精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:9

日本における認知症予防、社会参加の促進はどの程度効果があるのか

 社会参加は、認知症発症リスクの低下と関連している可能性があり、近年日本において増加傾向にある。この社会参加の促進が、認知症発症率の変化と関連している可能性がある。医療経済研究機構の藤原 聡子氏らは、5つの自治体における2つの高齢者コホートの認知症発症率を比較し、その違いが社会参加と関連しているのか、あるいは社会参加の変数と関連しているかを検討した。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2025年10月号の報告。  日本老年学的評価研究(JAGES)のデータを分析した。本研究は、要介護認定を受けていない65歳以上の地域在住高齢者を対象とした2つの3年間フォローアップ調査コホート(2013〜16年:2万5,281人、2016〜19年:2万6,284人)で構成された。生存分析を用いて、コホートおよび社会参加を説明変数として認知症のハザード比(HR)を算出した。解析は、年齢別(65〜74歳、75歳以上)に層別化し、人口統計学的因子、社会参加、社会参加に関連する変数について調整した。

錐体外路症状の早期発生は予後不良の予測因子か

 抗精神病薬未治療または短期間の治療(準未治療)しかされていない初回エピソード統合失調症患者では、錐体外路症状(EPS)が主な病態として発現する可能性がある。スペイン・Universidad ComplutenseのJoaquin Galvan氏らは、未治療および準未治療の初回エピソード統合失調スペクトラム症におけるEPSの有病率、ベースラインにおける人口統計学的および臨床的相関、フォローアップ期間中の臨床アウトカムとの関連を解析した。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2025年7月12日号の報告。

インフルワクチン接種回数と認知症リスクが逆相関~メタ解析

 インフルエンザワクチン接種と認知症リスク低下との関連性については、一貫性のない結果が報告されており、この関連性は明確になっていない。台湾・Keelung Chang Gung Memorial HospitalのWen-Kang Yang氏らは、全人口および慢性腎臓病(CKD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血管性疾患などの認知症高リスク患者におけるインフルエンザワクチン接種と認知症リスクとの関連を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Age and Ageing誌2025年7月1日号の報告。  2025年4月6日までに公表された研究をPubMed、Embase、CENTRALよりシステマティックに検索し、ランダム効果メタ解析を実施した。バイアスリスクの評価には、ニューカッスル・オタワ尺度を用いた。

不眠症に対する各運動介入の比較〜ネットワークメタ解析

 中国・北京中医薬大学のZhi-Jun Bu氏らは、不眠症における重症度の軽減および睡眠の質の改善に対するさまざまな運動介入の有効性を比較するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。BMJ Evidence-Based Medicine誌オンライン版2025年7月15日号の報告。  2025年4月1日までに公表された研究をPubMed、Cochrane Library、Embase、Web of Science、SPORTDiscus、PsycINFOデータベースより検索した。成人不眠症患者を対象に、介入を評価したランダム化比較試験(RCT)をメタ解析に含めた。バイアスリスクの評価には、Cochrane Risk of Bias 2 Toolを用いた。エビデンスの確実性は、ネットワークメタ解析信頼性(CINeMA)プラットフォームを用いて評価した。各介入の有効性を評価するため、頻度主義ネットワークメタ解析を実施し、平均差(MD)および95%信頼区間(CI)をアウトカムとして算出した。睡眠アウトカムの評価には、ピッツバーグ睡眠品質指数(PSQI)、不眠症重症度指数(ISI)、睡眠日誌などの検証済みのツールおよび睡眠ポリグラフ、アクチグラフィーなどの客観的睡眠指標を複合的に測定した。

認知機能への多領域ライフスタイル介入、構造化型vs.自己主導型/JAMA

 認知機能低下および認知症のリスクがある高齢者において、構造化された高強度の介入は非構造化自己主導型介入と比較し、全般的認知機能を有意に改善した。米国・Wake Forest University School of MedicineのLaura D. Baker氏らが、同国5施設で実施した2年間の無作為化単盲検比較試験「The US Study to Protect Brain Health Through Lifestyle Intervention to Reduce Risk(US POINTER)研究」の結果を報告した。著者は、「機能的アウトカム、バイオマーカー、長期追跡のさらなる調査により、観察された認知機能改善効果の臨床的意義と持続性が明らかになるだろう」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年7月28日号掲載の報告。

妄想性障害や急性精神病などの精神疾患と統合失調症や双極症との遺伝的関連性

 妄想性障害、急性精神病、特定不能精神病、統合失調感情障害の4つのまれな精神疾患における病因的な相互関係は、いまだに解明されていない。米国・バージニア・コモンウェルス大学のKenneth S. Kendler氏らは、妄想性障害、急性精神病、特定不能精神病、統合失調感情障害患者における統合失調症、双極症、うつ病の家族遺伝子リスクスコア(FGRS)レベルを評価し、これらの遺伝的関係を明らかにするためコホート研究を実施した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2025年7月9日号の報告。  1950〜2000年にスウェーデン生まれの両親のもとスウェーデンで生まれた人を対象に、2018年までフォローアップを行った。国家レジストリーの診断コードに基づき診断した。統合失調症、双極症、うつ病患者の統合失調感情障害は、同居を考慮したうえ、第1〜5近親者より算出した。主要アウトカムは、妄想性障害、急性精神病、特定不能精神病、統合失調感情障害の診断とした。

日本人統合失調症患者における自殺企図の出現時期と重症度との関連

 岩手医科大学の伊藤 ひとみ氏らは、日本人統合失調症患者における自殺念慮の出現時期、自殺企図の重症度、これらに関連する因子の調査を行った。PCN Reports誌2025年7月6日号の報告。  対象は、2003〜21年に自殺企図のため救急外来を受診した統合失調症患者273例。自殺念慮の出現時期に基づき、同日群または同日前群のいずれかに分類した。受診時に観察された患者の人口統計学的特徴および精神症状に関するデータを収集した。また、自殺の動機および自殺企図手段に関するデータを分析し、自殺念慮の出現時期、自殺企図手段の重症度、関連因子との関係を検証した。

ガバペンチンは認知症の発症リスクを高める?

 発作、神経痛、むずむず脚症候群の治療に使用される薬剤のガバペンチンが、認知症の発症リスク増加と関連している可能性があるとする研究結果が発表された。ガバペンチンを6回以上処方された場合、認知症リスクが29%、軽度認知障害(MCI)リスクが85%増加する可能性が示されたという。米ケース・ウェスタン・リザーブ大学のNafis Eghrari氏らによるこの研究の詳細は、「Regional Anesthesia & Pain Medicine」に7月10日掲載された。  研究グループによると、ガバペンチンはオピオイドほど中毒性がないため、慢性疼痛の治療薬としての人気が上昇の一途をたどっている。しかしその一方で、ガバペンチンには神経細胞間のコミュニケーションを抑制する作用があることから、ガバペンチンの使用が認知機能の低下を招く可能性があることに対する懸念も高まりつつあるという。

重篤な慢性疼痛、遠隔・オンライン認知行動療法で改善/JAMA

 通常の慢性疼痛よりも身体活動が制限される可能性が高い、高インパクト慢性疼痛の患者において、通常ケアと比較して遠隔医療または自己完結型のオンライン技術による拡張性のある認知行動療法に基づく慢性疼痛(CBT-CP)治療は、疼痛重症度を有意に軽減し、疼痛に関連する身体機能/生活の質(QOL)にも改善をもたらす可能性があることが、米国・Kaiser Permanente Center for Health ResearchのLynn L. DeBar氏らが実施したRESOLVE試験で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年7月23日号で報告された。

治療抵抗性うつ病に対する早期ブレクスピプラゾール補助療法

 うつ病治療では、患者の苦痛を最小限に抑えて、臨床的ベネフィットを最大化するために、可能な限り早い段階で適切な治療を行う必要がある。米国・Otsuka Pharmaceutical Development & Commercialization Inc.のShivani Kapadia氏らは、うつ病の早期および後期におけるブレクスピプラゾール併用療法の有効性および安全性を評価するため、ランダム化比較試験の事後解析を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2025年7月3日号の報告。  対象は、抗うつ薬治療で効果不十分な成人の治療抵抗性うつ病外来患者。ブレクスピプラゾール併用療法に関する3件の6週間ランダム化二重盲検プラセボ対照試験のデータを統合した。年齢中央値、診断時年齢、エピソード数、エピソード持続期間、過去に服用していた抗うつ薬数に基づき早期群および後期群に分類した。有効性はMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)総スコアの変化、安全性は治療中に発現した有害事象により評価した。