これまでの観察研究において、帯状疱疹ワクチン接種と認知症との間に予防的な関連があることが報告されている。しかし、これらの研究には方法論的な限界がある、あるいは米国では現在利用できない生ワクチンが対象となっていた。米国・Brown UniversityのKaleen N. Hayes氏らは、亜急性期ケアまたは長期ケアを目的として専門看護施設に最近入所した高齢者を対象に、入所後12ヵ月以内または退所後の遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチン接種(RZV)と認知症との関連を推定するため、本研究を実施した。Annals of Internal Medicine誌7月号の報告。
対象は、2017~22年に専門看護施設に入所し、ナーシングホームの電子健康記録(EHR)データとの連結が可能で、認知症の診断がなく、RZV接種の対象となる66歳以上のMedicare fee-for-service受給者。施設内または退所した場合は入所後12ヵ月以内に1回以上のRZV接種を受けた群を介入群とし、RZV未接種者を対照群とした。EHRデータと連結されたMedicareの診療報酬請求データを使用し、ターゲット試験エミュレーションおよびclone-censor-weightアプローチを用いたコホート研究を実施した。対象者は、認知症の発症、Medicare資格の喪失、死亡のいずれかが生じるまで、最長4年間のフォローアップを行った。プールされたロジスティック回帰モデルによる効果の推定には、clone-censor-weightの逆確率を適用した。測定項目には、妥当性が確認された認知症診断、ベースライン時および経時的に変化する57項目の共変量を含めた。
主な結果は以下のとおり。
・研究コホートには、50万9,926例(平均年齢:79歳)の参加者が含まれた。
・入所後12ヵ月以内に1回以上のRZV接種を受けた患者の割合は1.73%(8,843例)、そのうち退所後にRZV接種を受けた患者の割合は87.0%であった。
・RZV接種は、認知症リスクの5.8パーセントポイント低下(95%信頼区間[CI]:3.9~7.5パーセントポイント低下)と関連していた(リスク比:0.76[95%CI:0.69~0.84]、4年間のリスク:RZV接種群18.8%vs.非接種群24.6%)。
・男性および過去に生帯状疱疹ワクチンの接種歴がある患者では、この関連は弱まった。
・本研究の限界は、ネガティブコントロール解析の結果、何らかの残存交絡が存在する可能性が示唆された点である。
著者らは「専門看護施設への入所中または入所後12ヵ月以内のRZV接種は、認知症リスクの低下と関連している」としている。
(鷹野 敦夫)