精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

楽観的な人ほど貯蓄額が多い?

 物事の明るい面を見ることは、気持ちを前向きにさせるだけでなく貯蓄にも役立つ可能性のあることが新たな研究で示唆された。米コロラド大学ボルダー校のJoe Gladstone氏と米ニューハンプシャー大学のJustin Pomerance氏らによる研究で、楽観性が高い人ほど貯蓄額が多い傾向があり、この傾向は特に低所得者層で顕著であることが示唆された。この研究結果は、「Journal of Personality and Social Psychology」1月号に掲載された。  Gladstone氏は、「楽観主義は、それをかけると全てが素晴らしく見えてしまう『バラ色のメガネ』であり、将来のための貯蓄を減らす原因になる可能性があると考えられがちだ。しかし、本研究では、特に経済的困難に直面しているときには、楽観主義が貯蓄に役立つ重要な心理的資源である可能性が示唆された」と話している。

統合失調症の認知機能改善に対するメトホルミンの有用性

 統合失調症の陰性症状に対して、メトホルミンに本当に有用性があるかは、まだ結論が出ているとはいえない。中国・The Brain Hospital of Guangxi Zhuang Autonomous RegionのZhen-Juan Qin氏らは、統合失調症患者の神経認知機能に対するメトホルミンの効果に関するランダム化比較試験(RCT)を評価するため、システマティックレビューを実施した。Frontiers in Psychiatry誌2025年1月20日号の報告。  中国のデータベース(WanFang、Chinese Journal Net)および英語のデータベース(PubMed、EMBASE、PsycINFO、Cochrane Library)より、包括的な検索を実施し、統合失調症の神経認知アウトカムに対するメトホルミンの影響を評価したRCTを特定した。

うつ病歴は慢性疾患の発症を早める

 過去にうつ病と診断されたことがある人は、同年代のうつ病歴がない人に比べて中高年期に慢性疾患に罹患している可能性が高く、また、より早いペースで新たな慢性疾患を発症する可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。英エディンバラ大学の統計学者であるKelly Fleetwood氏らによるこの研究は、「PLOS Medicine」に2月13日掲載された。Fleetwood氏は、「うつ病歴のある人は、ない人に比べて心臓病や糖尿病などの慢性疾患を発症しやすい」と述べている。  この研究では、UKバイオバンク参加者から抽出した17万2,556人を対象に、UKバイオバンク参加当時および追跡期間中のうつ病歴と慢性疾患との関連が検討された。対象者は、2006〜2010年にUKバイオバンクに参加し(参加時の年齢は40〜71歳)、評価を受けていた。追跡期間は平均6.9年だった。慢性疾患については、血液がん、固形がん、心筋炎、冠動脈性心疾患、脳卒中、1型および2型糖尿病、高血圧、勃起不全、アレルギー性・慢性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、認知症など69種類を対象とした。対象者の17.8%に当たる3万770人がうつ病歴を持っていた。

GLP-1受容体作動薬、自殺リスクと関連せず/BMJ

 英国の大規模コホート研究において、2型糖尿病患者のGLP-1受容体作動薬の使用は、DPP-4阻害薬またはSGLT-2阻害薬の使用と比較し、自殺傾向のリスク増加とは関連していないことが示された。カナダ・Lady Davis InstituteのSamantha B. Shapiro氏らが報告した。GLP-1受容体作動薬と自殺傾向との関連性が懸念されており、これを調査する観察研究がいくつか実施されているものの、結論には至っていなかった。BMJ誌2025年2月26日号掲載の報告。

治療抵抗性強迫症に対するSSRI+ブレクスピプラゾールの有用性

 強迫症(OCD)は、重大な機能障害を伴う慢性疾患である。OCDの治療では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)により、一部しか症状が改善しないことも少なくない。このような場合、一般的に確立された治療法として、抗精神病薬併用によるSSRI増強療法が多くの患者で行われている。イタリア・ミラノ大学のLuca Giacovelli氏らは、治療抵抗性OCD患者におけるSSRIとブレクスピプラゾール併用療法の有効性および忍容性を評価するため、予備的レトロスペクティブ観察研究を実施した。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2025年2月6日号の報告。

日本人の4人に1人がコロナ陰謀論を信じている!?

 日本人の約4人に1人は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する何らかの陰謀論を信じているとする調査結果が報告された。旭川医科大学社会医学講座の佐藤遊洋氏、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の田淵貴大氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS One」に12月30日掲載された。収入や保有資産が多い人、正規雇用されている人に陰謀論を信じている人が多いという、海外とは異なる傾向が観察されたとのことだ。  COVID-19パンデミック以降、製薬会社が利益を得るためにウイルスを作成した、世界人口を減らすためにウイルスがばらまかれたといった、さまざまな陰謀論が拡散された。そのような陰謀論、または不正確な情報の流布と支持の高まりのために、社会不安の拡大、あるいは公衆衛生対策への悪影響が生じ得ることが指摘されている。例えば国内では、陰謀論とは異なるが、偏った報道の影響でヒトパピローマウイルスワクチンの積極的勧奨一時中断に至り、子宮頸がん対策が遅延した。よってCOVID-19陰謀論についても、今後への備えとして、国内でそれを信じる人の割合や特徴の傾向を明らかにしておく必要がある。

過敏性腸症候群の精神的苦痛を可視化/川崎医大ほか

 過敏性腸症候群(IBS)は日本人の約10人に1人が罹患するとされ、不登校や休職など日常生活に支障を来すケースも多い。血液検査や内視鏡検査、CT検査などで異常が見つからないことから、周囲に苦痛が理解されにくいといった問題がある。また、IBS患者や機能性ディスペプシア(FD)患者は、不安や抑うつの傾向が高く、心理的ストレスはIBSやFDの病態生理において重要な役割を果たすと考えられている。しかし、心理的ストレス下での脳活動についての詳細な研究は少ないのが現状である。

第4世代統合失調症治療薬KarXT、その安全性は〜メタ解析

 既存の薬剤とは異なる作用機序、より高い有効性および忍容性を有する新しい抗精神病薬に対するニーズは大きい。2024年9月、米国FDAは、急性期精神症状を伴う成人統合失調症患者を対象とした3つの二重盲検ランダム化プラセボ対照試験に基づきxanomelineとtrospiumを配合したKarXTを、新たな統合失調症治療薬として承認した。xanomelineは、直接的なドーパミンD2受容体阻害作用を持たない、M1/M4ムスカリン受容体二重作動薬である。このxanomelineと末梢ムスカリン受容体拮抗薬であるtrospiumを組み合わせたKarXTは、xanomeline関連の末梢ムスカリン受容体活性化による有害事象を軽減することが示唆されている。

摂食障害の死亡率は10年間でどう変化しているか

 摂食障害患者では、死亡率の上昇が報告されている。しかし、過去10年間のメタ解析では、すべての摂取障害における死亡率の最新かつ包括的な評価は行われておらず、潜在的なリスク因子を調査した研究もない。オーストラリア・メルボルン大学のIsabel Krug氏らは、摂食障害のタイプ別死亡率を明らかにするため、2010〜24年の最新研究に基づくシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Clinical Psychology Review誌2025年3月号の報告。

高カロリーの朝食はCVD患者のうつ病リスクを低減する

 心血管疾患(CVD)を持つ成人は、朝食を高カロリーにすることでうつ病の発症リスクを低下させられる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。ハルビン医科大学(中国)のHongquan Xie氏らによるこの研究結果は、「BMC Psychiatry」に1月31日掲載された。  研究グループによると、CVDを持つ人は一般集団と比べてうつ病を発症しやすいことに関するエビデンスは増えつつあるという。また、食事を摂取するタイミングは概日リズムに大きく影響し、概日リズムの乱れはうつ病の一因となる可能性も指摘されている。しかしながら、カロリーや主要栄養素の摂取タイミングとCVDを持つ人のうつ病発症との関連については明らかになっていない。