医療一般|page:1

認知症に対する抗精神病薬中止に伴うBPSD再発リスクは?

 認知症の行動・心理症状(BPSD)の治療には、抗精神病薬が使用される。しかし、治療は有害な転帰と関連している。2018年のコクランレビューにおいて、治療群間の試験未完了者数の差を比較した結果、抗精神病薬の中止がBPSD症状にほとんど影響を及ぼさない可能性を示唆する質の低いエビデンスが示された。また、再発リスクの統合エフェクトサイズは報告されていなかった。英国・St Pancras HospitalのSophie Roche氏らは、認知症患者における抗精神病薬中止後のBPSD症状再発の統合リスク比(RR)についてメタ解析を実施した。Alzheimer's & Dementia誌2025年12月15日号の報告。

直美問題の解決へ一歩――専門医と患者をつなぐ新構想でクラウドファンディング開始

 初期研修修了後、十分な専門研修を経ないまま美容医療に従事する、いわゆる「直美(ちょくび)問題」が社会問題化する中、現場の医師が主導する新たな取り組みが動き出した。近畿大学 医学部皮膚科学教室 主任教授の大塚 篤司氏らは大学発ベンチャーを立ち上げ、AIと専門医の知見を組み合わせた美容医療予約プラットフォーム「美肌コネクト」の開発を主な目的とした、クラウドファンディングをスタートした。 専門研修不足と医師偏在、双方への危機感 大塚氏は「直美問題は、患者側、医師側の両方に不幸をもたらしている」と言う。

チルゼパチドは肥満症患者などの精神症状のリスクとならない

 肥満症の患者にチルゼパチドを処方した場合、何らかの精神症状を伴うのであろうか。このテーマについてアメリカのペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院精神医学科のThomas A. Wadden氏らの研究グループは、SURMOUNT試験の事後解析を行った。その結果、既往の精神症状のない過体重または肥満症患者にはチルゼパチドはうつなどのリスクと関連しないことがわかった。この結果は、Obesity誌2026年1月15日オンライン版に公開された。

降圧薬なしで降圧目標を達成する患者、γ-GTPが関連

 高血圧患者で、降圧薬に頼らず生活習慣改善のみで降圧目標を達成できるのはどのような患者なのだろうか。今回、大阪大学の小原 僚一氏らが神奈川県平塚市の特定健診(SHC)データを用いて解析した結果、降圧薬非使用群における降圧目標達成の主要な因子として、前年度の特定健診における高血圧既往歴がないことや血圧グレードが低いことに加え、γ-GTPの減少が重要であることが明らかになった。本研究の結果は、生活習慣指導が有効なレスポンダーを特定する一助となる可能性がある。Journal of Cardiology誌オンライン版2026年1月16日号に掲載。  本研究は、2016年5月~2023年3月に平塚市の特定健診を受診した40~74歳の未治療高血圧患者(140/90mmHg以上)5,428例を対象とした解析である。

前立腺肥大症はうつ病および不安症のリスクと関連

 前立腺肥大症(BPH)はうつ病および不安症のリスク上昇と関連しており、うつ病に対する因果関係が遺伝的根拠によって支持されるとする研究結果が、「International Journal of Psychiatry in Clinical Practice」に11月5日掲載された。  中南大学湘雅第三医院(中国)のJinjing Guo氏らは、UKバイオバンクから得られた横断的・縦断的・遺伝的データを用いて、22万9,001人を対象にBPHとメンタルヘルスとの関連を検討した。ベースラインでの関連を評価したうえで、7年間追跡した5万1,805人および14.9年間追跡した17万1,228人における前向きリスク(ハザード)も評価した。因果関係の特定にはメンデルランダム化解析を用いた。

GLP-1受容体作動薬は大腸がんリスクを低下させる?

 オゼンピックやウゴービなどのGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬は、減量や糖尿病の管理だけでなく、大腸がんの予防にも役立つ可能性のあることが、新たな研究で示唆された。GLP-1受容体作動薬の使用者では、アスピリン使用者と比べて大腸がんを発症するリスクが26%低かったという。米テキサス大学サンアントニオ校血液腫瘍内科のColton Jones氏らによるこの研究結果は、米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2026、1月8〜10日、米サンフランシスコ)で発表された。  Jones氏は、「これまでアスピリンの大腸がん予防効果について研究されてきたが、効果は限定的であり、また、出血リスクが使用の妨げになる。

うつ病から双極症への転換リスク比較、SSRI vs.SNRI

 抗うつ薬、とくに選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の使用に伴う単極性うつ病から双極症への診断転換リスクの潜在的比較については、依然として議論が続いている。韓国・翰林大学校Ka Hee Yoo氏らは、SSRIおよびSNRIの使用と診断転換リスクとの関連性を調査した。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2025年12月14日号の報告。  国際標準規格であるObservational Medical Outcomes Partnership-Common Data Model(OMOP-CDM)韓国版を用いて、レトロスペクティブコホート研究を実施した。

GLP-1受容体作動薬、乾癬患者の死亡および心血管系・精神系リスクを低減/BJD

 糖尿病または肥満を有する乾癬患者において、GLP-1受容体作動薬による治療は、ほかの抗糖尿病薬または抗肥満薬による治療と比較し、心血管系および精神疾患系の合併症リスク、ならびに全死因死亡リスクを低減し、そのリスク低減効果は乾癬のないコホートと比較して高いことが明らかになった。ドイツ・リューベック大学のHenning Olbrich氏らは、米国のリアルワールドデータを用いた大規模コホート研究結果を、British Journal of Dermatology誌2026年1月号に報告した。  本研究は後ろ向きの人口ベースコホート研究であり、米国・TriNetXのリアルワールドデータを使用し、2年間の追跡期間中にGLP-1受容体作動薬による糖尿病または肥満治療を受けた乾癬患者を、ほかの全身性抗糖尿病薬または抗肥満薬により治療した患者と比較した。

一部の犬は立ち聞きから物の名前を学習する

 犬のしつけの基本の一つは、「おすわり」「ふせ」「待て」などの特定の言葉を理解し、それに反応できるように教えることだ。しかし、とりわけ賢い一部の犬は、人間同士の会話に「聞き耳を立てて」学習できることが、新たな研究で明らかにされた。こうした犬は、「Gifted Word Learners(GWL;語彙学習能力に優れた犬)」と呼ばれている。エトヴェシュ・ロラーンド大学(ハンガリー)のShany Dror氏らによるこの研究結果は、「Science」に1月8日掲載された。  研究グループによると、これらの犬が単語を学習する能力は、生後1歳半前後の幼児が他の人の会話を聞いて新しい言葉を覚える能力とよく似ているという。

開胸手術は不要に? 世界初の低侵襲冠動脈バイパス術が登場

 動脈の詰まりによって起こる心疾患に苦しむ人に対する開胸手術は、近い将来、過去のものになるかもしれない。心疾患の長い既往歴を持つ67歳の男性に対して、胸壁を切開せずに行う世界初の低侵襲冠動脈バイパス術のVECTOR法(Ventriculo-coronary transcatheter outward navigation and reentry)が実施され、成功裡に終えたことが明らかにされた。手術から6カ月が経過しても、男性には動脈の詰まりに起因する心臓の問題は一切認められなかったという。米エモリー大学医学部のAdam Greenbaum氏らによるこの症例報告は、「Circulation: Cardiovascular Interventions」に1月6日掲載された。

睡眠データから130種類の疾患リスクを予測可能か

 眠っている間に体はさまざまな「メッセージ」を発しており、それを読み取ることで将来の重大な病気のリスクを予測できる可能性のあることが、新たな研究で示された。「SleepFM」と呼ばれる人工知能(AI)を用いた実験的な睡眠基盤モデルは、ポリソムノグラフィー(PSG)データを用いて、約130種類の疾患・健康状態の将来のリスクを予測できるという。米スタンフォード大学医学部生物医学データサイエンス分野のJames Zou氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に1月6日掲載された。研究グループは、「SleepFMは、がん、妊娠合併症、心疾患、精神疾患など、非常に幅広い疾患の予測において高い性能を示した。また、全死亡リスクの予測も可能だった」と述べている。

統合失調症患者における遺伝と性差との関係

 親が統合失調症の場合、世代を超えてメンタルヘルスリスクに影響を及ぼすが、性別による伝播パターンは、依然として十分に定量化されていない。中国・北京大学のZhi Sheng氏らは、中国における統合失調症患者の子供における、親が報告した伝播率と家族性のリスク因子を調査した。The Lancet Regional Health誌2025年12月号の報告。  統合失調症患者2万7,315例とその子供3万5,772例を対象に横断研究を実施した。子供の精神疾患の診断は、親が報告し、その後、医療管理システムを通じて確認した。年齢と性別で標準化した伝播率は、2020年の中国国勢調査を参照した。ロバストポアソン回帰分析により、調整伝播率比(aRR)を算出した。

IgA腎症における蛋白尿0.3g/日未満達成は腎予後とどう関連するか?

 第III相PROTECT試験において、IgA腎症に対するエンドセリン受容体・アンジオテンシン受容体デュアル拮抗薬sparsentanは、イルベサルタンと比較して蛋白尿を有意に減少させ、腎機能の維持に有効であることが報告されている。今回、PROTECT試験の事後解析の結果、割り付けられた治療薬にかかわらず蛋白尿0.3g/日未満の達成が推定糸球体濾過量(eGFR)低下抑制および腎不全イベント減少と関連することを、オランダ・フローニンゲン大学のHiddo J. L. Heerspink氏らによって報告された。Clinical Journal of the American Society of Nephrology誌オンライン版2025年12月22日号掲載の報告。

日本人高齢者の緊急入院で死亡率が高いのは? インフルvs.コロナvs.RSV

 50歳以上(平均年齢81.4歳)を対象とした前向きコホート研究において、急性呼吸器症状による緊急入院では、RSウイルス(RSV)陽性者がSARS-CoV-2やインフルエンザA/B陽性者と比較して、30日全死亡率が高かった。このことからRSV感染症は、高齢者の看過できない死亡リスク因子であることが示唆された。本研究結果は、森本 剛氏(兵庫医科大学)らによって、Clinical Microbiology and Infection誌オンライン版2026年1月10日号で報告された。

重度の慢性便秘に対する手術は「最終手段」

 米国消化器病学会(AGA)が発表した新しいガイドラインにおいて、重度の慢性便秘患者に対する外科的手術は最終手段とすべきことが明示された。治療に反応しない難治性便秘の患者に対しては、結腸の一部または全てを切除する結腸切除術を検討することがある。しかし、ガイドラインの著者らは、結腸切除術は重大な健康リスクを伴い、必ずしも症状の改善につながるわけではないとしている。米マサチューセッツ総合病院(ボストン)消化器運動研究室ディレクターのKyle Staller氏らがまとめたこのガイドラインは、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に1月7日掲載された。  Staller氏は、「慢性便秘に何年も苦しんできた人にとって、手術は永続的な解決策に聞こえることがある。

緑内障点眼薬の治療継続率、製品間で大きな差

 自覚症状に乏しく進行が緩やかな緑内障では、点眼治療を長期にわたって継続することが困難であることが大きな課題とされてきた。今回、日本の大規模医療保険レセプトデータを用いた解析により、同じ薬剤クラスであっても、緑内障点眼薬の治療継続率は製品によって大きく異なることが示された。研究は東京大学大学院薬学系研究科育薬学教室の壁矢健司氏、佐藤宏樹氏らによるもので、詳細は11月28日付で「BMC Ophthalmology」に掲載された。  緑内障は日本における不可逆的な失明の主因であり、QOL低下など医療費に反映されない社会的負担も大きい。

HER2+早期乳がん、術前化学療法によるcCRの予測因子を同定

 初期薬物療法後に臨床的完全奏効(cCR)が得られたHER2陽性早期乳がんにおける非切除療法の有用性を検証することを目的としたJCOG1806試験において、探索的解析としてcCR率と予測因子を検討した。その結果、HER2陽性早期乳がんの57.6%で初期薬物療法後にcCRが得られ、予測因子としてER陰性、IHCスコア3+、高い組織学的グレードが同定された。広島大学の重松 英朗氏らが、International Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年1月22日号で報告した。  本試験は単群検証的試験で、HER2陽性はIHCスコア3+またはISH増幅あり、cCRは触診、造影MRI、超音波検査で検出可能な病変が認められない状態と定義した。多変量ロジスティック回帰分析を用いてcCRの予測因子を同定した。

LDHでHFrEFの予後予測?

 乳酸脱水素酵素(LDH)は、肝臓をはじめ、心臓、肺などほぼ全身の組織に細胞質酵素として存在する。これまで循環器領域では心筋梗塞の指標として用いられているが、このほど、LDHの上昇が心不全(HF)の予後予測に重要であることが明らかになった。英国・心臓財団グラスゴー心血管研究センターの小野 亮平氏らがGALACTIC-HF試験対象者を解析した結果、LDHの上昇が左室駆出率の低下した心不全 (HFrEF)の臨床アウトカムの上昇と独立して関連性を示したという。 JACC:Heart Failure誌オンライン版 2026年1月15 日号掲載の報告。  研究者らは、細胞障害の非特異的な指標であるLDH とHFrEFの臨床的特徴など評価するため、GALACTIC-HF試験*データを用い、LDHと臨床アウトカムの関係を解析した。

喘息への活用に期待、『アレルゲン免疫療法の手引き2025』

 アレルギー性鼻炎は、スギやヒノキを原因とする季節性アレルギー性鼻炎と、ダニなどが原因の通年性アレルギー性鼻炎に大別される。本邦では2014年頃からアレルゲン免疫療法(以下、AIT)の手軽な手法である舌下免疫療法(以下、SLIT)が臨床導入されたが、近年のエビデンス蓄積により、ダニアレルゲンによって症状が出現しているアトピー型喘息へのダニSLITの有効性が示されているという。

うつ病か?せん妄か?うつ病の過剰診断の現状

 精神科以外の臨床医によるうつ病とせん妄の誤診は一般的である。うつ病の過剰診断は、正常な情緒反応へのスティグマやせん妄への対応遅延につながる可能性がある。米国・クリーブランド・クリニックのMolly Howland氏らは、精神科以外の医療サービスとコンサルテーション・リエゾン精神科(CLP)サービスとの間における診断の一致率を調査するため、多施設におけるレトロスペクティブカルテレビューを実施した。Journal of Psychosomatic Research誌2026年2月号の報告。  クリーブランド・クリニックの2施設における入院患者を対象に、うつ病およびせん妄の紹介について調査した。紹介理由とCLPサービスの診断の一致率を評価した。