適切な水分摂取は、高齢者の認知機能の維持に不可欠である。しかし、水分摂取量の促進を推奨する前に、解決しなければならない課題が残存している。まず、水分摂取量と認知機能の改善との関係は線形であるのか、そしてもう1つは、この関連性を媒介する根本的なメカニズムは何かという点である。これらの課題を解決するため、北海道・北斗病院の保子 英之氏らは、日本人高齢者を対象に、水分摂取量が認知症リスクに及ぼす影響を検討した。PloS One誌2025年10月6日号の報告。
対象は、高齢者向け介護施設に入所し、看護を受けている日本人高齢者33例。水分摂取量は、日常的な臨床診療の一環として記録した。認知機能は、入所期間中にミニメンタルステート検査日本語版(MMSE-J)を用いて2回評価した。さらに、超音波検査を用いて左右の総頸動脈の血流を測定し、約82.6±14.9日の間隔で評価した。除脂肪体重(LBM)当たりの水分摂取量、MMSE-Jスコアの変化、超音波検査パラメーター間の関係は、ノンパラメトリックブートストラップ法を用いたスピアマンの線形相関分析により解析した。