garadacimab、遺伝性血管性浮腫の発作数を低減/Lancet

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2023/03/15

 

 遺伝性血管性浮腫の予防において、活性化第XII因子(FXIIa)の完全ヒト型モノクローナル抗体garadacimabはプラセボと比較して、1ヵ月当たりの発作数を著明に減少させるとともに、出血や血栓塞栓イベントのリスクは増加しないことが、米国・ペンシルベニア州立大学のTimothy J. Craig氏らが実施した「VANGUARD試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年2月28日号で報告された。

7ヵ国の無作為化プラセボ対照第III相試験

 VANGUARD試験は、日本を含む7ヵ国28施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2021年1月~2022年6月の期間に患者のスクリーニングが行われた(CSL Behringの助成を受けた)。

 年齢12歳以上のI型またはII型遺伝性血管性浮腫の患者が、6ヵ月間(182日)garadacimabまたはプラセボを皮下投与する群に、3対2の割合で無作為に割り付けられた。治療期間の1日目に負荷投与量(400mg[200mg×2回])が投与され、その後は月1回の投与(200mg)が5回、患者自身または介護者によって行われた。

 主要エンドポイントは、6ヵ月の治療期間中の担当医評価による遺伝性血管性浮腫の発作数(月当たりの発作数)であった。

安全性プロファイルも良好

 64例が登録され、garadacimab群に39例、プラセボ群に25例が割り付けられた。全体の平均年齢は41.2(SD 15.9)歳(範囲:12~69)、女性が38例(59%)で、55例(86%)が白人、6例(9%)がアジア人(すべて日本人)だった。

 6ヵ月の治療期間中における、担当医判定による遺伝性血管性浮腫の発作数は、garadacimab群が63、プラセボ群は264であった。1ヵ月当たりの平均発作数は、プラセボ群が2.01(95%信頼区間[CI]:1.44~2.57)であったのに対し、garadacimab群は0.27(0.05~0.49)と有意に低く(p<0.0001)、プラセボ群に対するgaradacimab群の平均差の割合は-87%(95%CI:-96~-58、p<0.0001)であった。

 1ヵ月当たりの発作数中央値は、garadacimab群が0(四分位範囲[IQR]:0.0~0.31)、プラセボ群は1.35(1.00~3.20)だった。

 初回投与から、garadacimab群の77%(30例)が72日間以上発作を起こさなかったのに対し、プラセボ群では76%(19例)が5日間以上発作を起こさなかった。初回発作までの期間中央値は、プラセボ群が11日であったのに対し、garadacimab群は6ヵ月の治療期間中に50%以上の患者が発作を起こさなかったため、中央値には到達しなかった。

 治療関連有害事象は、6ヵ月の治療期間中に、garadacimab群が39例中25例(64%)で75件、プラセボ群は25例中15例(60%)で54件発現した。最も頻度の高い治療関連有害事象は、上気道感染症(garadacimab群4例[10%]、プラセボ群2例[8%])、上咽頭炎(3例[8%]、1例[4%])、頭痛(3例[8%]、4例[16%])であった。

 とくに注目すべき治療関連有害事象である重度の過敏反応/アナフィラキシー、血栓塞栓イベント、出血イベントは、両群ともにみられなかった。試験中止や死亡の原因となった治療関連有害事象も発現しなかった。

 著者は、「これらの結果は、遺伝性血管性浮腫の患者に対する予防治療として、garadacimabの使用を支持するものである」としている。

(医学ライター 菅野 守)