重症度、うつ病の家族歴、身体機能の低下と関連その結果、主要なうつ病相期間の継続時間の中央値は、18.0ヵ月(95%信頼区間:12.8~23.1)で、1年以内に回復した患者は35%、2年以内は60%、3年以内は68%だった。転帰不良はベースライン時の重症度、うつ病の家族歴、身体機能の低下と関連していた。また追跡期間中、身体機能の低下は慢性うつ病患者では持続していたが、回復した患者では改善していた。これらを受けLicht-Strunk氏は、「55歳以上のうつは予後不良である。重症度、家族歴、身体機能低下の情報を直ちに入手することが、治療の手助けとなる」と結論している。

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挿管の痛み緩和に冷却スプレー噴霧が効果的

救急治療部門での末梢静脈内への挿管処置の際、冷却スプレー(topical alkane vapocoolant spray)で効果的かつ安全に痛みを緩和できるとの報告が、BMJ誌2009年2月21日号(オンライン版2009年2月10日号)に寄せられた。メルボルン大学(オーストラリア)Ramzi Hijazi氏らのグループが行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験による。水スプレーと冷却スプレーとの比較で調査試験は、オーストラリア都市部の教育病院の救急治療部門で、末梢静脈内への挿管処置を要した201例の成人患者(男性54%、平均年齢58.2歳)を対象に、挿管前に15秒以内で、冷却スプレー(介入群、103例)もしくは水スプレー(対照群、98例)を噴霧するというもの。冷却スプレー(プロパン、ブタン、ペンタン混合)は皮膚から12cm離し2秒間噴霧した。主要評価項目は、挿管時の痛み、スプレー噴霧の不快度、視覚的評価(100 mm visual analogue scaleによる)とした。両群間に、姓、年齢、挿管適応・部位の指示の相違、カニューレのサイズの相違、施術者の相違は特になかった(P>0.05)。痛み緩和、選択率ともに冷却スプレーが優る痛みの四分位範囲中央値スコア(mm)は、対照群36(四分位範囲中央値:19~51)に対し、介入群は12(5~40)であり(P

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コンタックとウェザーニュース社のコラボによる花粉観測機「ポールンコンタック」をスタート

グラクソ・スミスクライン株式会社は、ウェザーニュース社の協力を得て、「コンタック」のキャラクターであるMr.コンタック型のオリジナル 「ポールンコンタック」による花粉観測を3月3日から開始したと発表した。「ポールンコンタック」は、カプセル部分に詰め込まれた球の色が、白→青→黄→赤→紫と変化することで、花粉の飛散量の多寡がわかる仕組みになっている。Mr. コンタック観測情報URL:http://weathernews.jp/pollen/cgi/pollen_disp.cgi?id=SHBY2プレスリリースはこちらhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_01/P1000537.html

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医薬品第一部会が統合失調症治療薬「クロザリル」を了承、患者モニタリング制度が条件

薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は2月27日、治療抵抗性統合失調症の治療薬「クロザリル錠」(一般名=クロザピン)の承認を了承した。クロザリルは1969年にオーストリアで初めて承認されたが、75年にフィンランドで16人が無顆粒球症となり、8人が死亡したことから一時販売を停止した。その後、既存の治療薬が効かない患者に対する治療薬として見直され、無顆粒球症などの早期発見を目的とした患者モニタリングを確立させることなどを条件に世界97ヶ国で承認されている。 今回も厳しいモニタリングシステムを導入することが必要で、1)無顆粒球症など重篤な有害事象に対して連携が取れる医療機関・薬局において使用し、定期的な血液検査を実施して評価する体制を構築する、2)文書による同意取得、3)全例調査を行う、ことが条件となっている。

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乾癬性関節炎に対するustekinumabの有効性と安全性を確認

乾癬性関節炎に対する抗インターロイキン(IL)-12/23ヒトモノクローナル抗体ustekinumabの有効性と安全性が、無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験の第Ⅱ相試験の結果、確認された。この米国Tufts Medical CenterのAlice Gottlieb氏らによる試験結果は、Lancet誌2009年2月21日号(オンライン版2009年2月12日号)で掲載されている。乾癬性関節炎は乾癬患者の約11%が有し、抗リウマチ薬(DMARDs)や生物学的製剤(抗TNF薬)が有効とされるが、治療に反応しない患者も存在し治療選択肢の拡充が求められていた。プラセボとの比較でACR20達成の臨床効果を検討試験は、北米および欧州の計24施設から活動性関節炎患者の参加を募り行われた。2005年12月21日から開始され146例が登録。それら患者を2群(グループ1:ustekinumab投与群、グループ2:プラセボ群)に割り付け実行された。グループ1の患者(76例)は、4週にわたり毎週(0週~第3週)ustekinumabを投与(90 mgもしくは63 mg)したのち、12週時点、16週時点ではプラセボを投与。グループ2の患者(70例)は、4週にわたり毎週プラセボを投与したのち、12週時点、16週時点でustekinumabが投与(63 mg)されるという試験デザインで、12週時点ではプラセボ対照試験が確立、マスキングは16週まで維持された。患者は36週時点まで追跡され、intention to treat解析にて評価。主要評価項目は、12週時点でのACR20(米国リウマチ学会が臨床効果として掲げる「ベースラインからの20%改善」目標)の達成状況とされた。投与群とプラセボ群との20%改善達成の差は28%、75%以上改善の差は47%12週時点で主要評価項目を達成したのは、グループ1では32例(42%)、グループ2では10例(14%)で、その差は28%(95%信頼区間:14.0~41.6、p=0.0002)だった。乾癬が体表面積3%以上に及ぶ患者(両群計124例、全体の85%)のうち、12週時点でグループ1では52%(33/63例)が、病変が占める体表面積および重症度指数について75%以上の改善を示した。グループ2では同5%(3/55例)で、両群の差は47%(33.2~60.6、p

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慢性特発性血小板減少性紫斑病に対する新しい経口治療薬eltrombopag:第Ⅲ相試験

米国FDAにおいて昨年末に承認された、慢性特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic Thrombocytopenic Purpura:ITP)に対する新しい経口治療薬eltrombopag(商品名:Promacta)の第Ⅲ相試験の結果が、Lancet誌2009年2月21日号で公表された。eltrombopagは、血小板新生を促す非ペプチド性トロンボポエチン受容体刺激薬で、第Ⅲ相試験では、安全性、有効性、1日1回50mg投与の忍容性、および服用量を75mgまで増加した場合の有効性について検討された。無作為化二重盲検プラセボ対照試験にて検討23ヵ国63施設からITP患者が参加し、無作為化二重盲検プラセボ対照試験にて行われた第Ⅲ相試験は、血小板数30,000/μL未満で、1つ以上の標準治療を受けたことがある患者を最大6週間、標準治療+eltrombopagを1日1回50mg服用群(n=76)と、+プラセボ服用群(n=38)に、検証済無作為化システムを用いて2対1の割合になるよう割り付け実行された。投与量の増加(75mg)は血小板数50,000/μL未満の患者に対して、試験開始3週時点で行われた。主要評価項目は、43日時点までに血小板数50,000/μL以上に改善した患者の割合とされた。eltrombopag治療群の血小板数50,000/μL以上達成割合はプラセボ群の9.61倍43日間の解析が析可能だったのは、eltrombopag群は73例、プラセボ群は37例で、このうちeltrombopag群では43例(59%)が、血小板数50,000/μL以上となった。プラセボ群では6例(16%)で、オッズ比は9.61(95%信頼区間:3.31~27.86、p

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がん罹患数2015年までに10万人増加 医療機関タイプにより、がん薬物療法にバラつき--ケアネット「OncoJ」(オンコ・ジェイ)

 株式会社ケアネットは、のべ3,256 人のがん治療医の協力を得て、「日本のがん治療・がん薬物療法の実態に関する調査」と題したインターネット調査を実施しました(調査期間:2008 年10 月~12 月)。この度、集計結果をまとめましたので、その概要をお知らせいたします。本調査結果は、「OncoJ」(オンコ・ジェイ)という商品名で、2009 年3 月より主に製薬企業に向けて販売を開始します。■ 調査結果概要(一部抜粋) 1. 「がん罹患数推計」 がん罹患数は年々増加、推計では2009年の68万人から2015 年には78万人へ(20 がん種)。がん種別にみると、2015年の1位は「大腸がん」、2位は「肺がん」、3位は「胃がん」となった。 2. 「がん薬物療法の実態」 6がん種(大腸がん、肺がん、胃がん、乳がん、前立腺がん、腎細胞がん)の治療実態に関し、のべ3,256 人の医師から得た回答を集計。6がん種の治療実態に共通した特徴は以下の通りです。 学会推奨の標準化学療法において、推奨薬剤以外の抗がん剤の使用は少なかったが、推奨薬剤であっても投与量は規定量未満のケースが大半であった。 症例数の多い施設は、症例数の少ない施設に比べて、標準化学療法の採用率が高かった。 全国がんセンター協議会加盟病院(全がん協病院)の内科系医師は、他施設に比べ、新薬の採用に積極的な傾向がみられた。 医師が化学療法の中断・変更の理由として「効果不足」以外で挙げたものとしては、「副作用の対応が困難」、「患者の経済的負担が大きい」、「外来化学療法に不適」という回答が多かった。 体制面で不足しているものとしては、「がん薬物療法専門医(オンコロジスト)の不足」、「緩和ケア体制の不足」、「他施設との連携不足」などが主なものとして挙げられた。 勤務する施設で、化学療法のクリティカルパスが設定されていると回答した医師は、「大腸がん」が最大で51.6%、最低は「腎細胞がん」で15.6%であった。施設別にみると、「全がん協病院」の設定率が最も高かった。詳細はプレスリリースへhttp://eir.eol.co.jp/EIR/View.aspx?template=announcement&sid=3062&code=2150

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悪性神経膠腫に関するゲノムワイド変異解析

原発性脳腫瘍で最も多い神経膠腫(グリオーマ)について、ゲノムワイド変異解析によって、特定の遺伝子変異が腫瘍の進行に関わっていることが明らかにされた。米国デューク大学メディカルセンターのHai Yan氏らによる報告は、NEJM誌2009年2月19日号で掲載されている。膠芽腫の一部遺伝子(IDH1、IDH2)変異について調査Yan氏らは先に、世界保健機関(WHO)準拠のグレードⅣの神経膠腫(膠芽腫)に関するゲノムワイド変異解析の結果、膠芽腫の一部でイソクエン酸デヒドロゲナーゼ1型遺伝子(IDH1)の変異が見られること、それら変異は、2次性膠芽腫(悪性度が低いものから進行した神経膠腫)で最も高頻度に認められることを報告している。本試験は、さまざまなタイプの多数の神経膠腫を分析することによって、IDH1変異の関わりについて明らかにすることを目的に行われた。試験方法は、IDH1および関連遺伝子であるIDH2の配列を、中枢神経系(CNS)腫瘍445個とCNS以外の腫瘍494個にて決定。それら遺伝子を導入し培養した神経膠腫細胞を用いて、正常なIDH1とIDH2、および変異IDH1とIDH2の産生蛋白の酵素活性を調べた。遺伝的特性と臨床的特性があることを確認その結果、WHO準拠のグレードⅡとⅢに類する星細胞腫と乏突起細胞膠腫、およびより悪性度が低い病変から進行した膠芽腫の70%超で、IDH1のアミノ酸132番に影響を及ぼした突然変異が確認された。一方、IDH1の変異が見られない腫瘍ではしばしば、IDH2のアミノ酸類似体(R172)に影響を及ぼした突然変異が確認された。またIDH1、IDH2のどちらかが変異した腫瘍には、遺伝的特性と臨床的特性があること、それらの腫瘍を有する患者は、野生型IDHを有する患者よりも、転帰が優れることも確認されている。さらに、試験が行われた4種類のIDH1、IDH2変異いずれにおいても、コードしている蛋白の酵素活性は低下しており、検討した数種類の悪性神経膠腫で変異が生じていることが確認された。(武藤まき:医療ライター)

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冠動脈開存仮説の治療戦略は薬物療法単独群に軍配:OAT試験

心筋梗塞患者の臨床転帰を改善するとされる冠動脈開存仮説の治療戦略に関するQOLおよび費用対効果について、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)+ステント留置での実施と、薬物療法単独実施との比較を行ったOAT(Occluded Artery Trial)の試験結果が、NEJM誌2009年2月19日号に掲載された。報告者の米国デューク大学メディカルセンターのDaniel B Mark氏らによると、薬物療法に軍配が上がったという。質調整生存期間は薬物療法群のほうが長い試験は、心筋梗塞発症後3~28日で、梗塞責任血管が完全閉塞(TIMI grade 0~1)した安定症例で高リスク(EF<50%、近位閉塞)の患者2,166例を、PCI+ステント留置群と、薬物療法群に無作為に割り付けられ比較が行われた。対象のうち試験適格患者は44%(951例)。これら患者について、(1)Duke Activity Status Index(DASI、心臓に関連した身体機能を0~58段階で評価、スコアが高いほど良好)、(2)36項目からなる健康調査票のメンタルヘルスを評価する5項目、の2つを主要評価項目としてQOL評価が、基線時、4ヵ月時点、12ヵ月時点、24ヵ月時点で実施された。費用対効果については、対象者のうち米国から参加登録された患者458例の治療費を元に、2年分について推定評価が行われた。その結果、4ヵ月時点では、PCI+ステント留置群が薬物療法群に比べてDASIスコアが3.4ポイント高く、わずかな有益性が示されていた(P=0.007)が、それ以後1年時点、2年時点では、両群のポイント差は縮小し、PCI+ステント留置群の有益性は認められなかった。メンタルヘルスでの有意差は、試験期間を通して両群間に認められなかった。費用対効果については、2年間の累積治療費はPCI+ステント留置群のほうが約7,000ドル高く(P<0.001)、質的に調整した生存期間は薬物療法群のほうがわずかではあるが長かった。(武藤まき:医療ライター)

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中医協の公益委員再任の過程が不透明と全国医師連盟が見解

2月23日の参議院本会議で中央社会保険医療協議会(中医協)の委員3人のうち、野党各党の反対により、刑法学者の前田雅英氏が不同意とされたが、この選考過程に関して、全国医師連盟は納得できない部分があるとの見解を出した。全国医師連盟の見解は以下のとおり第一に、前田氏は刑法の専門家であり、戦後日本の犯罪統計解析をもとに、少年犯罪について積極的に提言を行ってきた学識経験者である。その専門領域を考慮すると、前田氏が診療報酬を決定し、医療保険制度のあり方を定める中医協の公益委員にふさわしい人材だと考えることができない。第二に、前田氏は、医療界がその帰結に注目している「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」において座長を務めていたが、同検討会の運営においては、民主党案、全医連試案といった対案を無視したり、パブリックコメントの内容を議論に反映できていなかったりするなど、公平さを欠いていると思われ、医療関連論議での調整能力には疑問を呈さざるを得ない。政府が、中医協の公益委員として、学識経験者の中から、何故、刑法学者を選択したのかその理由が不明であり、その選任の基準を明らかにし、選任過程を公にすることを求めるとしている。詳細は全国医師連盟ニュースリリースへhttp://www.doctor2007.com/koueki1.html

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米国ICU、中心静脈カテーテル関連MRSA血流感染率が大幅減少

米国の主な集中治療室(ICU)では、過去7年間で、中心静脈カテーテル関連のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の血流感染率が大幅な減少傾向にあることがわかった。ICUの種類により減少率は異なるものの、50%を超える減少幅だという。米国疾病対策センター(CDC)のDeron C. Burton氏らが、全米の医療機関がCDCに報告したデータを分析して明らかにしたもので、JAMA誌2009年2月18日号で発表した。7年間でMRSA血流感染率が約52~69%減少1997~2007年にかけてCDCには、1,684のICUから、3万3,587件の中心静脈カテーテル挿入による血流感染が報告された。ICUの種類は、成人用ICUが6種と、新生児ICUを除く小児ICUだった。調査期間は、1,622万5,498患者・日だった。そのうち、MRSA感染は7.4%、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)感染は4.7%だった。2001~2007年にかけて、小児ICU以外で、中心静脈カテーテル挿入によるMRSA血流感染率は、大幅に減少した。減少率は、外科系ICUで最も大きく、感染率は0.58/1,000中心静脈カテーテル・日から0.18/同へと、-69.2%(95%信頼区間:-57.9~-77.7%、p

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関節リウマチ患者、アダリムマブ、インフリキシマブ服用は帯状疱疹リスクが増大

関節リウマチ患者で、ヒト型抗TNF-αモノクロナール抗体のアダリムマブ(商品名:ヒュミラ)やインフリキシマブ(同:レミケード)を服用する人は、そうでない人に比べ、帯状疱疹の発症リスクが増大するようだ。一方、抗TNF-αクラスの薬全体、また完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプターのエタネルセプト(同:エンブレル)のみでは、同リスクの増大は認められなかった。ドイツGerman Rheumatism Research CenterのAnja Strangfeld氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年2月18日号で発表されている。抗TNF-αクラスまたは抗リウマチ薬(DMARDs)服用の5,000人超を調査同氏らは、2001~2006年にかけて、抗TNF-αクラスの薬または抗リウマチ薬(DMARDs)を服用する5,040人の関節リウマチ患者について、調査した。追跡期間中、帯状疱疹を発症したのは、合わせて82人(86イベント)だった。そのうちアダリムマブかインフリキシマブを服用していたのは39イベント、エタネルセプトが23イベント、DMARDsが24イベントだった。補正前の帯状疱疹発症率は、アダリムマブ/インフリキシマブ群が11.1件/千患者・年、エタネルセプト群が8.9件/千患者・年、DMARDs群が5.6件/千患者・年だった。アダリムマブ/インフリキシマブ群の補正後ハザード比は1.82補正後の帯状疱疹発症に関するハザード比は、アダリムマブ/インフリキシマブ群が1.82(95%信頼区間:1.05~3.15)と有意に高かった。一方、抗TNF-αクラス全体としては、同ハザード比は1.63(同:0.97~2.74)、エタネルセプト群では同ハザード比は1.36(同:0.73~2.55)と、有意差は見られなかった。ただし、アダリムマブ/インフリキシマブ群のハザード比1.82は、同氏らが事前に定めた臨床最低基準には達していなかった。そのため同氏らは、ヒト型抗TNF-αモノクロナール抗体と帯状疱疹のリスク増大の関連については、さらなる研究が必要だとしている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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速効型インスリン分泌促進薬グルファストに、チアゾリジン系薬剤との併用療法の効能追加

キッセイ薬品工業株式会社と武田薬品工業株式会社 は24日、2社で共同販売している「グルファスト錠5mg/10mg」 (一般名:ミチグリニドカルシウム水和物)について、23日付で、チアゾリジン系薬剤との併用療法の効能追加が承認されたと発表した。 グルファストは、キッセイ薬品が創製・開発し、2004年5月から武田薬品と共同販売している速効型インスリン分泌促進薬。 同剤は、服用後速やかに効果を発現することから、インスリン分泌を自然なパターンに近づけて食後高血糖を改善するとともに、作用持続時間が短いため空腹時の低血糖を起こしにくくする特長がある。一方、チアゾリジン系薬剤は、骨格筋および肝臓における インスリン感受性を改善して高血糖を治療する薬剤で、武田薬品より「アクトス錠」(一般名:ピオグリタゾン塩酸塩)の製品名で販売されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.kissei.co.jp/news/press2009/seg090224.html

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欧州委員会がプラスグレルを承認

第一三共株式会社と米国・イーライリリー・アンド・カンパニーは23日、経皮的冠動脈形成術(PCI)治療を受けている急性冠症候群(ACS)患者のアテローム血栓性イベントの治療薬である「EFIENT」(プラスグレル)の販売承認を欧州委員会(EC)より取得したと発表した。プラスグレルは、第一三共と宇部興産株式会社が発見し、第一三共とイーライリリーが共同開発している経口抗血小板剤であり、まずはPCI治療を受けているACS患者への新しい治療法として開発されている。なお、今回の承認は、欧州医薬品庁の医薬品委員会(CHMP:Committee for Medicinal Products for Human Use)が2008年12月18日に採択した承認勧告に基づくもの。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.daiichisankyo.co.jp/4less/cgi-bin/cs4view_obj.php/b_newsrelease_n1/849/090223v1-j.pdf

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末期肺がん患者にも分子標的治療薬イレッサが有効

東北大の発表によると、25日、同大大学院 医学系研究科 呼吸器病態学分野の貫和敏博教授を中心とした研究グループは、日本人や東洋人に多く肺がん全体の約20%と想定される、EGFR遺伝子変異という特徴を有した非小細胞肺がん患者に対して、分子標的薬ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)が高い確率で有効であり、全身状態の改善および生存期間の延長に寄与することを明らかにした。これまで、肺がん末期で体力が低下した患者には、これまで積極的治療は困難とされ緩和ケアのみが推奨されていた。また、本成果は米国臨床腫瘍学会の機関誌であるJournal of Clinical Oncology電子版に2月17日付で掲載された。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.tohoku.ac.jp/japanese/press_release/pdf2009/20090225.pdf

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電子カルテデータベースを観察研究に用いる可能性

ペンシルベニア医科大学のRichard L Tannen氏らは、治療の有効性を検討する観察研究を、電子カルテデータベースを用い、同氏らが開発した新しい解析法PERR(prior event rate ratio)にて行うことの妥当性を検証した結果、「有効である」との報告を寄せた。BMJ誌2009年2月14日号(オンライン版2009年1月27日号)より。無作為化試験結果と比較電子カルテのデータベースを基にPERR解析にて行う観察研究の妥当性の検証は、すでに公表されている無作為化試験(6試験)結果との比較で行われた。電子カルテのデータベースは、イギリスのプライマリ・ケア・リサーチ・データベース(GPRD)。主要評価項目は、標準解析方法とPERR補正評価による心血管イベント予後のハザード比。PERR解析法で妥当な結果が得られる17の予後比較のうち9つにおいて、データベース試験と無作為化試験の結果との間に有意な差はなかった。8つの比較においては、データベース試験のCox補正ハザード比は無作為化試験の結果とに有意な差があり、過度の交絡性も示唆された。これら8つのうち7つにおいて、PERR補正ハザード比は、Cox補正ハザード比と有意な差が認められたが、5つにおいては有意な差は認められず、3つにおいては無作為化試験のハザード比とほぼ同一だった。また、PERR解析の結果はCox解析より無作為化試験結果との類似性が認められた(P

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