血友病AへのMim8予防投与が既存治療を上回る出血抑制/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2026/05/12

 

 Mim8(denecimig)は、活性化第VIIIa因子の機能を模倣する二重特異性抗体で、第VIII因子インヒビターの有無にかかわらず、血友病A患者の出血を予防する目的で開発された。イタリア・ヒュマニタス大学のMaria Elisa Mancuso氏らは「FRONTIER2試験」において、Mim8の予防投与はオンデマンド治療や血液凝固因子濃縮製剤の予防投与と比較して、治療を必要とする出血イベントの年間発生率を有意に抑制し、血栓塞栓イベントや中和抗体の発現はみられないことを示した。研究の成果は、NEJM誌2026年4月30日号で報告された。

国際的な無作為化対照比較第III相試験

 FRONTIER2試験は、日本を含む国際的な非盲検無作為化対照比較第III相試験であり、インヒビターの有無を問わず血友病Aを有する12歳以上の患者254例を登録した(Novo Nordiskの助成を受けた)。

 試験前にオンデマンド治療を受けていた58例(試験前オンデマンド治療コホート)は、オンデマンド治療を継続する群(グループ1、17例)、Mim8を週1回予防投与する群(グループ2a、21例)、またはMim8を月1回予防投与する群(グループ2b、20例)に無作為に割り付けられた。

 試験前の導入期間中(26~52週)に血液凝固因子濃縮製剤の予防投与を受けていた196例(試験前予防投与コホート)は、Mim8を週1回予防投与する群(グループ3、98例)またはMim8を月1回予防投与する群(グループ4、98例)に無作為に割り付けられた。5つのグループとも投与期間は26週であった。

 無作為化の対象となった患者のうち、4例(2%)が女性、66例(26%)が12~17歳、212例(84%)が重症血友病A、31例(12%)が第VIII因子インヒビターを有し、242例(95%)は体重が45kg以上であった。8例が治療を中止した。

2コホートの週1回、月1回投与グループとも、出血を有意に抑制

 試験前オンデマンド治療コホートにおける治療を必要とする出血イベントの年間発生率(第1主要エンドポイント)は、グループ1が15.76(95%信頼区間[CI]:10.70~23.20)であったのに対し、グループ2aは0.57(95%CI:0.25~1.30)、グループ2bは0.20(95%CI:0.06~0.71)であり、それぞれ相対減少率は96.4%および98.7%といずれも有意に改善した(両比較ともp<0.001)。

 試験前予防投与コホートにおける治療を必要とする出血イベントの年間発生率(第2主要エンドポイント)は、導入期間中が4.90(95%CI:3.65~6.56)であったのに対し、グループ3は2.25(95%CI:1.37~3.71)であり、相対減少率は54.0%と有意に優れた(p=0.006)。また、同様に、導入期間中の3.12(95%CI:2.25~4.32)に比べグループ4は1.78(95%CI:1.18~2.71)であり、相対減少率は42.8%と有意差を認めた(p=0.006)。

軽症の注射部位反応が2.6%で報告

 注射部位反応は、Mim8の投与を受けた237例中23例(10%)に発現し、4,005回の注射のうち103回(2.6%)で報告された。ほとんどが一過性で、すべて軽症であった。

 また、3例で有害事象によりMim8の投与が中止され、このうち2例でMim8との関連の可能性が示唆された。Mim8関連の致死性のイベントや血栓塞栓イベント、過敏反応は観察されなかった。

 投与期間中に254例中18例(7%)で抗Mim8抗体が検出されたが、Mim8に対する中和抗体の臨床的な証拠が報告された患者はいなかった。

 著者は、「これらの知見は、現在の標準治療を上回る有効性をMim8が発揮する可能性を示唆する」としている。

 本試験を終了後、患者は26週間の延長試験に入り、引き続き長期のアウトカムを評価する第III相延長試験に参加しているという。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 長尾 梓( ながお あずさ ) 氏

関西医科大学附属病院 血液腫瘍内科