カナダ・Sunnybrook Research InstituteのMadeline Wood Alexander氏らは、アルツハイマー型認知症(AD)とレビー小体型認知症(LBD)の神経病理および認知機能低下に対する性別や閉経年齢の影響を調査した。Annals of Neurology誌オンライン版2025年7月11日号の報告。
Rush Alzheimer's Disease Centerの3つのコホート(Religious Orders研究、Rush Memory and Aging Project、Minority Aging Research研究)およびNational Alzheimer's Coordinating Centerの神経病理データセットを用いて、分析を行った。LBD(大脳新皮質/辺縁系型vs.非大脳新皮質型)とADの神経病理学的評価には、神経斑(ジストロフィー性神経突起により囲まれているβアミロイド斑)と神経原線維変化を含めた。各データセットにおいて、LBDと性別が神経斑、神経原線維変化、認知機能低下に及ぼす相互の影響を検証した。さらに、Rushデータセットを用いて、女性の自然閉経年齢がLBDと神経斑、神経原線維変化、認知機能低下との関連を変化させるかを検証した。
主な結果は以下のとおり。
・Rushデータセットより女性1,277人、男性579人、National Alzheimer's Coordinating Centerデータセットより女性が3,283人、男性3,563人を対象とした。
・両データセットにおいて、男性はLBDの可能性が高く、女性は神経斑と神経原線維変化の負荷がより大きかったことが示唆された。
・性別は、LBDと神経原線維変化との関連性を変化させたが、神経斑との関連は認められなかった。女性では、男性よりも、LBDと神経原線維変化負荷の増加とのより強い関連が認められた。
・併存する病態(神経斑、神経原線維変化、LBDのいずれかが該当する場合)で調整後、男性ではLBD関連の認知機能低下が速く、女性では神経原線維変化関連の低下がより速かったことが示唆された。
・女性では、閉経年齢の早さがLBDと神経原線維変化負荷およびエピソード記憶の低下との関連性を悪化させることが示された。
著者らは「性別は、ADおよびLBDの神経病態に影響を及ぼす可能性があり、認知症の予防や介入に対するより精密なアプローチの必要性が示唆された」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)