医療一般|page:1

「遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン」8年ぶりの全面改訂、非専門医が押さえておきたいポイントは?/日本循環器学会

 日本循環器学会と日本不整脈心電学会の合同研究班による「2026年改訂版 遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン」1)が、2026年3月20日にオンライン上で公開された。2018年の前回改訂以来、8年ぶりの全面改訂となる。今回の改訂では、「遺伝学的知見と臨床エビデンスの統合」が基本コンセプトに掲げられ、新たに8つの章が追加されるなど、ページ数が前回の約1.6倍(127ページ)に拡充された。3月20~22日に開催された第90回日本循環器学会学術集会では、班長を務めた牧山 武氏(京都大学大学院医学研究科 循環器内科学)が本ガイドラインの要点を解説した。

タルラタマブが小細胞肺がん2次治療に加わる意義/アムジェン

 2026年3月、タルラタマブ(商品名:イムデトラ)が小細胞肺がん(SCLC)の2次治療に承認された。アムジェンが主催したメディアセミナーでは、関西医科大学呼吸器腫瘍内科学講座の倉田 宝保氏と肺がん患者会のワンステップの長谷川 一男氏が登壇。医師と患者の立場から、新たな展開の意義を語った。   SCLCは肺がんの10〜15%を占める。喫煙との関連が高く、病勢進行も速い。進行の速さに加え、喫煙歴のある患者が多いため、咳や痰などの症状がSCLCによるものなのか、その鑑別は容易ではない。発見時には片肺にとどまっている限局性であっても、もう一方の肺に浸潤した進展型となっていることがほとんどだ。

低用量アスピリン併用は統合失調症や双極症治療の切り札となるか

 精神疾患の病態生理学的メカニズムに、炎症が関与している可能性を示唆する膨大なデータが存在する。低用量アスピリンが向精神薬の治療効果を高める可能性が示唆されている。イスラエル・Ben-Gurion University of the NegevのLior Stern氏らは、双極症、統合失調症、統合失調感情障害患者において、向精神薬と低用量アスピリンの併用レジメンの安定性およびその他の治療効果と関連しているかどうかを検討した。Pharmaceuticals誌2026年3月8日号の報告。  本レトロスペクティブ研究では、イスラエルのClalit Health Services' Southern Districtのデータベースより、2017〜19年に治療を行った1,924例の患者データを分析した。

HR+/HER2-乳がん、早期および晩期再発の関連因子は

 ホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)乳がんのリアルワールドコホートにおいて、早期(5年未満)および晩期(5~10年)再発の関連因子を特定することを目的とした後ろ向き研究の結果、臨床的に低リスクに分類される患者であっても晩期再発が生じる可能性がある一方、早期再発は高い腫瘍量および増殖活性を反映することが示唆された。チリ・Pontificia Universidad Catolica de ChileのBenjamin Walbaum氏らによるBMC Cancer誌オンライン版2026年4月10日号掲載の報告より。 . 本研究では、1981~2022年に診断されたStageI~IIIのHR+/HER2-乳がん症例について、後ろ向き解析を実施した。無浸潤疾患生存(iDFS)率がSTEEP 2.0基準に従い評価され、評価変数には転移部位や早期および晩期の浸潤性再発が含まれた。

電子カルテ業務がレジデントのバーンアウトに関連

 若手医師の間で、電子カルテ業務の過剰負担がバーンアウト(燃え尽き症候群)のリスクを高めていることが、新たな研究で明らかになった。家庭医療レジデントの約3分の1が、「パジャマタイム」と呼ばれている勤務時間外に3時間以上かけて外来電子健康記録(EHR)の作業を行っており、こうした時間外の作業に費やす時間が長いほど、試験の成績が低く、バーンアウトのリスクが高まり、仕事への満足度は低下する傾向が認められたという。米イェール大学医学部のWendy Barr氏らによるこの研究は、「Academic Medicine」3月号に掲載された。

ADHD治療薬は将来の精神病リスクを上昇させない

 注意欠如・多動症(ADHD)の子どもに対しては、メチルフェニデートが処方されることが多い。ADHD患者は統合失調症などの精神病(精神病性障害)のリスクが高いことが知られているが、精神病の発症とメチルフェニデートとの長期的な関連は、これまで明確ではなかった。こうした中、新たな大規模研究で、メチルフェニデートは精神病リスクを上昇させず、むしろ小児期の同薬による治療は将来の非感情性精神病性障害に対して予防効果を有する可能性が示唆された。英エディンバラ大学児童・思春期精神医学分野のIan Kelleher氏らによるこの研究は、「JAMA Psychiatry」に3月25日掲載された。

早期発症統合失調症に対するブレクスピプラゾールの有効性~第III相試験事後解析

 米国・Zucker Hillside HospitalのChristoph U. Correll氏らは、早期発症統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性を評価するため、第III相試験の事後解析の結果を報告した。Psychiatry Research誌2026年6月号の報告。  統合失調症患者を対象とした4件の6週間ランダム化二重盲検プラセボ対照試験のデータを統合した。18~65歳の成人を対象とした試験が3件(NCT01396421、NCT01393613、NCT01810380)、13~17歳の青年を対象とした試験が1件(NCT03198078)であった。早期発症の基準は、年齢が13~35歳、罹病期間が5年以内とした。

造血細胞移植におけるEmergency/日本造血・免疫細胞療法学会

 造血細胞移植は、急性白血病や悪性リンパ腫などに対して根治を目指しうる治療法である。一方で、移植前処置や強力な免疫抑制療法、長期にわたる好中球減少状態などを背景に、早急な対応を講じなければ不可逆的な臓器障害を来し、致命的となりうる重篤な病態(Emergency)が急速に進行することもある。そのため移植医療の現場では、数日単位で生命予後が左右されるEmergencyに備える姿勢が不可欠であり、事態への即応力が強く求められることになる。

医師でリスクの低いがんは?~日本人の職業とがんリスクの大規模研究

 日本の労働者における職業とがん種別発症リスクの関連を全国規模で調査した、東海大学の深井 航太氏らによる大規模症例対照研究の結果、肉体労働や運輸関連の職業でがんリスクが高いなど、職業による違いがみられ、とくに男性で顕著であることがわかった。一方、医師などの専門職では肺がん、食道がん、胃がん、大腸がんのリスクが低いことが示された。Journal of Occupational and Environmental Medicine誌オンライン版2026年4月14日号に掲載。

超加工食品の摂取量が心臓発作や脳卒中、死亡リスクなどと関連

 工業的に多くの加工が加えられている「超加工食品」と呼ばれる食品の摂取量が、心筋梗塞や脳卒中、およびそれらによる死亡のリスクと関連していることが報告された。超加工食品を1日に平均9回分摂取する人は1回分摂取する人に比べて、7割近くハイリスクだという。米テキサス大学ヒューストン健康科学センターのAmier Haidar氏らの研究によるもので、詳細は「JACC Advances」に3月17日掲載された。  超加工食品は、未加工の食品から工業的に抽出された物質を用いて製造される。飽和脂肪酸やでんぷん、添加糖などを多用して味が整えられ、さらに見た目をよくするための加工が施され、保存性を高めるといった目的で多くの添加物も使用されている。

スマートフォンの問題的使用、若年者の摂食障害関連症状と関連か

 多くの若者にとって、スマートフォンはもはや体の一部ともいえる存在だ。今回、スマートフォンの問題的使用(problematic smartphone use:PSU)や長時間のスクリーンタイムが、体型不満や感情的過食などの摂食障害関連症状と関連している可能性があることが、主に若年者を対象とした研究のシステマティックレビューで示唆された。英キングス・カレッジ・ロンドン精神医学・心理学・神経科学研究所のBen Carter氏らによるもので、詳細は「JMIR Mental Health」に3月9日掲載された。

統合失調症に対する漢方薬と抗精神病薬の併用がMetSに及ぼす影響

 統合失調症患者における抗精神病薬と併用した中長期の漢方薬の使用が、メタボリックシンドローム(MetS)に及ぼす影響を評価し、これらの患者におけるMetSの有病率および関連する影響因子を明らかにするため、中国・Fujian Psychiatric CenterのJing-Shuang Zhang氏らは、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Frontiers in Pharmacology誌2026年3月17日号の報告。  2022~24年に統合失調症と診断され精神科病院に入院中の患者897例(平均年齢:47.68±14.67歳)を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。

日本の初期研修医における重大インシデント、男女で差

 過去の研究で、女性医師のほうがガイドラインやエビデンスに基づいた診療を行うことで患者の予後が良好なことが示唆されている。今回、東京科学大学の片桐 碧海氏らが、初期研修環境の改善を目的に国内の初期研修医約6,000人の横断的データを解析し、初期研修医の性別と患者安全インシデントの関連における業務量と心理的負担の関与について検討した。その結果、女性研修医は男性研修医に比べ、重大なインシデントを起こすリスクが低いことが示された。Journal of Patient Safety誌2026年5月号に掲載。

抗菌薬が腸内環境を変える期間は想像以上に長い

 抗菌薬は、危険な感染症を治療する重要な薬として知られている。しかし、新たな研究で、抗菌薬はこれまで考えられていた以上に長期間にわたり身体に影響を残す可能性が示された。約1万5,000人の成人を対象とした研究で、特定の抗菌薬が腸内マイクロバイオームに対して、最長で約8年にわたり影響を及ぼすことが明らかになった。ウプサラ大学(スウェーデン)のGabriel Baldanzi氏らによるこの研究結果は、「Nature Medicine」に3月11日掲載された。  この研究では、スウェーデンの3つの大規模コホート研究のデータを統合して、8年間の抗菌薬の使用歴と腸内マイクロバイオームとの関連を検討した。

若年成人期の過敏性腸症候群のリスク因子を特定

 16歳時に過敏性腸症候群(IBS)を有することは、24歳時にIBSを有することを予測する最も強いリスク因子であり、16歳時にIBSであった人の33.6%は24歳時でも診断基準を満たすとする研究結果が、「Gastroenterology」に1月30日掲載された。  ヨーテボリ大学(スウェーデン)サールグレンスカアカデミーのJessica Sjölund氏らは、1990年代半ばに出生した4,089人を若年成人期まで追跡したスウェーデンのBAMSE出生コホートのデータを用い、24歳時のIBSの有無に関連する思春期のリスク因子、および16歳から24歳にかけてのIBSの持続に関連する因子を検討した。曝露因子の大半は16歳時に評価されていた。

聴覚ビート刺激を組み合わせた音楽は不安軽減に有効

 短時間だけ音楽を聴くことが不安の軽減に役立つ可能性が、新たな臨床試験で明らかになった。試験では、脳活動に影響を与えることを目的とした音のパターンである聴覚ビート刺激(ABS)を組み合わせた音楽を24分間聴くことが、不安症状の軽減に最も効果的であることが示されたという。トロント・メトロポリタン大学(カナダ)心理学教授のFrank Russo氏らによるこの臨床試験の詳細は、「PLOS Mental Health」に1月21日掲載された。  この臨床試験では、先行研究で確認された、音楽にABSを組み合わせた(音楽+ABS)介入による追加の不安軽減効果が再現されるか、また、音楽+ABSの効果が最大となる聴取時間がどの程度かが検討された。

イヌリンにより変形性膝関節症の痛みが軽減か

 腸内環境を整えることで関節炎の痛みが和らぐかもしれない──そんな研究結果が報告された。変形性膝関節症(OA)患者を対象としたランダム化比較試験で、難消化性食品成分であるプレバイオティクスの摂取が痛みの軽減に寄与する可能性が示された。英ノッティンガム大学NIHRノッティンガム生物医学研究センターのAfroditi Kouraki氏らによるこの研究は、「Nutrients」に2月24日掲載された。  研究グループは、腸の健康を改善することがOAの新しい治療法になる可能性があると考えている。Kouraki氏は、「この研究は、朝食やヨーグルトにサプリメント(以下、サプリ)を加えるだけで、痛みが和らぎ、身体機能も改善される可能性があるという、わくわくするような可能性を示した」とニュースリリースで述べている。

配偶者死別後の健康に男女差、男性で死亡・認知症リスク上昇

 配偶者との死別は人生で最もつらい出来事の一つだが、その影響は男女で異なるのだろうか。今回、日本の高齢者を対象とした大規模研究により、配偶者死別後の影響には明確な男女差があり、男性では死亡や認知症リスクの上昇など不良転帰が目立つ一方、女性では時間の経過とともに幸福感や生活満足度が高まる傾向が示された。研究は、千葉大学予防医学センター社会予防医学部門の河口謙二郎氏らによるもので、詳細は2月12日付の「Journal of Affective Disorders」に掲載された。

がんサバイバーの運動習慣、死亡だけでなく要介護化リスクとも関連

 がん医療の進歩により、がんサバイバーは増加しているが、その後の生活機能や自立の維持は重要な課題となっている。今回、日本の大規模データを用いた研究で、がんサバイバーにおける日常的な身体活動が、死亡だけでなく新規の要介護認定リスクとも関連する可能性が示された。研究は、国立循環器病研究センター予防医学・疫学情報部の中塚清将氏、国立長寿医療研究センター老年社会科学研究部の小野玲氏、九州大学大学院医学研究院の福田治久氏らによるもので、詳細は2月16日付で「BMJ Open」に掲載された。

eGFR slopeは腎予後と有意に関連/慈恵医大

 大規模な日本人IgA腎症コホートにおいて、腎機能の経時的変化を示すeGFR slopeと腎予後との関連性を検討した結果、eGFR slopeの悪化は腎予後不良と有意に関連し、独立した予測因子となる可能性が示された。東京慈恵会医科大学の佐々木 峻也氏らによる報告で、Nephrology Dialysis Transplantation誌オンライン版2026年4月16日号に掲載された。  IgA腎症は進行速度の個人差が大きく、長期予後の評価には時間を要する。そのため、早期に予後を反映する代替エンドポイントは長期的な転帰を理解するうえで重要である。