GLP-1/GCG作動薬mazdutideの減量効果は?/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2025/06/06

 

 肥満または体重関連合併症を有する過体重の中国人成人において、GLP-1/グルカゴン受容体デュアルアゴニストのmazdutide 4mgまたは6mgの週1回32週間投与により、臨床的に意義のある体重減少が認められたことを、中国・Peking University People's HospitalのLinong Ji氏らGLORY-1 Investigatorsが同国23施設で実施した第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「GLORY-1試験」の結果で報告した。インクレチンベースのデュアルアゴニスト療法は肥満に対して有効であることが示されており、mazdutideは第II相試験において肥満または過体重の中国人成人の体重減少が示されていた。NEJM誌オンライン版2025年5月25日号掲載の報告。

mazdutide 4mgまたは6mgの有効性と安全性をプラセボと比較

 GLORY-1試験の対象は、肥満または少なくとも1つの体重関連合併症(前糖尿病、高血圧、脂質異常症、代謝異常関連脂肪性肝疾患[MAFLD]、荷重関節痛、肥満関連呼吸困難または閉塞性睡眠時無呼吸症候群)を伴う過体重の18~75歳の成人であった。肥満および過体重は、中国の基準に基づきそれぞれBMI値が28以上、および24以上28未満と定義された。

 研究グループは、適格患者をmazdutide 4mg群、mazdutide 6mg群またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、週1回皮下投与を48週間行った。

 主要エンドポイントは、32週時におけるベースラインからの体重変化率ならびに体重が5%以上減少した患者割合の2つで、mazdutideの各群をプラセボ群と両側有意水準0.025で比較し、2つの主要エンドポイントのいずれも有意であった場合に優越性が示されることとした。

 有効性の解析対象は無作為化されたすべての患者とし、treatment-policy estimand法で評価した(mazdutideまたはプラセボの早期中止や新たな抗肥満治療開始の有無にかかわらず評価)。

32週時の体重変化率はmazdutide 4mg群-10.09%、6mg群-12.55%、プラセボ群0.45%

 2022年11月~2023年1月に862例がスクリーニングされ、610例が無作為化された。患者背景は平均体重87.2kg、平均BMI値は31.1であった。

 32週時におけるベースラインからの体重変化率の最小二乗平均値は、mazdutide 4mg群-10.09%(95%信頼区間[CI]:-11.15~-9.04)、mazdutide 6mg群-12.55%(-13.64~-11.45)、プラセボ群0.45%(-0.61~1.52)であった(両群とも対プラセボ群のp<0.001)。

 また、32週時に5%以上の体重減少が認められた患者割合は、それぞれ73.9%、82.0%および10.5%であった(両群とも対プラセボ群のp<0.001)。

 48週時では、ベースラインからの体重変化率の最小二乗平均値は、mazdutide 4mg群で-11.00%(95%CI:-12.27~-9.73)、mazdutide 6mg群で-14.01%(-15.36~-12.66)、プラセボ群で0.30%(-0.98~1.58)、15%以上の体重減少が認められた患者割合はそれぞれ35.7%、49.5%、2.0%であった(プラセボとの比較においてすべてのp<0.001)。

 重要な副次エンドポイントである48週時における収縮期血圧、総コレステロール、中性脂肪、LDL-コレステロール、血清尿酸およびアラニンアミノトランスフェラーゼのベースラインからの変化(mazdutide両群の併合解析)についても、すべてmazdutide群で良好な効果が認められた(すべてのp<0.001)。

 有害事象はmazdutide 4mg、6mg群およびプラセボ群でそれぞれ96.1%、97.0%、89.3%に認められた。主な有害事象は悪心(それぞれ32.5%、50.5%、5.9%)、下痢(35.0%、38.6%、6.3%)、嘔吐(26.1%、43.1%、2.9%)で、ほとんどが軽度または中等度であった。

 有害事象により試験を中止した患者は、mazdutide 4mg群で3例(1.5%)、mazdutide 6mg群で1例(0.5%)、プラセボ群で2例(1.0%)であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)