HER2+早期乳がん、特定の患者集団では術前化学療法を省略してもpCR率59.6%(PHERGain-2)/ESMO BREAST 2026

提供元:ケアネット

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公開日:2026/05/12

 

 化学療法を併用せずトラスツズマブ・ペルツズマブ(HP)による術前療法を受けたHER2陽性・腫瘍径5~30mmの未治療早期乳がん患者において、59.6%が病理学的完全奏効(pCR)を達成し、同レジメンを術後も継続した場合に健康関連QOL(HRQoL)が良好であることが示された。スペイン・Hospital Arnau de VilanovaのAntonio Llombart Cussac氏が、pCRに基づくde-escalation戦略を評価する目的で実施されたPHERGain-2試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2026、5月6~8日)で発表した。

 PHERGain-2試験は、多施設共同の第II相非盲検単群試験。HER2陽性(IHCスコア3+)かつリンパ節転移陰性、腫瘍径5~30mmの未治療早期乳がん患者を登録対象とした。患者には術前療法として、HPの皮下投与を3週間ごと8サイクル実施。術後療法について、pCRの達成状況に応じて以下の3群に割り付けられた。
コホートA(pCR[ypT0/is、ypN0]を達成):HP投与を継続して計18サイクル
コホートB(乳房内に浸潤性残存病変ありおよび/またはypN0[i+/mol+]もしくはypN1mi):トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)を3週間ごと10サイクル
コホートC(ypN1~3):任意の術後化学療法+T-DM1を3週間ごと10サイクル
※ホルモン受容体(HR)陽性の場合は術前および術後に内分泌療法を併用
[主要評価項目]1年時点でHRQoLの平均スコア(EORTC-QLQ-C30による評価)が10%以上低下した患者の割合および3年無再発期間(3y-RFI)(STEEP基準による評価)
[主要な副次評価項目]pCR、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・2021年8月~2024年3月に、396例が登録された(年齢中央値:55歳[範囲:24~85]、閉経後:59.3%、腫瘍径中央値:18mm[範囲:7~30]、HR陽性:72.7%、T1:61.6%)。試験治療を完了したのは352例であった。
・データカットオフは2025年3月28日、追跡期間中央値は15.1ヵ月であった。
・術前HPによる治療後1年時点でpCRを達成した患者は236例(59.6%)であった(コホートA)。残存病変を有する患者のうち148例がコホートB、7例がコホートCに組み入れられた。
・pCR率について、HR陽性とHR陰性(58.3%vs.63.0%)、T1とT2(ともに59.6%)の間で有意差は認められなかった。
・ベースライン時点におけるHRQoLの平均スコアは78.6(95%信頼区間[CI]:76.8~80.5)、1年時点でHRQoLの平均スコアが10%以上低下した患者の割合は、コホートAで37.3%(95%CI:30.1~44.9%)、残存病変を有する患者(コホートB+C)では51.9%(95%CI:41.9~61.7%)であった。
・治療関連有害事象は86.6%で発現し(Grade 3以上は5.6%)、重篤な有害事象は6.1%で発現した。肺臓炎による死亡が1例(0.3%)報告され、T-DM1との因果関係が認められた。
 
 Cussac氏は、「本試験では、標準的な化学療法+HPレジメンに匹敵する優れたpCR率および臨床的に意義のあるHRQoLの維持が示された」とまとめている。なお、3y-RFIについては現在評価中とした。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

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