中等度リスク肺塞栓症、超音波補助カテーテル血栓溶解療法が有望/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/22

 

 中等度リスクの肺塞栓症において、抗凝固療法への超音波補助カテーテル血栓溶解療法の併用により、抗凝固療法単独と比較して、7日以内の肺塞栓症関連死、心肺の非代償状態または虚脱、肺塞栓症の症候性再発の複合のリスクが有意に低下し、大出血のリスクには差がないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のKenneth Rosenfield氏らHI-PEITHO Investigatorsが行った「HI-PEITHO試験」の結果で示された。中等度リスクの急性期肺塞栓症の治療では、静脈内血栓溶解療法は循環虚脱を予防するが、大出血や脳卒中のリスクを増加させることが、大規模無作為化試験で示されている。高周波・低出力の超音波エネルギーは血栓溶解作用を増強する可能性があり、tPA(アルテプラーゼ)によるカテーテル血栓溶解療法の補助として超音波を用いるデバイスは、有効性を保持しつつアルテプラーゼの投与量を減らし、注入時間を短縮する可能性が示されていた。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年3月28日号で報告された。

米国と欧州の無作為化試験

 HI-PEITHO試験は、米国と欧州の59施設で実施したアダプティブデザインを用いた市販後非盲検(主要アウトカムの評価は盲検下)無作為化試験であり、2021年8月~2025年7月に参加者を登録した(Boston Scientificの助成を受けた)。

 対象は、年齢18~80歳、中等度リスク肺塞栓症(右室拡張末期径/左室拡張末期径の比が1.0以上、かつトロポニン値の上昇)と診断され、心肺機能の指標(収縮期血圧110mmHg以下、心拍数100回/分以上、呼吸数20回/分超)のうち2つ以上満たす患者であった。

 被験者を、アルテプラーゼを用いた超音波補助カテーテル血栓溶解療法(EkoSonic血管内システム[Boston Scientific製])+抗凝固療法を受ける群(介入群)または抗凝固療法のみの通常治療を受ける群(対照群)に、1対1の比率で無作為に割り付けた。

 主要アウトカムは、7日以内の肺塞栓症関連死、心肺の非代償状態または虚脱、肺塞栓症の症候性再発の複合とした。

主に心肺非代償状態/虚脱のリスクが低下

 ITT集団として544例(平均[±SD]年齢58.2[±13.5]歳、女性42.6%)を登録し、介入群に273例、対照群に271例を割り付けた。急性期肺塞栓症関連症状の平均持続期間は3.7(±3.4)日だった。

 7日の時点での主要アウトカムのイベントは、対照群で28例(10.3%、95%信頼区間[CI]:7.2~14.5)に発現したのに対し、介入群では11例(4.0%、95%CI:2.3~7.1)と有意に少なかった(相対リスク:0.39、95%CI:0.20~0.77、p=0.005)。

 主要アウトカムの構成要素別の解析では、主に心肺非代償状態/虚脱(介入群3.7%vs.対照群10.3%、相対リスク:0.4[95%CI:0.2~0.7])のリスクが介入群で大きく低下しており、肺塞栓症関連死(1.1%vs.0.4%、3.0[0.3~28.5])および肺塞栓症の症候性再発(0.4%vs.0.4%、1.0[0.1~15.8])については両群間に差を認めなかった。

重篤な有害事象にも差はない

 無作為化後7日以内の大出血は、介入群で11例(4.1%)、対照群で6例(2.2%)にみられた(p=0.32)。また、30日以内に大出血を認めたのは、それぞれ11例(4.1%)および8例(3.0%)であった(p=0.64)。

 無作為化後30日までの重篤な有害事象(介入群14.8%vs.対照群16.2%、相対リスク:0.9[95%CI:0.6~1.3]、p=0.64)の発生率についても、両群間に有意な差を認めなかった。また、両群とも、頭蓋内出血は発生しなかった。

長期アウトカムの追跡調査が進行中

 著者は、「参加施設の試験プロトコルの順守状況がきわめて優れていたことを踏まえると、本試験の結果は、この介入法が中等度リスクの患者集団において良好な有効性と安全性プロファイルを有することを示唆する」「肺塞栓症後の長期アウトカムへの超音波補助カテーテル血栓溶解療法の潜在的な影響を評価するために、現在、12ヵ月間にわたる追跡調査が進行中である」としている。

 また、「イベントの発生頻度が全体的に低かったため、本試験では、特定の患者サブグループにおいて治療効果を比較したり、2つの治療群間の出血性合併症の差異について確固たる結論を導き出すのに十分な統計学的検出力は得られなかった」と付言している。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 佐田 政隆( さた まさたか ) 氏

徳島大学大学院 医歯薬学研究部 循環器内科学 教授

J-CLEAR評議員