オミクロン株対応2価ワクチン、4回目接種の有用性は?/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2023/01/26

 

 1価・2価のオミクロン株(B.1.1.529)BA.1系統対応BNT162b2(ファイザー製)ワクチンは、BNT162b2ワクチン(30μg)と同様の安全性プロファイルを有し、祖先株とオミクロン株BA.1系統に対して顕著な中和反応を示した。また、程度は低いものの、オミクロン株亜系統のBA.4、BA.5、BA.2.75も中和した。米国・アイオワ大学のPatricia Winokur氏らが、BNT162b2ワクチン30μgを3回接種した55歳超1,846例を対象にした無作為化比較試験で明らかにし、NEJM誌2023年1月19日号で発表した。

BA.1対応1価・2価ワクチンとBNT162b2を30μgまたは60μgで比較

 研究グループは、進行中の第III相試験で、BNT162b2ワクチン30μgを3回接種した55歳超を無作為化し、BNT162b2(30μgまたは60μg)、B.1.1.529変異株(オミクロン株)BA.1系統対応BNT162b2(BA.1対応1価ワクチン、30μgまたは60μg)、BA.1対応2価ワクチンを30μg(BNT162b2 15μg+BA.1対応1価ワクチン15μg)または60μg(BNT162b2 30μg+BA.1対応1価ワクチン30μg)をブースター投与した。

 本試験の主要目的は、BA.1対応ワクチンの、BNT162b2(30μg)に対する優越性(対BA.1の50%中和抗体価[NT50]について)と非劣性(血清反応について)の評価。副次目的は、祖先株に対する中和活性について、BA.1対応2価ワクチンのBNT162b2(30μg)に対する非劣性の評価だった。

 探索的データ解析を行い、オミクロン株の亜系統BA.4、BA.5、BA.2.75に対する免疫応答も評価した。

BA.1対応2価ワクチン、祖先株に対しBNT162b2(30μg)と比べ非劣性

 1,846例が無作為化を受けた(年齢中央値67歳、男性49.5%、白人86.6%)。

 ワクチン接種後1ヵ月時点で、BA.1対応2価ワクチン(30μg/60μg)とBA.1対応1価ワクチン(60μg)は、BA.1に対し、BNT162b2(30μg)より優れた中和活性を示した。NT50幾何平均比(GMR)は、それぞれ1.56(95%信頼区間[CI]:1.17~2.08)、1.97(1.45~2.68)、3.15(2.38~4.16)だった。

 また、BA.1対応2価ワクチン(両用量とも)とBA.1対応1価ワクチン(60μg)は、対BA.1血清反応についても、BNT162b2(30μg)に対し非劣性を示した。群間差(%)は10.9~29.1ポイントに及んだ。

 BA.1対応2価ワクチン(両用量とも)は、祖先株に対する中和活性について、BNT162b2(30μg)に対し非劣性だった。NT50GMRは30μgが0.99(95%CI:0.82~1.20)、60μgが1.30(1.07~1.58)だった。

 BA.4-BA.5、BA.2.75に対する中和抗体価は、BA.1対応2価ワクチン30μgが、BNT162b2(30μg)より数値が高かった。

 安全性プロファイルについては、BA.1対応1価ワクチン、2価ワクチンのいずれの用量も、BNT162b2(30μg)と同様だった。有害事象の発生頻度は、BA.1対応1価ワクチン30μg群(8.5%)とBA.1対応2価ワクチン60μg群(10.4%)が、その他の群(3.6~6.6%)より高率だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 山口 佳寿博( やまぐち かずひろ ) 氏

山梨大学 医学部 呼吸器内科 臨床教授

健康医学協会附属 東都クリニック