精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

一人暮らしの認知症者は疎外されやすい?

 認知症者に対する社会的距離は、認知症の行動および心理的症状(BPSD)を有する一人暮らしの患者でより大きくなることが示唆された。この研究は東京都健康長寿医療センター研究所の井藤佳恵氏らによるもので、研究結果の詳細は「PLOS One」に1月22日掲載された。  認知症者とその介護者は、疾患へのスティグマ(「先入観に基づいてレッテルをはり、偏見をもち、差別する」という、一連の心と行動)による社会的排除に直面している。スティグマは、病気そのものが引き起こす苦痛よりもさらに大きな苦痛をもたらすことがあり、深刻な人権侵害であると言われている。

各非定型抗精神病薬の抗精神病薬関連便秘リスク〜米国FDA有害事象報告

 抗精神病薬に関連する便秘は、日常診療において多くの患者にみられる副作用であるが、その研究は十分に行われているとはいえない。便秘は、患者の身体的健康に影響を及ぼすだけでなく、疾患負担に対する心理的ストレスを増大させる要因となるため、一層の注意が求められる。中国・Affiliated Guangji Hospital of Soochow UniversityのSidi He氏らは、米国FDA有害事象報告システムより、抗精神病薬関連の便秘に関する潜在的なリスクを分析した。Expert Opinion on Drug Safety誌オンライン版2025年2月17日号の報告。

不眠症が泌尿器、生殖器系疾患に及ぼす影響

 不眠症が、さまざまな泌尿器系および生殖器系の疾患に及ぼす影響や因果関係は、明らかになっていない。中国・Fifth People's Hospital of Shanghai Fudan UniversityのYougen Wu氏らは、不眠症が10種類の泌尿器系および生殖器系の疾患に及ぼす影響を調査し、この関連を評価するため、メンデルランダム化(MR)研究を実施した。Translational Andrology and Urology誌2025年1月31日号の報告。  UK Biobank、23andMe、FinnGen、遺伝子コンソーシアムより、不眠症と10種類の泌尿器系および生殖器系の疾患のデータを収集した。主なMR分析として、逆分散加重アプローチを用いた。推定値のロバストを調査するため、MR-PRESSO検定(MR多面性残差和、外れ値)、最尤法、MR-Egger法、加重中央値法を用いて感度分析を行った。

世界中で43秒に1人が自殺により死亡

 自殺リスクに関する新たな世界的評価において、世界中で43秒に1人が自殺により死亡していることが明らかになった。2021年の統計では、自殺による死亡者数は男性の方が女性に比べて多かったが、死亡には至らない自殺未遂の発生率は女性の方が男性よりはるかに高かったという。米ワシントン大学医学部健康指標評価研究所(IHME)のプロジェクト責任者であるEmily Rosenblad氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Public Health」に2月19日掲載された。  今回の研究でRosenblad氏らは、世界疾病負担研究(GBD 2021)の推定データを基に、1990年から2021年までの間の204の国と地域での自殺による死亡数、および年齢調整死亡率を分析し、経時的推移や年齢・性別・地域ごとの違いなどを評価した。GBD 2021では、自殺の手段を、「銃器によるもの」と「その他の特定された手段によるもの」に分類している。本研究では、自殺による死亡時の平均年齢、自殺未遂の発生率(死亡と比較した場合)、および銃器を用いた自殺による年齢調整死亡率(10万人当たり)も推定した。

ビタミンBが影響を及ぼす神経精神疾患〜メタ解析

 最近、食事や栄養が身体的および精神的な健康にどのような影響を及ぼすかが、注目されている。多くの研究において、ビタミンBが神経精神疾患に潜在的な影響を及ぼすことが示唆されているが、ビタミンBと神経精神疾患との関連における因果関係は不明である。中国・Shaoxing Seventh People's HospitalのMengfei Ye氏らは、ビタミンBと神経精神疾患との関連を明らかにするため、メンデルランダム化(MR)メタ解析を実施した。Neuroscience and Biobehavioral Reviews誌2025年3月号の報告。  本MRメタ解析は、これまでのMR研究、UK Biobank、FinnGenのデータを用いて行った。ビタミンB(VB6、VB12、葉酸)と神経精神疾患との関連を調査した。

抗うつ薬は認知症患者の認知機能低下を加速させる?

 不安、抑うつ、攻撃性、不眠などの症状がある認知症患者に対しては、抗うつ薬が処方されることが多い。しかし、新たな研究で、抗うつ薬の使用は認知機能の低下速度を速める可能性があり、特に、高用量の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用は、重度の認知症や骨折、あらゆる原因による死亡(全死亡)のリスク上昇と関連することが明らかにされた。カロリンスカ研究所(スウェーデン)神経学分野のSara Garcia-Ptacek氏らによるこの研究結果は、「BMC Medicine」に2月25日掲載された。  この研究でGarcia-Ptacek氏らは、2007年5月から2018年10月までの間にスウェーデン認知・認知症レジストリ(Swedish Registry for Cognitive/Dementia Disorders-;SveDem)に登録された認知症患者1万8,740人(女性1万205人、平均年齢78.2歳)を対象に、抗うつ薬の使用と認知機能低下との関連を検討した。さらに、抗うつ薬のクラス、具体的な薬剤、用量ごとの重度認知症、骨折、死亡のリスクを推定した。

うつ病の予防や治療に対するメトホルミンの可能性

 うつ病は、最も大きな障害をもたらす精神疾患の1つであり、その病態生理は、いまだ完全に解明されていない。中国・Nantong Stomatological HospitalのYuan-Yuan Cheng氏らは、メトホルミンの抗うつ薬治療としての可能性を検討するため、うつ病の発症と進行に対するメトホルミンのメカニズムなどに関する研究をレビューした。Biochemical Pharmacology誌2025年3月号の報告。  主な内容は以下のとおり。 ・うつ病の予防や治療に対するメトホルミンの可能性を検討した前臨床研究数は増加しており、血糖降下薬の第1選択薬であるメトホルミンがうつ病に多面的な影響を及ぼす可能性が強調されている。

緑茶の認知機能予防効果、アジアと欧州で違いあり

 世界中で広く消費されているお茶に関する複数の研究において、緑茶には認知機能低下に対する潜在的な保護効果があることが示唆されている。この効果は、緑茶に含まれるポリフェノールと神経保護特性に起因すると考えられている。Shiyao Zhou氏らは、緑茶の摂取と認知機能低下リスクとの関連に関する最近の観察研究をシステマティックにレビューし、メタ解析を行った。Neuroepidemiology誌オンライン版2025年2月13日号の報告。  2004年9月〜2024年9月に公表された観察研究を、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Libraryよりシステマティックに検索した。緑茶の摂取と認知機能低下との関連について、オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。さらに、サブグループ解析、異質性評価、出版バイアス評価、感度分析を行った。

幼少期の好奇心が成人期のうつ病と強く関連

 うつ病は世界的な公衆衛生上の大きな問題であるが、これまでの研究で、幼少期の性格が成人期のうつ病に及ぼす影響については、ほとんど調査されていない。中国・吉林大学のChengbin Zheng氏らは、成人による自己評価の観点から、幼少期の好奇心が成人期のうつ病に及ぼす影響およびそのメカニズムの性差について調査した。Journal of Psychiatric Research誌2025年3月号の報告。  2020年の中国家庭追跡調査(China Family Panel Study)より抽出した成人1万7,162人のデータを用い、幼少期の好奇心、将来に対する自信、主観的な社会的地位、成人期のうつ病を評価した。PROCESS 4.1ソフトウエアプログラムを用いて、調整済み仲介モデルを分析した。

強迫症併存の双極症I型に対するLAI抗精神病薬補助療法の有用性

 双極症と強迫症は、併存することが多く、このような場合の治療には、大きな課題がある。双極症における強迫症の併存は、自殺リスクの増加や機能障害などの重篤な臨床的特徴と関連している。強迫症には選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が有効であるが、双極症の躁症状への転換リスクを増加させる可能性がある。アリピプラゾール月1回製剤やパリペリドン月1回製剤などの長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の使用は、双極症治療における有病な代替治療として期待されるが、強迫症併存の双極症に対する有効性および安全性は、十分に研究されていない。イタリア・Asl Napoli 1 CentroのVassilis Martiadis氏らは、強迫症併存の双極症に対するLAI抗精神病薬の有効性および忍容性を評価するため、本研究を実施した。Journal of Clinical Medicine誌2025年2月2日号の報告。