デスモプレシン、重大な副作用にアナフィラキシー追加/厚労省

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/06/26

 

 厚生労働省は2025年6月24日、男性の夜間頻尿や中枢性尿崩症治療薬として使用される脳下垂体ホルモン薬のデスモプレシン酢酸塩水和物(以下、デスモプレシン)と甲状腺・副甲状腺ホルモン薬のチアマゾールに対して、添付文書の改訂指示を発出した。副作用の項に重大な副作用を新設し、デスモプレシンの経口剤と点鼻剤の両剤形においてアナフィラキシーの追記が、チアマゾールには急性膵炎の追記がなされた。なお、デスモプレシンの点鼻剤には、合併症・既往歴等のある患者の項にもアナフィラキシーの発現について追記がなされた。

 対象製品は以下のとおり。

デスモプレシン酢酸塩水和物(経口剤)

 ミニリンメルトOD錠25μg、同50μg
 ミニリンメルトOD錠60μg
 ミニリンメルトOD錠120μg、同240μg

<重大な副作用>
 アナフィラキシー

デスモプレシン酢酸塩水和物(点鼻剤)

 デスモプレシン点鼻スプレー2.5μg「フェリング」
 デスモプレシン・スプレー10協和 ほか

<合併症・既往歴等のある患者>
 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
 治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。アナフィラキシーが発現するおそれがある。

<重大な副作用>
 アナフィラキシー

 本剤のアナフィラキシー関連症例を評価した結果、デスモプレシン(注射剤)とアナフィラキシーとの因果関係が否定できない症例が集積したこと(令和7月4月8日改訂指示通知)から、経口剤および点鼻剤の使用上の注意を改訂することが適切と判断された。ただし、中枢性尿崩症の効能を有する点鼻剤(デスモプレシン点鼻スプレー2.5μg「フェリング」)については代替薬がなく、禁忌を設定した場合に医療現場で不利益を被る可能性が考えられたため、点鼻剤については「禁忌」の項への追記は行わず、「合併症・既往歴等のある患者」の項にのみの追記とし、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない旨の注意喚起を追記することが適切と判断された。

チアマゾール

 メルカゾール錠2.5mg、同5mg
 メルカゾール注10mg

<重大な副作用>
 急性膵炎
 上腹部痛、背部痛、発熱、嘔吐などの症状、膵酵素異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

 急性膵炎関連症例および疫学文献などを評価した結果、本剤と急性膵炎との因果関係が否定できない症例が集積したこと、本剤と急性膵炎との関連を示唆する疫学文献が複数報告されていることから、使用上の注意を改訂することが適切と判断された。

(ケアネット 土井 舞子)