診療所の後継者探し、自分だけで「質」と「量」確保できますか?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第10回

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公開日:2021/01/25

医業承継

診療所を売買する「医業承継」。売る側は後継者と譲渡金が手に入り、買う側は集患の手間なく初期費用も減って…、といいことづくしのようですが、実はあちこちに落とし穴が!最低限の知識をマンガで解説。

登場人物紹介

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

第10回 診療所の後継者探し、自分だけで「質」と「量」確保できますか?

漫画・イラスト:かたぎりもとこ

後継者をご自身で探したもののなかなか見つからず、私たちのところにいらっしゃる方がいます。お話を伺ってみると、うまくいかないポイントは大きく分けて2つあるようです。

  • (1)譲渡額が相場から外れている、具体的な引き継ぎ方法が決まっていない=質の問題
  • (2)知り合いの紹介などに頼り、そもそもコンタクトしている数が少ない=量の問題

(1)質の問題

個人経営の診療所の場合には下記のような公式で譲渡額を算定します。

譲渡額=年間所得(利益)の1年分+固定資産額(医療機器などの簿価額)

さらに、上記の金額を、根拠をもって説明できるかどうかも重要な点です。一般的に、売り手の院長が自ら後継者探しをしている場合、上記の相場よりも割安な設定にしているケースが多いのですが、このような相場の考え方を説明できる方が少ないため、割安なのにもかかわらず、候補者が不安になって辞退してしまうケースがあります。

また、譲渡時の具体的な引き継ぎ方法をわかりやすく候補者に伝えられるかどうかも大事な点です。たとえば、医療法人が経営する病院・診療所を承継する場合には、買い手本人ではなく、医療法人側が銀行から融資を受けたうえで、売り手の院長に退職金を支払うスキームで引き継ぐケースがあります。このようなお金の流れや、なぜそのようなスキームが最良の選択なのかを細かく説明し、双方が納得する必要があります。

魅力的な話であるにもかかわらず、こうした点がわからないために不安になって買い手が辞退してしまうケースが多くあるのです。

(2)量の問題

「なるべく知っている人に譲りたい」という思いから、限られた方にしかコンタクトしていない、というケースもあります。でも、承継という大きな話をご自分のルートだけで探すというのは効率の悪い話ではないでしょうか。可能性のある候補者に広く告知できるかどうかが成功確率に大きく影響するのです。

弊社が医業承継のご相談を受けた案件のうち、成約まで行き着くのは3分の1程度です。ケアネットの医師会員18万人から候補者を探してこの割合なのですから、母数が少なければ成功確率が下がるのは当然のことでしょう。

このように医業承継は案件の「質」と相手を探す「量」を上げる必要があり、双方の点で私たちのような専門家を頼っていただいたほうが、効率がよいはずです。

医業承継とは?

医業承継とは、診療所を開業するとき、既存の診療所の事業を引き継いで開業することです。

買い手からすると、施設や医療機器がそろっているため、開業に当たっての初期費用を数千万円単位で節約することができ、既存の患者さんの来院も見込めるため、経営が安定します。

売り手からすると、自院の施設や設備を無駄にすることなく、譲渡金を得ることができ、かつ患者さんを引き継げる安心感があります。

医業承継の大まかな流れは以下のとおりです。

医業承継の基本の流れと要する期間

ケアネット医業承継チーム

ケアネットでは2020年に医業承継チームが発足しました。業界経験の長い2人の女性メンバーと男性メンバー1人で構成。3人で合計100件超の成約実績があります。

ケアネットの医業承継事業の特長

ケアネットの会員医師22万人(2023年10月現在)の中から最適な候補者を紹介します。

これから開業したい医師や、すでに開業している理事長、いずれとの接点も豊富にあるため、希望の条件に沿った相手探しが可能です。

医業承継という業界の歴史は浅く、未経験のアドバイザーも多い業界ですが、ケアネットには業界経験5年以上のスタッフが複数在籍しています(全メンバーで計100件超の成約実績あり)。

事業者の中には、着手金や相談料が発生する場合もありますが、ケアネットの医業承継事業は成功報酬型で医業承継を支援します。

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