カフェインは、中枢神経刺激を目的に使用されることが一般的であり、神経保護作用を有するとされるが、認知機能との関連性についての集団研究によるエビデンスは限られている。中国・山西医科大学のXiaoli Wang氏らは、米国の60歳以上の成人におけるカフェイン摂取と認知機能との関連を評価した。Journal of Human Nutrition and Dietetics誌2025年8月号の報告。
2011〜14年の米国国民健康栄養調査(NHANES)データに基づき、60歳以上の米国成人2,461人を対象として、本研究を実施した。カフェイン摂取量の評価には24時間食事想起法、認知機能の評価にはアルツハイマー病登録コンソーシアム(CERAD)、動物流暢性検査(AFT)、数字符号置換検査(DSST)から得られた複合スコアを用いた。カフェイン摂取量と認知機能との関連性を評価するため、多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。制限付き3次スプライン(RCS)を用いて用量反応関係を検討し、サブグループ解析および感度分析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・カフェイン摂取量が多いほど、認知機能低下のオッズの有意な低下が認められた。
・完全調整モデルでは、カフェイン摂取量が1日80mg増加するごとに認知機能低下リスクが12%低下することが示された(オッズ比[OR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.78〜0.99、p=0.035)。
・カフェイン摂取量の最高四分位は、最低四分位と比較し、認知機能低下リスクが42.5%低下していた(OR:0.58、95%CI:0.40〜0.83、p=0.006)。
・RCS解析の結果、カフェイン摂取量と認知機能低下との間に、主に線形逆相関が認められた(p=0.002)。
・これらの知見は、サブグループ解析および感度分析においてもロバストであることが示された。
著者らは「高齢者では、カフェイン摂取量が多いと認知機能が向上する傾向が認められた。これらの因果関係を明らかにするためには、長期にわたる研究が求められる」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)