精神科医療現場の突然死に関連する要因と予防戦略

提供元:ケアネット

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公開日:2025/07/08

 

 精神科入院患者の予期しない死亡には、さまざまな要因が関連している。シンガポール・Buangkok Green Medical ParkのJing Ling Tay氏らは、精神科入院患者の突然死に対する影響因子/リスク因子および予防戦略を評価するため、スコーピングレビューを実施した。Archives of Psychiatric Nursing誌2025年6月号の報告。

 本研究は、スコーピングレビューのためのPRISMA拡張版およびPRISMA 2020声明に基づき行われた。関連するキーワードを用いて、2023年12月18日までに公表された研究を6つのデータベースより検索した。精神科医療現場における入院患者の突然死の原因、影響因子、リスク因子、予防戦略を検討した英語論文を対象に含めた。

 主な結果は以下のとおり。

・27件の研究を対象に含めた。
・精神科医療現場における突然死の要因を調査した研究が27件(100%)、対策を検討した研究が16件(59.3%)であった。
・突然死の原因として4つが挙げられた。
 ●医学的状態
 ●拘束
 ●窒息
 ●緊張病または極度の興奮
・主に症例報告などの一部の研究において抗精神病薬使用による死亡が報告されているものの、ケースコントロール研究のような質の高い研究においてこの関連性は否定された。
・上記4つに抗精神病薬使用を含めた5つの原因に対応する予防戦略として、以下が挙げられた。
 ●医学的評価と治療(とくに心血管疾患および関連リスク因子)、医師との連携、スタッフ研修、人員配置(医師の増員)
 ●カウンセリング、迅速な鎮静、徹底した観察下の最終手段としての拘束といったより良い代替手段の活用
 ●窒息に関するリスク評価、トレーニング
 ●緊張病に対する迅速な治療
 ●抗精神病薬治療レジメンの簡素化

 著者らは、「議論の的である本テーマの検証には、さらに質の高い研究が求められる」とし、「この重要なテーマをエビデンスベースで理解することは、精神医学における救命につながるであろう」とまとめている。

(鷹野 敦夫)