重症コロナ患者、ACEI/ARBで生存率低下か/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2023/04/21

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症成人患者において、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の投与は臨床アウトカムを改善せず、むしろ悪化させる可能性が高いことを、カナダ・University Health NetworkのPatrick R. Lawler氏ら「Randomized, Embedded, Multifactorial, Adaptive Platform Trial for Community-Acquired Pneumonia trial:REMAP-CAP試験」の研究グループが報告した。レニン-アンジオテンシン系(RAS)の中心的な調節因子であるACE2は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の受容体であることから、RASの過剰活性化がCOVID-19患者の臨床アウトカム不良につながると考えられていた。JAMA誌2023年4月11日号掲載の報告。

RAS阻害薬または非RAS阻害薬による治療で21日間の無臓器補助日数を評価

 REMAP-CAP試験は、現在も進行中の、重症市中肺炎およびCOVID-19を含む新興・再興感染症に対する複数の治療を評価する国際多施設共同無作為化アダプティブプラットフォーム試験で、今回はその治療ドメインの1つである。

 研究グループは、2021年3月16日~2022年2月25日の期間に、7ヵ国69施設において18歳以上のCOVID-19入院患者を登録し、重症群と非重症群に層別化するとともに、参加施設をACEI群、ARB群、ARB+DMX-200(ケモカイン受容体2型阻害薬)群、非RAS阻害薬(対照)群に無作為に割り付け、治療を行った。治療は最大10日間または退院までのいずれか早いほうまでとした。

 主要評価項目は、21日時点における無臓器補助日数(呼吸器系および循環器系の臓器補助を要しなかった生存日数)で、院内死亡は「-1」、臓器補助なしでの21日間の生存は「22」とした。

 主解析では、累積ロジスティックモデルのベイズ解析を用い、オッズ比が1を超える場合に改善と判定した。

無臓器補助日数はACEI群10日、ARB群8日、対照群12日

 2022年2月25日で、予定された564例の安全性データの評価に基づき、対照群と比較しACEI群およびARB群で死亡および急性腎障害が高頻度であることが懸念されたため、データ安全性モニタリング委員会の勧告により重症患者の登録が中止された。非重症患者の登録も同時に一時中断され、その後、2022年6月8日に試験は中止となった。最終追跡調査日は2022年6月1日であった。

 全体で779例が登録され、ACEI群に257例、ARB群に248例、ARB+DMX-200群に10例、対照群に264例が割り付けられた。このうち、同意撤回やアウトカム不明、ならびにARB+DMX-200群を除く各群の重症患者計679例(平均年齢56歳、女性35.2%)が解析対象となった。

 重症患者における無臓器補助日数の中央値(IQR)は、ACEI群(231例)で10日(-1~16)、ARB群(217例)で8日(-1~17)、対照群(231例)で12日(0~17)であった。

 対照群に対する改善の調整オッズ比中央値は、ACEI群0.77(95%信用区間[CrI]:0.58~1.06)、ARB群0.76(0.56~1.05)であり、治療により無臓器補助日数が対照群より悪化する事後確率はそれぞれ94.9%および95.4%であった。

 入院生存率は、ACEI群71.9%(166/231例)、ARB群70.0%(152/217例)、対照群78.8%(182/231)であり、対照群と比較して入院生存率が悪化する事後確率は、ACEI群95.3%、ARB群98.1%であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)