統合失調症に対する簡易心理的介入の有効性~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2025/06/25

 

 統合失調症患者に対する認知行動療法(CBT)は、国際的な臨床ガイドラインで推奨されているにもかかわらず実施率が低い。そのため、CBTで推奨される最低16セッションより短い、簡易な短期の個別心理的介入の開発が進められてきた。英国・Hampshire and Isle of Wight Healthcare NHS Foundation TrustのBlue Pike氏らは、統合失調症患者に対する既存の簡易介入(brief intervention)をシステマティックに特定し、その有効性を評価する初めてのメタ解析を実施した。Psychological Medicine誌2025年5月13日号の報告。

 5つの電子データベース(PsycINFO、MEDLINE、CINAHL、EMBASE、Web of Science)より、コミュニティ環境で実施された簡易な個別心理的介入に関する査読済みのランダム化比較試験(RCT)または実験的研究をシステマティックに検索した。対象研究の異質性を考慮し、エフェクトサイズを統合するためランダム効果メタ解析を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・30項目の臨床アウトカムを測定し、6種類の介入タイプ(簡易CBT、記憶トレーニング、デジタル動機付けサポート、推論トレーニング、心理教育、仮想現実)を含む14件の研究が特定された。
・全体として、簡易心理的介入は、精神症状(標準化平均差[SMD]:-0.285、p<0.01)、妄想(SMD:-0.277、p<0.05)、データ収集(SMD:0.380、p<0.01)、うつ病(SMD:-0.906、p<0.05)、ウェルビーイング(SMD:0.405、p<0.01)に有効であることが示唆された。
・介入タイプ別では、簡易CBTは精神症状に有効であり(SMD:-0.320、p<0.001)、推論トレーニングはデータ収集に有効であった(SMD:0.380、p<0.01)。

 著者らは「簡易心理的介入は、統合失調症に関連するいくつかの主要な障害に有効である。本研究結果が、新規統合失調症患者の治療アクセスおよび治療選択肢を改善するきっかけとなることが望まれる」としている。

(鷹野 敦夫)