認知症に対する抗精神病薬中止に伴うBPSD再発リスクは?

提供元:ケアネット

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公開日:2026/02/03

 

 認知症の行動・心理症状(BPSD)の治療には、抗精神病薬が使用される。しかし、治療は有害な転帰と関連している。2018年のコクランレビューにおいて、治療群間の試験未完了者数の差を比較した結果、抗精神病薬の中止がBPSDにほとんど影響を及ぼさない可能性を示唆する質の低いエビデンスが示された。また、再発リスクの統合エフェクトサイズは報告されていなかった。英国・St Pancras HospitalのSophie Roche氏らは、認知症患者における抗精神病薬中止後のBPSD再発の統合リスク比(RR)についてメタ解析を実施した。Alzheimer's & Dementia誌2025年12月15日号の報告。

 本研究では、BPSDの再発リスクに試験デザイン(エンリッチド・レスポンダー・サンプルvs.長期離脱患者)、治療期間、フォローアップ期間、離脱速度、性別が影響を及ぼすという仮説を立てた。2018年1月~2024年6月に公表された研究について、PsycINFO、EMBASE、PubMed、ClinicalTrials.govのデータベースよりシステマティックに検索した。2018年のコクランレビューで特定された研究8件もメタ解析に含めた。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象研究は9件、観察結果682件およびイベント135件が報告された。
・再発の定義には、BPSD悪化による参加者の除外または抗精神病薬/救急薬の定期処方開始を含めた。
・ランダム効果モデルでは、抗精神病薬の中止による再発のプール相対リスクは1.52(95%信頼区間:1.18~1.95、p=0.005)であった。
・メタ回帰分析の結果、試験の種類、離脱速度、フォローアップ期間、性別は再発リスクに影響を及ぼさないことが示された。

 著者らは「抗精神病薬が不要と判断された患者においては、慎重な処方や減量または中止することが重要であるが、服薬を継続すべき患者も存在する。再発の相対リスクは、試験デザインに影響されず、処方を減らして有効性を証明することを目的とした両試験でエフェクトサイズが同等であったことは、とくに驚くべきことであった。抗精神病薬中止の成功に関連する因子を特定するには、さらなる研究が必要である」とまとめている。

(鷹野 敦夫)