認知症の行動・心理症状(BPSD)の軽減に非薬理学的な介護者介入は有用であるが、最も効果的な非薬理学的介入は、依然として明らかとなっていない。中国・杭州師範大学のXiangfei Meng氏らは、BPSDに対するさまざまな介護者介入とそれらの症状に対する介護者の反応を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。International Journal of Nursing Studies誌2025年10月号の報告。
2023年10月18日までに公表された研究を、PubMed、Embase、Cochrane Library、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature(CINAHL)、PsycINFOよりシステマティックに検索した。バイアスリスクの評価にはRoB2、エビデンスの信頼性の評価にはCINeMA(Confidence in Network Meta-Analysis)を用いた。頻度主義的枠組みを用いたランダム効果ネットワークメタ解析を実施した。主要評価項目は、BPSD症状およびBPSDに関連する介護者の反応とした。
主な結果は以下のとおり。
・8,336組のペアと12種類の介護者介入が含まれるランダム化比較試験71件を対象とした。
・BPSDについては、多要素介入により介入後(SMD:−0.30、95%信頼区間[CI]:−0.47〜−0.12、p=0.001)およびフォローアップ調査時(SMD:−0.61、95%CI:−1.05〜−0.18、p=0.006)において症状の改善が認められた。
・BPSDに関連する介護者の反応については、介入後の改善において、次の介入が有用であった。
【多要素介入】SMD:−0.37、95%CI:−0.58〜−0.16、p=0.001
【スキル構築】SMD:−0.26、95%CI:−0.42〜−0.10、p=0.001
【認知行動療法】SMD:−0.22、95%CI:−0.41〜−0.03、p=0.023
【教育】SMD:−0.20、95%CI:−0.35〜−0.04、p=0.017
・SUCRA解析の結果、多要素介入は、BPSDの症状軽減(SUCRA:83.4%)、これらの症状に対する介護者の反応改善(SUCRA:90.9%)において、最も高い評価を得た介入であることが明らかとなった。
・メタ回帰分析およびサブグループ解析の結果、共変数である「自立度」、「平均年齢」、「期間」が多要素介入のエフェクトサイズに影響を及ぼすことが示唆された。
著者らは「多要素介入は、BPSDの症状およびこれらの症状に対する介護者の反応軽減において最も優れた介入であり、持続的な効果を示すことが明らかとなった」としている。
(鷹野 敦夫)