日本女性におけるBMIと乳がんの関連~大規模コホート研究のプール解析

提供元:ケアネット

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公開日:2014/01/20

 

 西洋人での研究から、閉経後の女性ではBMIと乳がんリスクの間に正の相関があることが報告され、また閉経前の女性では弱い逆相関があることが示唆されている。一方、アジアの女性、とくに閉経前の女性においては、乳がんリスクに対するBMIの影響は明らかではなかった。
 わが国の「がん予防法の開発と評価」研究班では、日本における8つの大規模コホート研究からプール解析を行い、BMIと乳がん発症率の関連を検討した。その結果、BMIが高い女性で閉経後乳がんリスクの増加が確認された。また、閉経前乳がんについては、BMIとの間に正の関連(有意差は境界線上)が認められたことから、アジア女性では西洋の女性とはBMIの影響が逆である可能性が示唆された。Annals of oncology誌オンライン版2014年1月10日号に掲載。

 乳がん発症率は、主に地域がん登録と主要な地域病院からの届け出の両方(またはどちらか)を通じて確認し、ICD10におけるコードC50を乳がんと定義した。また、乳がんのハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、ランダム効果モデルを用いて推計した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象18万3,940人のうち、フォローアップした219万4,211人年の間に1,783人が乳がんを発症した。
・BMIと閉経後乳がんリスクとの間に正の相関が認められた(傾向のp<0.001)。
・閉経前乳がんのハザード比は、BMIが「19未満」「19以上21未満」「21以上27未満」「27以上23未満」「25以上30未満」「30以上」で、それぞれ、1.05(95%CI:0.56~1.99)、1.07(同:0.76~1.52)、0.91(同:0.64~1.30)、1.15(同:0.76~1.73)、1.45(同:0.71~2.94)、2.25(同:1.10~4.60)であった。
・これらの結果は、フォローアップの最初の2年間で乳がんと診断された患者を除外してもほぼ変わらなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)