泌尿器科ロボット支援手術、遠隔手術が現地手術に非劣性/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2026/02/09

 

 泌尿器科領域のロボット支援手術(根治的前立腺全摘除術、腎部分切除術)では、遠隔手術は現地手術に対し成功率に関して非劣性であり、遠隔手術システムは1,000~2,800kmの距離で安定して稼働し、合併症や早期回復、腫瘍学的アウトカム、医療チームの作業負担などにも有意差を認めないことが、中国・Chinese PLA General HospitalのYe Wang氏らTeleS Research Groupが実施した「TeleS研究」で示された。研究の成果は、BMJ誌2026年1月28日号で報告された。

中国の無作為化対照比較非劣性試験

 TeleS研究は、2023年12月~2024年6月に、中国の5施設で実施した単盲検無作為化対照比較非劣性試験(中国・国家自然科学基金などの助成を受けた)。北京と他の4つの地域(ウルムチ[北京とのおおよその距離2,800km]、杭州[1,300km]、ハルビン[1,250km]、合肥[1,000km])の施設の間に遠隔手術システムを構築した。

 ロボット手術による根治的前立腺全摘除術および腎部分切除術を予定している患者72例(ITT集団)を対象とした。これらの患者を、北京からの遠隔手術を受ける群(36例、年齢中央値61.0歳[四分位範囲[IQR]:57.5~68.0])または各地域で現地手術を受ける群(36例、65.0歳[IQR:56.5~70.0])に1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要アウトカムは、手術成功率(医療チームが事前に設定した基準で判定)。手術および早期回復に関連した13の臨床的副次アウトカム、医療チームの作業負担に関連した1つの副次アウトカムなどを評価した。また、手術システムに関する4つの技術的副次アウトカム(ネットワーク通信の遅延、表示の遅延、遠隔手術中のフレームロス、システム故障)も探索的に評価した。副次アウトカムの回復と合併症について、被験者は術後4週間および6週間に追跡評価された。

ITT、PP集団とも高確率で非劣性を示す

 遠隔手術群の32例(根治的前立腺全摘除術17例、腎部分切除術15例)および現地手術群の31例(16例、15例)が実際に手術を受け(per protocol[PP]集団)、それぞれ31例および28例が6週間の追跡調査を完了した。

 ITT集団における手術成功率は、遠隔手術群が100%(36/36例)、現地手術群は94.44%(34/36例)であり、PP集団ではそれぞれ100%(32/32例)および96.77%(30/31例)であった。

 ベイズの混合効果ロジスティック回帰分析では、ITT集団の手術成功率の推定群間差は0.02(95%信用区間[CrI]:-0.03~0.15、非劣性の事後確率:0.99)であり、PP集団は0.003(95%CrI:-0.001~0.03、非劣性の事後確率:>0.99)であった。

 いずれの集団でも、95%CrIの下限値が事前に規定された非劣性マージン(-0.1)を上回り、非劣性の事後確率が0.98を超えていることから、高い確率で遠隔手術の現地手術に対する非劣性が示された。

さまざまな問題の実現可能な解決策となる可能性

 遠隔手術システムは、北京と4地域の1,000~2,800kmの距離で安定しており、ネットワークの平均往復遅延時間は20.1~47.5ミリ秒、フレーム損失は1回の遠隔手術当たり0~1.5フレームであった。その他の副次アウトカム(手術基本データ、合併症、早期回復、腫瘍学的アウトカム、医療チームの作業負担など)は、両群間で有意差を認めなかった。

 著者は、「本研究は、遠隔手術分野における初の無作為化対照比較試験として、その信頼性が従来の現地手術に劣らないことを立証した」「この知見は、今後の大規模臨床試験のデザインや実施に向けた基本的なエビデンスの基盤を提供する」「中国では、質の高い医療資源が大都市に集中するため、病床待ち時間の長期化、長距離移動、地方の総医療費の増加などの問題が生じ、同時に国際社会は高齢化とがんの早期発症傾向という二重の圧力に直面している。遠隔手術は、これらの問題に対する実現可能な解決策となるだろう」としている。

(医学ライター 菅野 守)