腎結石、6mm以下も除去で再発抑制に有効か/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/08/22

 

 尿管または対側腎の結石除去術中に、残された小さく無症状の腎結石も除去することは、除去しない場合よりも再発低下に結び付くことが、米国・ワシントン大学のMathew D. Sorensen氏らによる多施設共同無作為化試験で示された。手術に関連した救急外来受診数は同程度であった。小さな(6mm以下)無症状の腎結石を内視鏡下で除去するベネフィットは不明だが、現行ガイドラインでは、除去の決定は泌尿器科医と患者の判断に委ねられている。先行研究では、古い非内視鏡的手技による前向き試験1件といくつかの後ろ向き試験は経過観察を支持しているが、大きな結石を除去しても残っている小さな腎結石のうち約半分が、術後5年以内に新たな症候性イベントを引き起こすとのデータも公表されていた。NEJM誌2022年8月11日号掲載の報告。

除去するvs.除去しない場合の再発を、多施設共同無作為化試験で評価

 研究グループは多施設共同無作為化試験で、尿管または対側腎の結石の内視鏡的除去術中に、残っている小さな無症状の結石を除去した場合(治療群)と除去しない場合(対照群)の比較を行った。治療群には38例(年齢中央値64[IQR:54~69]歳、男性84%、BMI中央値29.6、2次結石:部位が対側例90%、サイズ中央値3mm、数の中央値1個)、対照群には35例(60[49~67]歳、74%、30.7、91%、4mm、1個)の患者が割り付けられた。

 主要評価項目は再発で、救急外来受診、手術または2次結石の増大で評価した。

再発リスク、治療群が対照群より82%低下

 追跡期間中央値4.2年時点で、再発までの期間は治療群が対照群より有意に長かった(log-rank検定によるp<0.001)。再発までの制限付き平均(±SE)期間は、治療群(1,631.6±72.8日)が対照群(934.2±121.8日)より75%長かった。

 再発リスクは、治療群が対照群より82%低く(ハザード比[HR]:0.18、95%信頼区間[CI]:0.07~0.44)、再発患者の発生割合は治療群16%に対し、対照群は63%であった。

 手術時間は、治療群で中央値25.6分(IQR:18.5~35.2)長かった。術後2週間以内の救急外来受診は、治療群5例、対照群4例であった。なお、排石は治療群8例、対照群10例で報告された。

(ケアネット)

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コメンテーター : 宮嶋 哲( みやじま あきら ) 氏

東海大学医学部外科学系腎泌尿器科学 主任教授