腎機能が保たれている一般集団において、全身持久力や心肺機能を反映する有酸素性運動能力と、加齢に伴う推算糸球体濾過量の経時的変化(eGFR slope)との関連を調査した結果、有酸素性運動能力が高い人ほど加齢に伴うeGFRの低下速度が緩やかであり、有酸素性運動能力が腎臓に対して保護的な役割を果たす可能性があることを、筑波大学の吉越 駿氏らが示した。Medicine & Science in Sports & Exercise誌オンライン版2026年7月3日号掲載の報告。
慢性腎臓病(CKD)患者では、腎機能低下に伴い有酸素性運動能力も低下することが知られている。しかし、腎機能が保たれている集団において、有酸素性運動能力と加齢に伴う腎機能低下との関連を継続的に検討した研究は限られている。そこで研究グループは、「有酸素性運動能力の高い人では加齢に伴う腎機能低下が緩やかである」という仮説を検証するために前向き研究を実施した。
茨城県県南地区の地域情報誌を通じて参加者を募集し、適格基準に合致した198人を解析対象とした。有酸素性運動能力は、ベースライン時に自転車エルゴメーターを用いた運動負荷試験を実施し、呼気ガス分析により換気性作業閾値時の酸素摂取量を測定して評価した。腎機能は、血清シスタチンCに基づくeGFR(eGFRcys)および血清クレアチニンに基づくeGFR(eGFRcr)で評価した。その後、5年間にわたり年1回の追跡を実施した。線形混合効果モデルを用いてeGFR slopeを算出し、有酸素性運動能力とeGFR slopeの関連性を調べるために重回帰分析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・ベースライン時の参加者の年齢中央値は61.4歳、女性が74%であり、有酸素性運動能力はおおむね正常範囲内であった。
・有酸素性運動能力はeGFRcys slopeと有意な相関を示した(r=0.24)。
・交絡因子を調整した後、有酸素性運動能力が高いほどeGFRcysの低下速度が有意に緩やかであった(β=0.011、95%信頼区間[CI]:0.002~0.020)。
・有酸素性運動能力が高いほど腎機能が急速に低下(20%以上の低下)するリスクが有意に低かった(オッズ比:0.86、95%CI:0.75~0.99)。
・筋肉量の影響を受けやすいeGFRcrではこれらの関連は認められなかった。
これらの結果より、研究グループは「CKDの発症前段階から運動習慣や体力維持を行うことで腎機能低下を予防できると考えられ、新たな腎機能低下予防戦略の構築に役立つと期待される」とまとめた。
(ケアネット 森)