多量の飲酒のあとに起こるいわゆる「二日酔い」を一度は経験したことがある人は多いはず。二日酔いでは、頭痛や倦怠感などの身体症状だけでなく、自動車の運転や就業中の判断力に影響を及ぼすことはよく知られている。症状の軽減策としては、飲酒中の水(いわゆる「チェイサー」)の摂取が知られているが、その効果はどのくらいあるのだろう。このテーマに関して、大分大学の今井 浩光氏(大分大学医学部医学生物学講座および医療倫理学講座 教授)らの研究グループは、チェイサーが体内のエタノールおよびアセトアルデヒドの動態に影響を与えるかどうか、また、翌日の精神運動機能検査や自覚症状において二日酔いの症状を軽減するかどうかを検討した。その結果、チェイサーは、エタノールの体内動態や薬力学的指標に有意な変化を生じず、二日酔いの症状にも影響を及ぼさないことが示唆された。この結果はFrontiers in Pharmacology誌2026年6月15日号に掲載された。
飲酒中のチェイサーは二日酔いを軽減するか
研究グループは、野生型アルデヒド脱水素酵素(ALDH)2を有する日本人の健康な成人男性13人を対象とした。試験デザインは無作為化2✕2クロスオーバー法とし、被験者は(1)体重1kg当たり純アルコール量1.3gに相当する日本酒(対照群)、および(2)同量の日本酒と体重1kg当たり15mLの水を間欠的に摂取(水分摂取群)する2つの条件を、それぞれ1時間かけて一定のペースで実施した。飲酒前、直後、および飲酒後最大15時間までの各時点で、呼気中のエタノールおよびアセトアルデヒド濃度を測定し、数字記号置換検査(DSST)を実施するとともに、主観的な酔いの症状スコア(VAS)を評価した。呼気中のエタノールおよびアセトアルデヒド濃度は、センサーガスクロマトグラフィーにより測定、両群間における呼気中濃度および薬力学的指標の差は、試験飲料および投与回数を固定効果、被験者をランダム効果とする線形混合効果モデルを用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・呼気中エタノールおよびアセトアルデヒドの動態において、両群間に差は認められなかった。
・DSSTのスコアも両群間で同様だった。
・VASを用いて顔面紅潮、頭痛、悪心、集中力、眠気、気分の高揚といった自覚症状を評価したが、いずれの項目においても両群間に差は認められなかった。
この結果から研究グループは、「エタノール摂取中にチェイサーを間欠的に摂取しても、エタノールの体内動態や薬力学的指標に有意な変化は生じず、二日酔いの症状にも影響を及ぼさないことが示唆された」と結論付けている。
(ケアネット 稲川 進)